おウチde俳句大賞

第6回 おウチde俳句大賞結果発表

大賞

風呂部門

良き日かな髪を洗えただけだけど

帝菜

最優秀賞
  • リビング部門 最優秀賞
  • 双六の母のスピード離婚かな

    いかちゃん

  • 台所部門 最優秀賞
  • 夕焼も義母に漂白されるまま

    立石神流

  • 寝室部門 最優秀賞
  • 子らの狭間二十センチに春眠す

    うく

  • 玄関部門 最優秀賞
  • 救急隊の蹴飛ばしていつた白靴

    高橋寅次

  • トイレ部門 最優秀賞
  • 経血赫し仙人掌のいびつな徒長

    常磐はぜ

 
優秀賞
  • 《リビング部門》
  • 鏡餅揺れてテレビに震度六

    里山まさを

  • 直球の蜜柑育休取れぬ俺

    天雅

    部屋干しの底に眠らむ桜桃忌

    ユリノキ

  • それはどうでもいいこの仔猫は何

    齊藤巻繊

  • 《台所部門》
  • 恋仲を裂くやうに裂く榎茸

    あなぐまはる

  • 冷麦を茹でる程度の愛残る

    清白真冬

  • 玉蜀黍茹で上がるまで子の丸付け

    雪のこだま

  • 致死量の誹謗中傷でもおでん

    三尺 玉子

  • 《寝室部門》
  • 嚏してはじめて僕の声を聞く

    ヒマラヤで平謝り

  • 酷暑の夜未晒色の母の息

    明 惟久里

  • 河童忌や目さえ閉じれば明日になる

    鳥乎

  • 大朝寝この身に四肢の生えてをり

    ぴの

  • 《玄関部門》
  • 火取り虫にそわそわ配達員と我

    あなうさぎ

  • 母転ける気がして戻すシクラメン

    天橋立右彩

  • 夕焼や上がり框にばあちゃんず

    欣喜雀躍

  • 浮気ではなかつた頃の日傘かな

    梵庸子

  • 《風呂部門》
  • 倍速のドラマゆず湯に湯を足す夜

    王朋亡

  • 麻痺の手のしづかに髪を洗う音

    広島じょーかーず

  • 子を先に拭きたるバスタオルの冷た

    碧月ゆう

  • 虎落笛肩か膝かは出る湯船

    前田

  • 《トイレ部門》
  • あさつてのみつをのことば身にしむる

    渥美 謝蕗牛

  • 蝋梅や和式トイレにオロナイン

    飯村祐知子

  • バリウムの午後を有給ラベンダー

    蜘蛛野澄香

  • 小春日や吾子のうんちにアテレコす

    平良嘉列乙

佳作《リビング部門》
 
  • おでん種尽きてうつつに戻りけり

    あおい

  • 人日や毛玉取り器へ乾電池

    青水桃々

  • 龍ふたり虎はひとりやお正月
  • 葦屋蛙城

  • リカちゃんも等しく老いて薔薇の家

    うに子

  • 春の雨ショパンが泣いてくれている

    おしゃべりスナフキン

    ごきぶりを招くお屋敷組み立てる

    河上摩子

  • 雛の日や食ふは明るきものばかり

  • 母のいる場所がリビング黄水仙

    九萬太郎

  • 花冷の机薬の殻だらけ

    コンフィ

  • 夫の切る臨月の爪月涼し

    末永真唯

  • 球児みな年下二本目のビール

    多喰身・デラックス

  • 春炬燵ヒロイン今日もいびられて

    丹波らる

  • 引戸硬し遮二無二夏を入れ替える

    とうりゅう

  • 愛の日のドラマ砕けた芋けんぴ

    とひの 花穂

  • 妻逝くを識らずに父の聖歌かな

    七瀬ゆきこ

  • 十二月八日押しピン取って穴

    新田崚真

  • 淋しさが林檎に耳を作らせる

    沼野大統領

  • 嵩高き父の襁褓や夜の雪

    平本魚水

  • 初電話ヒトと代わってくれないか

    冬のおこじょ

  • 春炬燵法要回忌早見表

    房総たまちゃん

  • 老眼鏡の螺子に青錆生ふ子規忌

    星埜黴円

  • 倒産速報パソコン畳む春炬燵

    牧野冴

  • 俺ん家は溜まり場カギっ子の秋日

    むい美縁

  • 月あかりしけもくさぐる爪楊枝

    山尾政弘

  • 死ぬための帰宅でも良し白障子

    朗子

佳作《台所部門》
 
  • まな板に向こう傷ある残暑かな

    あみま

  • 蜂蜜ざりり掬いしは三日月の角か

    海色のの

  • 大根のたきかた地球のまわしかた

    うめやえのきだけ

  • フライパン片手で返し燕来る
  • 折田巡

  • 結局は厨で過ごす二月尽

    かぐやのくう

  • 春めくや國生むやうにパンケーキ

    岸来夢

    関節をへし折られたり松葉蟹

    キッカワテツヤ

  • 颱風近し俎を洗ふなり

    霧賀内蔵

  • 残り野菜だらけのカレー夏休み

    桐山はなもも

  • ごきぶりごきぶりごきぶ 戦況のLINE 

    銀紙

  • まな板の屹立初がらす鳴く

    里山子

  • 紙パック百余開きて夏果てて

    沢拓庵

  • 何度目の八月母の御御御付

    すりいぴい

  • 籠城か牢獄か厨の日永

    たかみたかみ

  • 空爆の記事を突き出る春大根

    竹田むべ

  • 換気扇からから愛の日の頭痛

    谷川ふみ

  • 食欲の単位は餃子夏近し

    千夏乃ありあり

  • はるのゆきははのカレーを解凍す

    なつふじ

  • 春の夕木べらにあまやかなくぼみ

    ナノコタス

  • 送り梅雨瀕死の糠を捏ねる午後

    はっぱ

  • 月見草死んだ目高は生ごみ

    日向あさね

  • 包丁を握る皸開きけり

    舞童あづき

  • まな板を真白にしましょ開戦日

    まちばり

  • ふきのとう祖母が叱るの私だけ

    三浦にゃじろう

  • パエリアの焦げを分け合ふ立夏かな

    めぐみの樹

  • キッチンの窓や雪だ好きだ雪だ

    湯浅香玲

  • 出刃入れる腹に燦々鰤の卵

    リコピン

佳作《寝室部門》
 
  • 延命はやめてね窓にヒヤシンス

    泉晶子

  • 伸びすると足つる齢蒲団抱く

    央泉

  • 涅槃雪五センチ父の顎呼吸

    くくな

  • ずっと寝ていて春愁の濡れている
  • けーい◯

  • 穿刺針キット聖樹の雪あをき

    げばげば

  • 天井裏カリカリ何かゐる寒夜

    実相院爽花

    牡丹雪介護ベッドは百余キロ

  • 母の布団凹凸更に失せにけり

    鈴白菜実

  • 六法の厚みはかなき夜長かな

    ぜんしん

  • 窓の雪犬に眠れぬ夜のなし

    ぞんぬ

  • 蚯蚓鳴く月の暈めく常夜灯

    谷山みつこ

  • ほうたるの妻の褥を穢しけり

    内藤羊皐

  • 灯の際へ吐乳の匂ふ夜着を吊る

    仁和田永

  • 横たへる骨の牢獄もがり笛

    花屋英利

  • 立春や役をとかれた千羽鶴

    松本厚史

  • 雪の窓介護ベッドに刈る白髪

    三浦海栗

  • 絵硝子の匣は骨壺ちんちろりん

    茂木 りん

  • 大嚏熱が下がれば腹が減る

    楽花生

  • ベッドしか座すトコロなしクリスマス

    龍酪

佳作《玄関部門》
 
  • 春の夜の淋しきヒール倒れをり

    うからうから

  • 袋ごと渡され金魚の置きどころ

    小野更紗

  • 未使用のエアージョーダン晩夏光

    小笹いのり

  • ミモザ抱きインターフォンを埋め尽くす
  • 洒落神戸

  • 「ただいま」の靴に初雪だつたみづ

    常幸龍BCAD

  • 傘立へ花挿すごとし梅雨の夕

    主藤充子

    餅花を手に酩酊の父帰る

    せなきく

  • 横柄なロンドンブーツたおれ黴

    そまり

  • メキシコから春風次男ただいま

    どゞこ

  • ちりとりへ冬の蜂いま動いたか

    西野誓光

  • 放射線あびに五月のドアを押す

    にゃん

  • サンダルを並べ待ちたる救急車

    ノアノア

  • 夕立を拭ふ肉球ざらつきぬ

    はなぶさあきら

  • 東風吹けば上がり框にランドセル

    風花舞

  • こんちはーの白息ゆたか生協来

    星鴉乃雪

  • 一人居の傘立てにあまたなる芒

    村瀬ふみや

  • 花一凛一時帰宅のおばあ待つ

    山内プーコ

  • 盛り塩の固き円錐雪しまき

    雪椿

  • 夜桜や喪服の肩の清め塩

    横山雑煮

  • 幾万回ふまれし三和土燕来る

    落花生の花

  • 父逝くや賀状に混ざる督促状

    渡邉 俊

佳作《風呂部門》
 
  • 閃きがさうでもなかつた湯ざめかな

    阿部八富利

  • 日脚伸ぶ犬の毛詰まる排水口

    一色 那真呼

  • ひげそりのでんちがさびている冬だ

    いといと6才

  • 七十が八十の髪洗ひけり
  • 伊藤映雪

  • 風呂に鳴く蝉の不憫に父呼ばれ

    軽時計

  • 風呂洗ふ柚子のひかりを拾ひ上げ

    酒井拓夢

    エウレカエウレカ大脳みたいな柚子ぷかり

    四條たんし

  • シャワーシャワーほんとうのぼくあらわれる

    たーとるQ

  • 満月の弾力「お風呂が沸きました」

    津々うらら

  • 柚子湯の柚子寄る遠ざける寄る許す

    ツナ好

  • 夏兆す一生分の石鹸買ふ

    峠の泉

  • 咳き込んであばらが波を生む湯舟

    古瀬まさあき

  • 命日を忘れシャワーのなかにゐる

    百瀬一兎

  • いちもつのきえいりさうなほど湯ざめ

    矢的

  • 浴槽は棺に似たり虎落笛

    ゆりかもめ

佳作《トイレ部門》
 
  • 褥瘡のチューブ冷たしトイレ暗し

    一久恵

  • 漢方の効きて寒夜の厠かな

    大橋あずき

  • ナプキンをひらく椿は熱をもつ

    沖原イヲ

  • 春遠しトイレの窓辺にメンターム
  • 草深みずほ

  • 排尿の訓練二十三夜月

    東風 径

  • 薫風や女児のすつくと立小便

    駒村タクト

    うららかやトイレに父の株の本

    ぜのふるうと

  • 爺ちやんの全き放屁天高し

    田季たまき

  • 暁の半月板へ冬至る

    千代 之人

  • もりもりの糞する朝や運動会

    東京堕天使

  • 同棲の冬やトイレで打つLINE

    ノセミコ

  • かぐわしきをまれりとつまのいふ四月

    信茶

  • 寒暁や厠から洩れたるは嗚咽

    芳草

  • カテーテル伝ふ温さや虎落笛

    正宗一孝

  • 北窓開くおしっこの床を拭く

    水須ぽっぽ

  • こころてふ便器にこびりつく秋思

    山本先生

  • 大西日凭るるところ無きトイレ

    亘航希

特別賞 《当日投句 兼題「ドア」》
  • 夏きざすものに海辺のドアの錆
  • 湖七

  • ドアの鍵探す寒夜の酔つぱらい

    三月兎

  • 夏休みの寮二十四のドア無音

    実相院爽花

  • 六月のドア押す風の重さうな
  • ふみづきちゃこ

  • モルダウを鼻唄ドアの外は夏

    野村起葉

  • 夏の朝術衣とドアの色が似て

    老黒猫

  • 軋む戸に油差したる帰省かな

    多喰身・デラックス

  • 引くドアをぐいと押す君春の宵

    うーみん

  • ドアノブにどさり見舞いの島バナナ

    ときちゅら

  • じょんがらの雪のホームへ「開」ボタン

    原 水仙

 

特別賞の賞品は、後日、夏井いつき先生の生まれ故郷・愛媛県愛南町様より特産品「河内晩柑ストレートジュースと湯上りゼリーセット」をお贈りいたします。

■ 愛媛県愛南町 HP
 

■ 株式会社 季節園(企業組合パトリクッキング) HP

ご提供ありがとうございます。