おウチde俳句大賞

第7回 おウチde俳句大賞結果発表

大賞

リビング部門

母割りし窓を片付け終え、時雨

家守らびすけ

最優秀賞
 
  • 台所部門 最優秀賞
  • 素麺ずばばお気持ちっていくらだろ

    ざぼん子

  • 寝室部門 最優秀賞
  • 長き夜の眼玉の奥に脳がある

    加里かり子

  • 玄関部門 最優秀賞
  • 表札よりでかいセコムのシール師走

    水越千里

  • 風呂部門 最優秀賞
  • ごきぶりと全裸で向かひ合つてゐる

    嶋村らぴ

  • トイレ部門 最優秀賞
  • ウォシュレットぽぽぽぽ終戦記念の日

    水豚庵

 
優秀賞
  • 《リビング部門》
  • どんぐりを詰められているビデオデッキ

    日々の茶めし

  • こたつ出すどこの席でもいい独り

    むげつ空

    嫉妬虫けっ転がして煤払い

    和脩志

  • 仏壇の水も氷りて三日留守

    へばらぎ

  • 《台所部門》
  • 株価暴落おとといの麦茶が臭い

    たきるか

  • 山茶花や卵焼き器の柄のゆるし

    トウ甘藻

  • 客帰る猪日の食洗機うめく

    渡邉 俊

  • 桃届く包丁ひとつ無い独居

    沼野大統領

  • 《寝室部門》
  • 布団はふかふか不整脈は眠らない

    あま門

  • 二、三人絞め殺してそうな毛布

    立川猫丸

  • あかるきはおそろし風邪の瞼閉づ

    はんばぁぐ

  • 独身の毛布のよぢれたる未明

    広瀬康

  • 《玄関部門》
  • 蛾の骸掃くうらがへる掃く毀れる

    百瀬一兎

  • 配達員とけふの花粉を嘆き合ふ

    ぞんぬ

  • 玄関の松笠病の金魚冬

    逢來応來

  • 二の腕の日焼けあかるき生協さん

    星鴉乃雪

  • 《風呂部門》
  • 黴など無い裸眼0.1の風呂

    十月小萩

  • 明日は復職一番風呂の春愁

    二城ひかる

  • わが星座けふ一位なる汗疹かな

    銀紙

  • 沸かしたっけシュレディンガーの夏風呂

    そよかぜ

  • 《トイレ部門》
  • 恋が逃げたトイレの蜘蛛が穏やかだ

    うーみん

  • しりだけはふけるわたしがここにいる

    サマッケニコ

  • 万年青の実尿量測る夫の日々

    若宮鈴音

  • バリウムの沈む便器や綿虫来

    空豆魚

佳作《リビング部門》
 
  • 本棚の撓み建国記念の日

    雨野 理多

  • 孫にふり込みぬ羊日の雀卓

    板柿せっか

  • 壁に戸に拳の跡や春疾風
  • いたっくうらら

  • 毛沢東の画像の後ろの黴

    宇野翔月

  • てつちりや関西弁はすぐうつる

    沖原イヲ

  • 足指の運動てふてふのかなたこなた

    越智空子

  • 母がまた死にさうと云ふ骨正月

    小野睦

  • 戸袋から雨戸雨戸雨戸大蜘蛛

    かときち

  • グッピーの殖えて間借りの四畳半

    ガリゾー

  • 団欒の人差指の潰す蟻

    清瀬朱磨

  • 頭蓋骨ぎしぎし老父蛸を嚼む

    句々奈

  • 構はねばすぐに不機嫌シクラメン

    佐藤さらこ

  • 寄せ集め家族のしんがりは仔猫

    佐藤ゆま

  • 結果待つ乳房のしこりシクラメン

    司香

  • ちちははの座はここ、ここよ小鳥来る

  • ヒヤシンス父の写真に寄りかかり

    鈴木秋紫

  • のどけしやどこまで転ぶボビン糸

    高尾一叶

  • 掃除機は「強」春昼を号泣す

    立石神流

  • 炬燵寝や職業欄に無を記し

    超凡

  • 折紙の山折り谷折り春を待つ

    兎波

  • 使い方解らぬ家電に埋もれ夏

    中指富士夫

  • ヒヤシンス針箱みたいな仏壇来

    万里の森

  • モップほど犬広がつてゐる暖炉

    東山すいか

  • ビール飲め飲めまずは馴れ初めから話せ

    深町宏

  • イカサマの牌が炬燵の中の手に

    ふるてい

  • コンセントに四つの闇や冬の蠅

    碧西里

  • 三日はや五人破産の七並べ

    黒子

  • 吉宗の斬る悪人や去年今年

    星埜黴円

  • 蠅帳や土曜の昼の新喜劇

    横山雑煮

  • 春の雪カーテン付けて部屋になる

    うさの

  • 手の荒れのまぶしきバレンタインの日

    はぐれ杤餅

佳作《台所部門》
 
  • 余生には早し南瓜は硬すぎる

    あおい

  • 利口ではないが海鼠は上手く焼く

    青井えのこ

  • 雑炊の頃に帰宅や反抗期

    渥美こぶこ

  • 鬼の腕くらい切れそう南瓜切る
  • 稲垣加代子

  • 湿気たバゲット噛みちぎる春昼

    うく

  • 湯豆腐に亀裂パンゲア崩壊す

    江口朔太郎

  • 朝寝してちょっといいジャム開ける音

    おちゅん

  • 食パンの山頂まどか小鳥来る

    翡翠工房

  • 神濯ぐやうに研ぎたる今年米

    岸来夢

  • 新米の炊けて笑点終わるころ 

    紅三季

  • 大根の断面白し母の死後

    けーい◯

  • 男みな女が産むの山葵擂る

    幸田梓弓

  • キッチンの明かりの青き風邪心地

    幸の実

  • 蕗味噌やとうに忘れし月経痛

    末永真唯

  • 朝寒やすこし煮返すきりたんぽ

    静岩

  • 天麩羅に撓る竹箸花の雨

    そよかぜ

  • 豆苗をざくざく斬首して長閑

    多数野麻仁男

  • 去年今年火の亡き厨の火伏せ札

    ただひとり

  • 巨漢来る蛇口修理や春隣

    玉響雷子

  • たまご割るやうに涼しき詩をひとつ

    千夏乃ありあり

  • 漏水のみづとほくまで秋ともし

    ツナ好

  • 足袋の裏清し年立つ台所

    苫野 とまや

  • 蠅取リボン蠅の鼓動に揺れてをり

    乃咲カヌレ

  • 心太中二は謝意をよう言わん

    花和音

  • まだ誰も触れぬ厨の初明かり

    冬島 直

  • 白玉に黒蜜とうきやうにルール

    古瀬まさあき

  • 吹けさうなちくわのかたち春近し

    ほしのり

  • 陽に捧ぐ如く艶やか大根干す

    八重山吹

  • 凩や米櫃は底近し近し

    安田伝助

  • 包丁を研ぐや借家に春の雪

    山城道霞

  • 野球は佳境南京すごく固い

    楽花生

  • 蓮根の穴から見てる遠い国

    伊都

佳作《寝室部門》
 
  • いなびかり父の肺腑にびつしり癌

    伊藤映雪

  • 行く春や音を生まんと母の舌

    入江みを

  • 巻貝のかたち秋思の夜のかたち

    海色のの

  • 寒鴉鳴くお薬が切れてきた
  • 九月だんご

  • おぼろ月母に合わせるわらべ唄

    恵翠

  • ドライシャンプー母の頭蓋のやはき秋

    謙久

  • 充電のコードを纏い朝寝かな

    紅紫あやめ

  • 子規さんも臓腑捩りて糞せしや

    さおきち

  • うそ寒や一人より二人の無言

    櫻心

  • 淋しさに潜る布団に朝を待つ

    三月兎

  • 昼顔やぼくのおんどにねむるきみ

    四條たんし

  • 透析の夫待つ床そぞろ寒

    鈴木そら

  • 医学部は受けない懐炉揉みしだく

    たーとるQ

  • 南瓜の花星の役目を君にゆずる

    髙田祥聖

  • 風邪の床耳は楽しき音ひろふ

    谷山みつこ

  • 啓蟄や耳石かすかに右側へ

    でんでん琴女

  • 電動ベッドウイイ祖母立つや春

    土取

  • 障子貼る明日も君のあるごとく

    風蘭智子

  • 骨壺も遺影も抱へ蚊帳の父

    ペトロア

  • カーテンの波打ち際の夏・無職

    三浦にゃじろう

  • 星月夜われら自由な管楽器

    弥栄弐庫

  • 襖閉じて我を秋より隔離せり

    山崎三才

  • 反省会始まりそうな毛布の夜

    雪のこだま

  • 私をきれいに枯らす蒲団かな

    亘航希

  • 毛布かぶる消えたい夜に消えないため

    酒井拓夢

佳作《玄関部門》
 
  • その人は義足ぬぐひてお年玉

    有村自懐

  • 子どもはいません空蝉は瓶に

    飯村祐知子

  • 戸に挟み込めば捩れてゆく百足虫

    泉楽人

  • サンダル一足もう汚れない玄関
  • うからうから

  • 日の丸の折り目正しきお元日

    空木花風

  • カサブランカといふ美しき鈍器

    小野更紗

  • 額拭く郵便夫にも西瓜をば

    片山千恵子

  • 淡雪や神を説く人玄関に

    北乃ふるめ

  • ドルチェ&ガッバーナの香のなまはげ来

    蜘蛛野澄香

  • 左だけ擦り減る母の靴寒夜

    苔間きい

  • こがらしや数分前の不在票

    ちょくる

  • 正月を待つちりめんの蛇の目つぶら

    チョコ婆

  • ちはやふる童子の靴の貝合わせ

    つきみちる

  • 春の虹妣の靴捨つるまで二年

    土井あくび

  • エナメルの白靴か叔父貴来てるのか

    東京堕天使

  • ドアアイに人のねじれて虎落笛

    どこにでもいる田中

  • 皆んなって誰さ寄せ植えのパンジー

    鳥乎

  • 謝らぬ母を謝る日の盛

    七瀬ゆきこ

  • 寒鴉あをし今日から父子家庭

    奈良井

  • 探梅へ注射器持つた飴持つた

    西川由野

  • 回覧板薔薇を潜ってやって来る

    ふみづきちゃこ

  • 着払ひでカーネーションの届きけり

    勇緋ゆめゆめ

  • 履かぬまま雪沓のなか何かいる

    老黒猫

佳作《風呂部門》
 
  • 滑稽なる気迫霜夜の白髪染め

    かま猫

  • 髪洗う頭三つに足六本

    きいこ

  • 城山の梟の声真夜の風呂

    喜多輝女

  • 髪洗ふ髪無き頭蓋かっこ良し
  • こころ美人

  • 寒燈や祖母の背中の手術痕

    駒村タクト

  • みづがみづ弾くうららかなるうがひ

    コンフィ

  • 朝風呂や訳あり柚子の打ち寄せる

    坂野ひでこ

  • シャワーヘッド暴れて秋の深まれり

    佐藤レアレア

  • いきものの犬歯の傷を柚子湯かな

    清水縞午

  • いつのまに裏ある乳房石鹸玉

    立田鯊夢

  • 少しづつ髪の手応へ春の月

    蓼科 嘉

  • また父の便に濁った冬の風呂

    ならば粒あん

  • 親知らずの洞に朧の棲みつきぬ

    ノセミコ

  • 風呂に梳く父のたてがみ春隣

    野野あのん

  • 大罪のごとく湯ざめを叱られて

    帝菜

  • 湯に揉みし献血痕や梅見月

    麦のパパ

  • 四か所の手すりをリレー冬の風呂

    雪うさぎ

  • 柚子風呂の乳房にもある喫水線

    ゆりかもめ

  • くねる身の百足にかけるマジックリン

    ヨシキ浜

  • 若妻の湯殿や膨らむ木蓮や

    らねじ

  • 浴室の父うらがへす聖夜かな

    げばげば

佳作《トイレ部門》
 
  • 後追ひに開け放つ戸や花くちなし

    秋野しら露

  • 立春大吉パンツおろせば黒子見ゆ

    阿部八富利

  • 神様はいないとしても掃納

    天橋立右彩

  • 蜩や母だった人便掴む
  • 内田ゆの

  • 快便や短冊ほどの空高し

    草深みずほ

  • 台風圏うんちょすのかさのわっほい

    白沢ポピー

  • 立春の筋トレのごと坐すトイレ

    主藤充子

  • 籠城にうってつけだが汗しとど

    つんちゃん

  • 如月のまっさらなみず閉経す

    馬場めばる

  • 排便の有無を訊きたる春の宵

    久蔵久蔵

  • 四歳の便巨大なり大西日

    日向あさね

  • 泣く前に磨く便器や雪うさぎ

    ヒマラヤで平謝り

  • ストーマのあたたかき尿すてて春

    広島じょーかーず

  • 蚯蚓鳴く長尿果てなほニ滴

    円海六花

  • トイレの壁に今も子のひまわりの絵

    みやび

  • 睡魔とか背負ひ厠へ寒の内

    無弦奏

  • 閉経のしるしはなくて帰り花

    山羊座の千賀子

  • 逆転を見逃すトイレ春の虹

    雪音

  • 耽読の手を洗うまで啄木忌

    吉野川

  • 花冷や便座の硬き月曜日

    四方うみ哉

  • アッパレな二歳児の便ももの花

    落花生の花

  • 冬の夜時間と量の記録表

    ルージュ

  • おそらくは快便が〇古暦

    ギル

特別賞《毎日凸凹部門》
  • ココロの誤作動/日を向かぬヒマワリ

    沢拓庵

  • 待つ夫に今日の落葉を拾いたり

    知代子

  • 父がつけ春に忘れたわたしの名

    背番号7

  • 東風もなし行くあてもなし休診日

    千里おんち

  • 葉桜や今日も生き延びたからマル

    真夏の雪だるま

  • 妻と逢ふ日課のけふのさくら餅

    南井 俊輔

  • ふんわりと冬のカルピス運ぶ夜

    ぎん

  • 古妻にゴボ天譲るおでんかな

    加藤多作

  • 転居する話に尾鰭山笑ふ

    美与

  • 祭壇に七つのランク菊日和

    ナノコタス

 
佳作《毎日凸凹部門》
 
  • 待人は父でないらし天の川

    青木りんどう

  • 重さうな父のお襁褓と満月と

    赤坂みずか

  • 百歳の「母ちゃんおらん」と泣く寒夜

    藍創千悠子

  • ソフトボール一個の便と記す処暑
  • 香亜沙

  • 死後に聞く父の初恋花八つ手

    気仙椿

  • 鰯雲「イエサカヘル」と母の言う

    コミマル

  • 父の日や卒寿の足の爪硬し

    こもれび

  • 柱から柱へ渡る父冬日

    曽根朋朗

  • 納骨は今日蠟梅は庭に満開

    人生の空から

  • 春の雨傘から傘へ車椅子

    常磐はぜ

  • 父外科へ母は耳鼻科へ鳥雲に

    中原みのり

  • だんまりの喧嘩のかたちくわりんの実

    春野ぷりん

  • 生活費入れぬ子といる春の昼

    ひつじ

  • 侘助やヘルパーの母七十九

    ヒロヒ

  • オリオンや襁褓ずつしりごみ袋

    山口さと子

  • 父を待つ大工道具や雪の蔵

    若林くくな

  • 病名の打ち明け合いや日脚伸ぶ

    海神瑠珂

  • 月冴ゆと知らせ合う友ありて今

    縦縞の烏瓜

  • 凩の果つるところのひきこもり

    智幸子

  • 昼霞白髪閉経五十肩

    田野方花

  • ひまはりはあなたそのものだつたよな

    迫久鯨

  • 夕焼ややり直したい恋がある

    なし

  • どすのごと目刺を並べ夫を待つ

    椋本望生

  • 吐き切って吸うのだ我も明日冬至

    明苑

  • 柿一つ耳遠ければ笑むばかり

    井田たみ

  • 七草の色淡くありうるし椀

    市子

  • 夕食のスープに映る聖樹かな

    紗昆主

  • 花の名を教えてください春もまた

    10月入社

  • 冬ざれや小さい文字が見えなくて

    新みらい

  • 突然の訃報に手折る紅葉かな

    茅上子

  • 団欒の真ん中に置く落花生

    塚本 博子

  • 凸凹の瓢箪ゆらり子規の宿

    津田 京子

  • ベランダの冬に時々会いに行く

    なし枝

  • なんとまあ90回目の今日立春

    ななかまど

  • 秋夜長薬の数を競い合い

    にゃんこはは

  • 春雷や湯ぶねに謡浚い入る

    白征

  • 開け放つ九月の扉人が好き

    久田 洋子

  • 新涼やパンにとろみと蜂の蜜

    福ちゃん

  • いかなごの薫る被災地復興へ

    まなみ

  • しなやかに弓引き絞る淑気かな

    八千草

  • 天の川少年の日の片想い

    洋々

  • 中庭をひと巡り吾の紅葉狩り

    良子

  • 粉ぐすり隅まで飲んで歳の暮

    田中勝博

  • 美しい日々雪かぶるいぶき山

    永井愛子

特別賞 《当日投句 兼題「庭」》
  • 十薬の庭へ訪問入浴車
  • 深山むらさき

  • 残菊の眩しき病み父の庭

    三月兎

  • 蟻の列庭の墓標のアイス棒

    深川文吉

  • 月涼し庭から土器が出るなんて
  • 十月小萩

  • 春光の狭庭鳩舎の二羽を売る

    佐藤志祐

  • 庭石の五時に居座る炎暑かな

    東京堕天使

  • 家出じゃない庭にいただけ桜の実

    無花果邪無

  • 風死すや大庭社長の禿頭

    うすい木蓮

  • 玉葱穫れた発泡スチロールの畑

    鱈瑞々

  • 紫陽花や庭師は何を口遊む

    海老名てんてん

 

特別賞の賞品は、後日、夏井いつき先生の生まれ故郷・愛媛県愛南町様より特産品「河内晩柑ストレートジュースと湯上りゼリーセット」をお贈りいたします。

■ 愛媛県愛南町 HP
 

■ 株式会社 季節園(企業組合パトリクッキング) HP

ご提供ありがとうございます。