第62回「バッテリースタンド」《ハシ坊と学ぼう！①》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
兼題写真の場所は大阪の梅田駅です。最近、駅の構内やコンビニで充電器のレンタルサービスを見かけます。駅のバッテリースタンド、なかなか印象深いです。
山城道霞
季語なし
リサイクル法にリチウム追加され
アルルくん
俳句にこのような言葉を持ち込んでくる意欲は褒めたいのです。が、やはり季語はしっかり入れたいですね。
季語なし
人類滅亡間近兼題俳句詠め
くちなしの香
うーむ、これも季語を入れたほうが意外性のある句になりそうな予感がします。
季語なし
旅先で命をつなぐスタンドよ
シマエナガ
季語なし
デート前やっと見つけた救世主
横井美希（かなへび）
季語なし
電池ほぼゼロスマホの別れ話
世子
季語は欲しいですね。
季語なし
老い五人鍋を囲みて無事祝う
桜貝
「老い五人」という数詞が妙にリアルでいいですね。ただ、「鍋」だけでは季語になりませんので、何か明確な季語を入れてみましょう。
季語なし
バッテリースタンドぽつん星夜の地下街に
あなうさぎ
「ぽつん」がなくても、ぽつんとした感じは十分伝わります。更に、「星夜」では季語にはなりませんが、「聖夜」なら季語ですね。
添削例
バッテリースタンド聖夜の地下街に
季語なし
入力のフリック操作誤字多し
三日月なな子
言いたいことには共感します。季語が欲しいですね。
季語なし
ギガ足らずゲーム途中で凍結す
りっこう
この「凍結」を季語として捉えてよいのか、少々懐疑的です。
季語なし
この世にて誰もが使う便利品
イチゴミルク
季語なし
昔にはなかった物が今はある
イチゴミルク
「LINE、SNS等、皆スマホを持ち、バッテリースタンドもその内の1つになっていると思います」と作者のコメント。
二句ともに、言いたいことは伝わります。が、季語はやはり欲しいですね。
季重なり
秋土用風邪は喉から粥啜る
りこぴん
「風邪」が冬の季語になります。季重なりが絶対にだめなわけではありませんが、まずは季語一つの「取り合わせ」の基本型から練習していきましょう。
季重なり
秋麗5番ホールで栗拾う
りこぴん
「秋麗」「栗」どちらも秋の季語ですね。