おウチde俳句大賞

大賞
リビング部門
母割りし窓を片付け終え、時雨
家守らびすけ

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台所部門 最優秀賞
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素麺ずばばお気持ちっていくらだろ
ざぼん子
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寝室部門 最優秀賞
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長き夜の眼玉の奥に脳がある
加里かり子
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玄関部門 最優秀賞
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表札よりでかいセコムのシール師走
水越千里
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風呂部門 最優秀賞
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ごきぶりと全裸で向かひ合つてゐる
嶋村らぴ
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トイレ部門 最優秀賞
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ウォシュレットぽぽぽぽ終戦記念の日
水豚庵

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《リビング部門》
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どんぐりを詰められているビデオデッキ
日々の茶めし
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こたつ出すどこの席でもいい独り
むげつ空
嫉妬虫けっ転がして煤払い和脩志
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仏壇の水も氷りて三日留守
へばらぎ
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《台所部門》
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株価暴落おとといの麦茶が臭い
たきるか
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山茶花や卵焼き器の柄のゆるし
トウ甘藻
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客帰る猪日の食洗機うめく
渡邉 俊
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桃届く包丁ひとつ無い独居
沼野大統領
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《寝室部門》
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布団はふかふか不整脈は眠らない
あま門
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二、三人絞め殺してそうな毛布
立川猫丸
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あかるきはおそろし風邪の瞼閉づ
はんばぁぐ
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独身の毛布のよぢれたる未明
広瀬康
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《玄関部門》
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蛾の骸掃くうらがへる掃く毀れる
百瀬一兎
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配達員とけふの花粉を嘆き合ふ
ぞんぬ
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玄関の松笠病の金魚冬
逢來応來
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二の腕の日焼けあかるき生協さん
星鴉乃雪
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《風呂部門》
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黴など無い裸眼0.1の風呂
十月小萩
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明日は復職一番風呂の春愁
二城ひかる
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わが星座けふ一位なる汗疹かな
銀紙
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沸かしたっけシュレディンガーの夏風呂
そよかぜ
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《トイレ部門》
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恋が逃げたトイレの蜘蛛が穏やかだ
うーみん
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しりだけはふけるわたしがここにいる
サマッケニコ
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万年青の実尿量測る夫の日々
若宮鈴音
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バリウムの沈む便器や綿虫来
空豆魚

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本棚の撓み建国記念の日
雨野 理多
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孫にふり込みぬ羊日の雀卓
板柿せっか
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壁に戸に拳の跡や春疾風
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いたっくうらら
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毛沢東の画像の後ろの黴
宇野翔月
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てつちりや関西弁はすぐうつる
沖原イヲ
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足指の運動てふてふのかなたこなた
越智空子
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母がまた死にさうと云ふ骨正月
小野睦
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戸袋から雨戸雨戸雨戸大蜘蛛
かときち
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グッピーの殖えて間借りの四畳半
ガリゾー
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団欒の人差指の潰す蟻
清瀬朱磨
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頭蓋骨ぎしぎし老父蛸を嚼む
句々奈
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構はねばすぐに不機嫌シクラメン
佐藤さらこ
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寄せ集め家族のしんがりは仔猫
佐藤ゆま
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結果待つ乳房のしこりシクラメン
司香
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ちちははの座はここ、ここよ小鳥来る
仁
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ヒヤシンス父の写真に寄りかかり
鈴木秋紫
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のどけしやどこまで転ぶボビン糸
高尾一叶
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掃除機は「強」春昼を号泣す
立石神流
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炬燵寝や職業欄に無を記し
超凡
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折紙の山折り谷折り春を待つ
兎波
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使い方解らぬ家電に埋もれ夏
中指富士夫
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ヒヤシンス針箱みたいな仏壇来
万里の森
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モップほど犬広がつてゐる暖炉
東山すいか
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ビール飲め飲めまずは馴れ初めから話せ
深町宏
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イカサマの牌が炬燵の中の手に
ふるてい
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コンセントに四つの闇や冬の蠅
碧西里
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三日はや五人破産の七並べ
黒子
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吉宗の斬る悪人や去年今年
星埜黴円
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蠅帳や土曜の昼の新喜劇
横山雑煮
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春の雪カーテン付けて部屋になる
うさの
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手の荒れのまぶしきバレンタインの日
はぐれ杤餅

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余生には早し南瓜は硬すぎる
あおい
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利口ではないが海鼠は上手く焼く
青井えのこ
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雑炊の頃に帰宅や反抗期
渥美こぶこ
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鬼の腕くらい切れそう南瓜切る
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稲垣加代子
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湿気たバゲット噛みちぎる春昼
うく
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湯豆腐に亀裂パンゲア崩壊す
江口朔太郎
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朝寝してちょっといいジャム開ける音
おちゅん
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食パンの山頂まどか小鳥来る
翡翠工房
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神濯ぐやうに研ぎたる今年米
岸来夢
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新米の炊けて笑点終わるころ
紅三季
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大根の断面白し母の死後
けーい◯
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男みな女が産むの山葵擂る
幸田梓弓
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キッチンの明かりの青き風邪心地
幸の実
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蕗味噌やとうに忘れし月経痛
末永真唯
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朝寒やすこし煮返すきりたんぽ
静岩
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天麩羅に撓る竹箸花の雨
そよかぜ
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豆苗をざくざく斬首して長閑
多数野麻仁男
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去年今年火の亡き厨の火伏せ札
ただひとり
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巨漢来る蛇口修理や春隣
玉響雷子
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たまご割るやうに涼しき詩をひとつ
千夏乃ありあり
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漏水のみづとほくまで秋ともし
ツナ好
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足袋の裏清し年立つ台所
苫野 とまや
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蠅取リボン蠅の鼓動に揺れてをり
乃咲カヌレ
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心太中二は謝意をよう言わん
花和音
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まだ誰も触れぬ厨の初明かり
冬島 直
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白玉に黒蜜とうきやうにルール
古瀬まさあき
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吹けさうなちくわのかたち春近し
ほしのり
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陽に捧ぐ如く艶やか大根干す
八重山吹
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凩や米櫃は底近し近し
安田伝助
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包丁を研ぐや借家に春の雪
山城道霞
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野球は佳境南京すごく固い
楽花生
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蓮根の穴から見てる遠い国
伊都

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いなびかり父の肺腑にびつしり癌
伊藤映雪
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行く春や音を生まんと母の舌
入江みを
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巻貝のかたち秋思の夜のかたち
海色のの
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寒鴉鳴くお薬が切れてきた
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九月だんご
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おぼろ月母に合わせるわらべ唄
恵翠
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ドライシャンプー母の頭蓋のやはき秋
謙久
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充電のコードを纏い朝寝かな
紅紫あやめ
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子規さんも臓腑捩りて糞せしや
さおきち
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うそ寒や一人より二人の無言
櫻心
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淋しさに潜る布団に朝を待つ
三月兎
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昼顔やぼくのおんどにねむるきみ
四條たんし
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透析の夫待つ床そぞろ寒
鈴木そら
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医学部は受けない懐炉揉みしだく
たーとるQ
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南瓜の花星の役目を君にゆずる
髙田祥聖
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風邪の床耳は楽しき音ひろふ
谷山みつこ
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啓蟄や耳石かすかに右側へ
でんでん琴女
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電動ベッドウイイ祖母立つや春
土取
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障子貼る明日も君のあるごとく
風蘭智子
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骨壺も遺影も抱へ蚊帳の父
ペトロア
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カーテンの波打ち際の夏・無職
三浦にゃじろう
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星月夜われら自由な管楽器
弥栄弐庫
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襖閉じて我を秋より隔離せり
山崎三才
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反省会始まりそうな毛布の夜
雪のこだま
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私をきれいに枯らす蒲団かな
亘航希
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毛布かぶる消えたい夜に消えないため
酒井拓夢

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その人は義足ぬぐひてお年玉
有村自懐
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子どもはいません空蝉は瓶に
飯村祐知子
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戸に挟み込めば捩れてゆく百足虫
泉楽人
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サンダル一足もう汚れない玄関
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うからうから
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日の丸の折り目正しきお元日
空木花風
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カサブランカといふ美しき鈍器
小野更紗
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額拭く郵便夫にも西瓜をば
片山千恵子
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淡雪や神を説く人玄関に
北乃ふるめ
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ドルチェ&ガッバーナの香のなまはげ来
蜘蛛野澄香
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左だけ擦り減る母の靴寒夜
苔間きい
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こがらしや数分前の不在票
ちょくる
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正月を待つちりめんの蛇の目つぶら
チョコ婆
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ちはやふる童子の靴の貝合わせ
つきみちる
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春の虹妣の靴捨つるまで二年
土井あくび
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エナメルの白靴か叔父貴来てるのか
東京堕天使
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ドアアイに人のねじれて虎落笛
どこにでもいる田中
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皆んなって誰さ寄せ植えのパンジー
鳥乎
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謝らぬ母を謝る日の盛
七瀬ゆきこ
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寒鴉あをし今日から父子家庭
奈良井
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探梅へ注射器持つた飴持つた
西川由野
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回覧板薔薇を潜ってやって来る
ふみづきちゃこ
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着払ひでカーネーションの届きけり
勇緋ゆめゆめ
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履かぬまま雪沓のなか何かいる
老黒猫

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滑稽なる気迫霜夜の白髪染め
かま猫
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髪洗う頭三つに足六本
きいこ
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城山の梟の声真夜の風呂
喜多輝女
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髪洗ふ髪無き頭蓋かっこ良し
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こころ美人
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寒燈や祖母の背中の手術痕
駒村タクト
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みづがみづ弾くうららかなるうがひ
コンフィ
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朝風呂や訳あり柚子の打ち寄せる
坂野ひでこ
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シャワーヘッド暴れて秋の深まれり
佐藤レアレア
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いきものの犬歯の傷を柚子湯かな
清水縞午
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いつのまに裏ある乳房石鹸玉
立田鯊夢
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少しづつ髪の手応へ春の月
蓼科 嘉
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また父の便に濁った冬の風呂
ならば粒あん
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親知らずの洞に朧の棲みつきぬ
ノセミコ
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風呂に梳く父のたてがみ春隣
野野あのん
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大罪のごとく湯ざめを叱られて
帝菜
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湯に揉みし献血痕や梅見月
麦のパパ
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四か所の手すりをリレー冬の風呂
雪うさぎ
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柚子風呂の乳房にもある喫水線
ゆりかもめ
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くねる身の百足にかけるマジックリン
ヨシキ浜
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若妻の湯殿や膨らむ木蓮や
らねじ
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浴室の父うらがへす聖夜かな
げばげば

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後追ひに開け放つ戸や花くちなし
秋野しら露
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立春大吉パンツおろせば黒子見ゆ
阿部八富利
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神様はいないとしても掃納
天橋立右彩
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蜩や母だった人便掴む
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内田ゆの
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快便や短冊ほどの空高し
草深みずほ
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台風圏うんちょすのかさのわっほい
白沢ポピー
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立春の筋トレのごと坐すトイレ
主藤充子
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籠城にうってつけだが汗しとど
つんちゃん
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如月のまっさらなみず閉経す
馬場めばる
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排便の有無を訊きたる春の宵
久蔵久蔵
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四歳の便巨大なり大西日
日向あさね
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泣く前に磨く便器や雪うさぎ
ヒマラヤで平謝り
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ストーマのあたたかき尿すてて春
広島じょーかーず
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蚯蚓鳴く長尿果てなほニ滴
円海六花
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トイレの壁に今も子のひまわりの絵
みやび
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睡魔とか背負ひ厠へ寒の内
無弦奏
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閉経のしるしはなくて帰り花
山羊座の千賀子
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逆転を見逃すトイレ春の虹
雪音
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耽読の手を洗うまで啄木忌
吉野川
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花冷や便座の硬き月曜日
四方うみ哉
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アッパレな二歳児の便ももの花
落花生の花
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冬の夜時間と量の記録表
ルージュ
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おそらくは快便が〇古暦
ギル

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ココロの誤作動/日を向かぬヒマワリ
沢拓庵
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待つ夫に今日の落葉を拾いたり
知代子
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父がつけ春に忘れたわたしの名
背番号7
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東風もなし行くあてもなし休診日
千里おんち
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葉桜や今日も生き延びたからマル
真夏の雪だるま
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妻と逢ふ日課のけふのさくら餅
南井 俊輔
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ふんわりと冬のカルピス運ぶ夜
ぎん
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古妻にゴボ天譲るおでんかな
加藤多作
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転居する話に尾鰭山笑ふ
美与
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祭壇に七つのランク菊日和
ナノコタス

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待人は父でないらし天の川
青木りんどう
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重さうな父のお襁褓と満月と
赤坂みずか
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百歳の「母ちゃんおらん」と泣く寒夜
藍創千悠子
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ソフトボール一個の便と記す処暑
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香亜沙
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死後に聞く父の初恋花八つ手
気仙椿
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鰯雲「イエサカヘル」と母の言う
コミマル
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父の日や卒寿の足の爪硬し
こもれび
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柱から柱へ渡る父冬日
曽根朋朗
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納骨は今日蠟梅は庭に満開
人生の空から
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春の雨傘から傘へ車椅子
常磐はぜ
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父外科へ母は耳鼻科へ鳥雲に
中原みのり
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だんまりの喧嘩のかたちくわりんの実
春野ぷりん
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生活費入れぬ子といる春の昼
ひつじ
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侘助やヘルパーの母七十九
ヒロヒ
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オリオンや襁褓ずつしりごみ袋
山口さと子
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父を待つ大工道具や雪の蔵
若林くくな
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病名の打ち明け合いや日脚伸ぶ
海神瑠珂
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月冴ゆと知らせ合う友ありて今
縦縞の烏瓜
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凩の果つるところのひきこもり
智幸子
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昼霞白髪閉経五十肩
田野方花
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ひまはりはあなたそのものだつたよな
迫久鯨
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夕焼ややり直したい恋がある
なし
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どすのごと目刺を並べ夫を待つ
椋本望生
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吐き切って吸うのだ我も明日冬至
明苑
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柿一つ耳遠ければ笑むばかり
井田たみ
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七草の色淡くありうるし椀
市子
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夕食のスープに映る聖樹かな
紗昆主
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花の名を教えてください春もまた
10月入社
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冬ざれや小さい文字が見えなくて
新みらい
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突然の訃報に手折る紅葉かな
茅上子
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団欒の真ん中に置く落花生
塚本 博子
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凸凹の瓢箪ゆらり子規の宿
津田 京子
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ベランダの冬に時々会いに行く
なし枝
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なんとまあ90回目の今日立春
ななかまど
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秋夜長薬の数を競い合い
にゃんこはは
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春雷や湯ぶねに謡浚い入る
白征
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開け放つ九月の扉人が好き
久田 洋子
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新涼やパンにとろみと蜂の蜜
福ちゃん
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いかなごの薫る被災地復興へ
まなみ
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しなやかに弓引き絞る淑気かな
八千草
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天の川少年の日の片想い
洋々
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中庭をひと巡り吾の紅葉狩り
良子
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粉ぐすり隅まで飲んで歳の暮
田中勝博
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美しい日々雪かぶるいぶき山
永井愛子
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十薬の庭へ訪問入浴車
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深山むらさき
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残菊の眩しき病み父の庭
三月兎
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蟻の列庭の墓標のアイス棒
深川文吉
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月涼し庭から土器が出るなんて
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十月小萩
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春光の狭庭鳩舎の二羽を売る
佐藤志祐
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庭石の五時に居座る炎暑かな
東京堕天使
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家出じゃない庭にいただけ桜の実
無花果邪無
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風死すや大庭社長の禿頭
うすい木蓮
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玉葱穫れた発泡スチロールの畑
鱈瑞々
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紫陽花や庭師は何を口遊む
海老名てんてん
特別賞の賞品は、後日、夏井いつき先生の生まれ故郷・愛媛県愛南町様より特産品「河内晩柑ストレートジュースと湯上りゼリーセット」をお贈りいたします。
ご提供ありがとうございます。