俳句deしりとりの結果発表

第45回 俳句deしりとり〈序〉|「がや」①

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第45回の出題

兼題俳句

軒下の紫陽花あがれない我が家  けーい〇

兼題俳句の最後の二音「がや」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「がや」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

2025年も残すところ半月ほどとなりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。第43回にて書いた通り「しりとりに掲載する句増やしてください!」リクエストにお応えして今回で3回目の更新を迎えます。上手い下手を抜きにして同じ発想の句をどどどどっと並べております、このスタイル。今回は過去最高に同じ歌い出しの句が並びましたよ。ご笑覧あれ。

 

がやがやと 運動会の 環に入りぬ

白征

がやがや(※内容は差し控えます)と虫の夜

髙田祥聖

がやがやがやがてがやがや夜学生

砂糖香

がやがやがやそうだがや笑む花の撓

丸山美樹

ガヤガヤガヤ異国語秋の無い国の

花屋英利

ガヤガヤが止まぬ二学期始業式

青蛙

がやがやが止まぬ保護者ら運動会

大久保一水

ガヤガヤジージ裏庭の地虫鳴く

星瞳花

がやがやしゃべる付喪神夜半の秋

ひろ笑い

がやがやで雑多でそんな春が好き

里山子

がやがやとアッパッパーの三姉妹

雨野理多

ガヤガヤとうるさいクラス秋の雷

のんびりくまたん

ガヤガヤとがやの集いし祭かな

柊木涙

がやがやとした空目隠しの午睡

鈴木そら

がやがやとスマホ伝う秋祭り

種月 いつか

がやがやとでんしやでさわぐいちねんせい

里山まさを

がやがやとヒーローショーや秋麗

梵庸子

がやがやとリヤカーゆるる尾花ゆれ

そうわ

ガヤガヤとリュック踊りて山粧う

たまきはる

がやがやと意外とうるさい虫の声

大本千恵子

ガヤガヤと井戸端かいぎ初蛙

がやがやと井戸端に桶墓参り

こきん

がやがやと一団去りて秋深し

信茶

ガヤガヤ』と人押し寄せる酷暑かな

スマイリィ

ガヤガヤと運動会のアヒルかな

かたじん

がやがやと何処かでライブ秋風に

丘るみこ

がやがやと加茂の競馬を応援し

輝虎

がやがやと夏休み明け通学路

杉本年虹

がやがやと蝦夷目張釣る親も子も

三浦海栗

がやがやと蚊帳に雁描く萱葺き屋

かなかな

がやがやと蛾の鱗粉や大東京

山河美登里

ガヤガヤと皆んなが集まる芋煮会

がやがやと句会の反省秋うらら

とも女

がやがやと空澄む場所の試合前

ちくちく慶

がやがやと靴脱ぎ捨てて秋彼岸

しせき

がやがやと健脚集ふ敬老日

太之方もり子

がやがやと枯木にはえる毒菌

草夕感じ

がやがやと香り賑わう金木犀

いつアナmasa

がやがやと国際交流さんま焼く

桃華

ガヤガヤと鯖寿司万博の昼

みえこ

がやがやと賛否両論秋暑し

閑か

がやがやと七福神の夏祭り

小川多英子

ガヤガヤと受話器の向こう側師走

むらのたんぽぽ

ガヤガヤと集まり肇虫時雨

老蘇Y

がやがやと集会所へと秋祭り

日進のミトコンドリア

がやがやと従兄弟会めく秋彼岸

孤寂

がやがやと熟女の宴秋惜む

老黒猫

ガヤガヤと焼き芋抱え勝手口

青山楽夢

がやがやと乗りこむ子より木の実落つ

藤富うに

がやがやと審査発表文化の日

幸水

がやがやと親子体操運動会

糸桜

がやがやと親戚の来て寒椿

小鳥遊

ガヤガヤと親戚集う芋煮会

若狭草

がやがやと親戚談義秋彼岸

のりこうし

がやがやと身の上話し生身魂

閑陽

がやがやと水筒ゆらし休暇明

むい美縁

がやがやと成人の日の写真館

千暁

がやがやと声しさうなる稲穂波

陽光樹

がやがやと青春バズるや運動会

案山子

がやかやと掃かれし落ち葉の独り言

葉山さくら

がやがやと騒ぐ教室秋の昼

へばらぎ

がやがやと騒ぐ子どもと蝉時雨

竹乃 空気男

がやがやと団体客の紅葉狩

まっきい

がやがやと朝霧の道ゆくリュック

田原うた

ガヤガヤと釣れしガヤ食う我が家なり

日月見 大

がやがやと田植えはげますアマガエル

ゆうゆう

がやがやと討ち入り近し轡虫

片山千恵子

がやがやと堂の坂道紅葉晴

高尾一叶

がやがやと賑わし釣りよ秋の潮

かきとみかん

がやがやと日永の憩い待合所

時田チクタク

ガヤガヤと麦稈とんぼの集まり来

咲葉

がやがやと浜辺のゴミや台風過

南全星びぼ

がやがやと部活の帰り星飛べり

閏星

ガヤガヤと並ぶ秋刀魚の詰め放題

国東町子

ガヤガヤと並ぶ女子達鯛焼きや

西 メグル

がやがやと墓ざざめきて夏の夜

狐狸乃

がやがやと幕間眩し茸飯

百瀬はな

ガヤガヤと万博会場秋祭り

メグ

がやがやと無月を渡る百鬼夜行

大和出ユウスケ

ガヤガヤと夜食掻っ込む棚卸

つんちゃん

がやがやと野外ライブや轡虫

くさもち

がやがやと来ては散りゆく茸狩

中島    紺

がやがやと来て帰る子ら日短し

夏の町子

がやがやと老若男女芋煮会

あさり丸

がやがやと閻魔詣の亡者かな

清水ぽっぽ

がやがやにベスポジ探す運動会

だいやま

がやがやにみづをうちたる聖樹かな

巴里乃嬬

がやがやに値を叩く声歳用意

一人男

がやがやのロビーを抜けて秋の月

葛西のぶ子

がやがやの公園廃止地方都市

飯島寛堂

がやがやの静まりかえる大嚔

一井かおり

がやがやの前のぴよぴよランドセル

いちの

がやがやへ開演ブザー龍淵に

さ乙女龍チヨ

がやがやを一喝蝉時雨止まぬ

美んと

ガヤガヤを抜けぬしりとり唐辛子

あま門

がやがや館で初めてズンバ冬うらら

コミマル

ガヤガヤ騒ぐロビーは秋のロードショー

詠野孔球

がやがや登校がらがらと熊鈴

骨の熊猫

あまりにもがやがやしまくっております。身近なオノマトペだから思いついた人多かったですねえ。いったい何十人でがやがやしてるんだ、やかましいわっ!

ちなみに《三浦海栗》さん、《山河美登里》さんのように「がやがや」のあとにさらに「がや」を加えようとした人たちもいます。蝦夷目張も蛾も後ほど登場しますので、このネタで投句した人たちはお楽しみに。
“良き”

ガヤーンと落とすステンレス鍋秋

花岡貝鈴

ガヤンゴヨーン寝台特急は月へ

津々うらら

オノマトペシリーズは「がやがや」が圧倒的すぎて他のパターンは少数でした。《花岡貝鈴》さんの金属が落ちる響き、《津々うらら》さんの電車の揺られて行く振動、どちらもよくわかりますねえ。秋の季感が音の震えを清らかに感じさせてくれます。前者が共感度の高い日常の小さな失敗なのに対して、後者は「月へ」が読みを迷わせます。現実の旅にも思えるし、詩的空想にも思えるし。
“ポイント”

ガヤだけのアニメ出演冬うらら

ヒマラヤで平謝り

がや脱しセリフが欲しい寝待月

団塊のユキコ

がや担当のアフレコ終えておでん鍋

玉響雷子

ガヤ担当の収録果てて九月果つ

冬島 直 (直あらため)

ガヤ録りて声優辞めし雪明かり

七兎子

ガヤ録りの笑顔の日々や上り月

瀬央ありさ

ガヤだった主演女優や鳳仙花

西村小市

ガヤという仕事真冬の二十五時

殻ひな

ガヤという仕事正月のひな壇

まっちゃこ

がやといふ仕事を得たり日記買ふ

紫すみれ

がやといふ役割担ふ進級の日

あなぐまはる

ガヤとしてテレビ出演菊日和

たかみたかみ

ガヤ演じ辿る夜道の月見草

大月ちとせ

がやに身を置き大部屋の木の葉髪

雛あられ

ガヤの役でも爽やかに目立ちけり

ひでやん

ガヤの役寒月揺れて怒られて

若山 夏巳

がやの役降りてもいいか秋時雨

はしま

がやの役降ろされ続け秋の暮れ

飛来 英

がやは歌舞伎の端役なり秋の雷

シラハマナオコ

ガヤは皆男ばかりや雛祭

松虫姫の村人

がや芸の神やしづかに月の駅

苫野 とまや

ガヤ芸やスタジオ3の鶏頭花

蜘蛛野澄香

ガヤ芸人シーンと冷ゆる缶ビール

ズッキーニン

ガヤ芸人なりて十年秋の暮

みそちゃん

がや芸人に沸く新喜劇ちちろ虫

竹田むべ

ガヤ芸人の収録カット冬の雨

玄子

ガヤ芸人の瞳優しき流れ星

梅田三五

ガヤ芸人の鼻先へどくきのこ

帝菜

ガヤ芸人椅子から転び御元日

嶋村らぴ

ガヤ芸人我が家もガヤり桜鍋

昇椿

ガヤ芸人狭きひな壇蝉時雨

京あられ

ガヤ芸人今日は中継牛蒡引く

海苔のりこ

ガヤ芸人辞めて仏門寒雀

咲山ちなつ

がや芸人致命傷なる咳止まず

窪田ゆふ

ガヤ芸人同時にこける散紅葉

朝野あん

ガヤ芸人百人がツッコむ海鼠

けーい〇

ガヤ芸人務めて虫の音を帰る

前田 昂平

ガヤ芸人録画終わりの秋思の背

東田 一鮎

ガヤ席の鼻つく暗さ闇汁会

風早 杏

がや席へ座布団ニ枚やつとくれ

ガリゾー

がや達の興なき芸や夜の長し

青井季節

このネタも多かった! 演劇や映画などで群衆や通行人などその他大勢の役を意味する「がや」。バラエティ番組やお笑いの世界でも、声やリアクションで盛り上げる芸人さんのことを「ガヤ」とか「ガヤ芸人」と呼ぶそうです。以前、声優・大塚明夫さんの『声優魂』って本を読んだんですが、このガヤに関するお話も書かれてた記憶があります。ガヤひとつやってみても、新人さんがただ文字通りがやがや騒ぐのと違って、ベテランの声優さんは「その空間ではこんなやりとりも起きているに違いない」と想像力を働かせた、台本にはないリアリティのあるガヤができる、という話が興味深かったです。演技も俳句も想像力とリアリティが肝心なわけですなあ。

〈②に続く〉

“とてもいい“