第61回「鯛焼屋の行列」《ハシ坊と学ぼう!⑰》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
鯛焼きやソウルの夜に光満つ
青猫
夏井いつき先生より
中七の助詞「に」は要一考です。
中七の助詞「に」は要一考です。


爽やかや母校への坂歩を揃え
遥琉
夏井いつき先生より
語順を替えると、印象も変わります。
添削例
母校への坂爽やかな歩を揃え
語順を替えると、印象も変わります。
添削例
母校への坂爽やかな歩を揃え


ADの集う路地裏冬うらら
山城道霞
夏井いつき先生より
「『AD(エイディー)』はアシスタントディレクターの略称です。また本来『冬麗』ですが、『とうれい』と読まれてしまう可能性、柔らかな雰囲気を出すために『冬うらら』にしました」と作者のコメント。
「AD」という業界用語だけで、どこまで読み解いてもらえるか。「集う」という動詞が適切かどうかも含めて、再考してみましょう。
「『AD(エイディー)』はアシスタントディレクターの略称です。また本来『冬麗』ですが、『とうれい』と読まれてしまう可能性、柔らかな雰囲気を出すために『冬うらら』にしました」と作者のコメント。
「AD」という業界用語だけで、どこまで読み解いてもらえるか。「集う」という動詞が適切かどうかも含めて、再考してみましょう。


鯛焼や驚き桃の木山椒の木
夏の町子
夏井いつき先生より
中七下五、語呂合わせをそのまま使っている点が気になります。どこか一カ所でもアレンジしてみるのも一手でしょう。
中七下五、語呂合わせをそのまま使っている点が気になります。どこか一カ所でもアレンジしてみるのも一手でしょう。


秋の昼並んだ分だけ食べたいな
星の砂
夏井いつき先生より
兼題写真を見てない人には、何の行列か分かりません。そこを書くことができれば、映像が更に明確になります。
兼題写真を見てない人には、何の行列か分かりません。そこを書くことができれば、映像が更に明確になります。


花追手初出店のカフェの列
家守らびすけ
夏井いつき先生より
「花追手」とは? 「花追風」のことかな。
「花追手」とは? 「花追風」のことかな。


朝顔の萎れて垂れる最後尾
甲斐杓子
夏井いつき先生より
「行列の最後尾の横に朝顔の鉢があり、〈貧相に垂れて朝顔最後尾〉としてましたが、推敲の末、散文的だなぁとこちらで投句しました」と作者のコメント。
なるほど、そういう情景を書きたいのですね。だとすれば、初案の語順を替えるのが、ベターかな。
添削例
貧相に朝顔垂るる最後尾
「行列の最後尾の横に朝顔の鉢があり、〈貧相に垂れて朝顔最後尾〉としてましたが、推敲の末、散文的だなぁとこちらで投句しました」と作者のコメント。
なるほど、そういう情景を書きたいのですね。だとすれば、初案の語順を替えるのが、ベターかな。
添削例
貧相に朝顔垂るる最後尾


パビリオンへ吹き出る汗の最後尾
閏星
夏井いつき先生より
「噴き出る」とすれば、人選。
「噴き出る」とすれば、人選。


吊戸打つ大鍋くぉーんと秋来る
空から豆本
夏井いつき先生より
「第48回『鍋一杯の柚子ジャム』で〈琺瑯の鍋をくぉーんと秋来る〉をハシ坊にあげていただき、状態が伝わらない句だと学びました。どうしていいかわからず一年寝かせていましたが、大好きな食欲の秋が巡ってきたので、初の推敲にチャレンジしました。『鳴りて』と入れてみたり、季語を『秋』に変えてみたり、語順を替えたりと試みましたが、こちらで再度投句させていただきます」と作者のコメント。
〈琺瑯の鍋をくぉーんと秋来る〉
〈吊戸打つ大鍋くぉーんと秋来る〉
「くぉーん」というオノマトペは、鍋を打っている音? それとも、「秋」の来る音? 「琺瑯」から「吊戸」に変えたのは、どういう意図でしょう。推敲句を送ってこられる時は、推敲前の句に添えて、「どんな情景や心情を書きたいのか」という表現意図を添えて下さい。多少、具体的なアドバイスができるかと思います。
「第48回『鍋一杯の柚子ジャム』で〈琺瑯の鍋をくぉーんと秋来る〉をハシ坊にあげていただき、状態が伝わらない句だと学びました。どうしていいかわからず一年寝かせていましたが、大好きな食欲の秋が巡ってきたので、初の推敲にチャレンジしました。『鳴りて』と入れてみたり、季語を『秋』に変えてみたり、語順を替えたりと試みましたが、こちらで再度投句させていただきます」と作者のコメント。
〈琺瑯の鍋をくぉーんと秋来る〉
〈吊戸打つ大鍋くぉーんと秋来る〉
「くぉーん」というオノマトペは、鍋を打っている音? それとも、「秋」の来る音? 「琺瑯」から「吊戸」に変えたのは、どういう意図でしょう。推敲句を送ってこられる時は、推敲前の句に添えて、「どんな情景や心情を書きたいのか」という表現意図を添えて下さい。多少、具体的なアドバイスができるかと思います。


鯛焼屋折れる列なり秋の暮
みーあ
夏井いつき先生より
この句意でしたら、上五を字余りにしても、助詞を一つ入れるべきでしょう。
添削例
鯛焼屋へ折れる列なり秋の暮
この句意でしたら、上五を字余りにしても、助詞を一つ入れるべきでしょう。
添削例
鯛焼屋へ折れる列なり秋の暮


鯛焼やほんわか優しアンパンマン
つのりゅう
夏井いつき先生より
〈鯛焼や/ほんわか優し/アンパンマン〉と、三カ所で切れてしまう三段切れです。「や」の切字、「優し」の終止形。「ほんわか優し」が「アンパンマン」に意味がかかるとすれば、「優しき」と連体形になるので、中七が字余りになりますね。「ほんわか優し」が「鯛焼き」ならば、上五を「鯛焼きの」とすべきです。
〈鯛焼や/ほんわか優し/アンパンマン〉と、三カ所で切れてしまう三段切れです。「や」の切字、「優し」の終止形。「ほんわか優し」が「アンパンマン」に意味がかかるとすれば、「優しき」と連体形になるので、中七が字余りになりますね。「ほんわか優し」が「鯛焼き」ならば、上五を「鯛焼きの」とすべきです。


たい焼き三つひれに個性を持ちにけり
畠山そらまる
夏井いつき先生より
どんな個性があるのか。その「ひれ」を描写してみましょう。
どんな個性があるのか。その「ひれ」を描写してみましょう。


行列も途切れ最後のたい焼きぬるし
天弓
夏井いつき先生より
「途切れ」が必要かどうか。例えば、こんなふうにシンプルにする一手もあります。
添削例
行列の最後のたい焼きのぬるし
「途切れ」が必要かどうか。例えば、こんなふうにシンプルにする一手もあります。
添削例
行列の最後のたい焼きのぬるし



