写真de俳句の結果発表

第62回「バッテリースタンド」《ハシ坊と学ぼう!②》

ハシ坊

バッテリースタンド

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季重なり

地下鉄の隔てて冴ゆる隙間風

王朋亡

夏井いつき先生より
「冴ゆる」があれば、「隙間風」は不要ではないかと。場所が地下鉄ですしね。
“参った”

季重なり

アンドロイド充電しとこ秋夜長

そうわ

夏井いつき先生より
「夜長」だけで秋の季語になります。
“ポイント”

季重なり

バッテリー尽く無聊なる秋夜長

ふづきかみな

夏井いつき先生より
「夜長」だけで、秋の季語になりますよ。
“参った”

季重なり

スマホなき箱庭住みて冬ぬくし

津木 百合

夏井いつき先生より
「スマホなき箱庭住みて」とは、どういう状況でしょう。「箱庭」のような小さな家という比喩? 実は、「箱庭」も季語なので、少し分かりにくい展開です。スマホを持たない暮らし、ということが言いたいのであれば、「箱庭住みて」という情報を外して、再考してみましょう。
“参った”

花巡り花の九段の坂の上

迷照 りん句

夏井いつき先生より   評価    人 
『花の風ひとすぢ』とハシ坊君に教わりました。早速やり直しにとっかかったのですが、いつもの鉛筆が手につきません。それもそのはず。背のびしながら取り組んでました。それでもなんとか、〈花の風ひとすぢ通す乾門〉〈花の風ひとすぢ光る乾門〉の2句に絞りました」と作者のコメント。

コメントにお返事するために、ハシ坊にしていますが、「花巡り」の句は人選です。
そして、コメントにある推敲の二案。どちらも佳いですね。「通す」は花の風の動きに主眼があり、「光る」は花の風の様子に主眼があります。作者として、どちらを表現したかったのか。自問自答の上で、結論を出して下さい。
 
“ポイント”

そぞろ寒スマホの充電切れしまま

灯呂

そぞろ寒充電切れのスマホかな

灯呂

夏井いつき先生より
同じ句材の二句ですね。おウチde俳句くらぶは二句しか投句できませんから、この形での投句はちょっと損です。例えば、今回の二句の案をご自分で吟味して、どちらかを投句する。迷った点については「もう一つの案も考えたが」と、コメント欄に第二案の句を書いておいて下さると、アドバイスがしやすくなります。当然、もう一句投句できますから、学びが二倍になるというわけです。
“ポイント”

充電100%午前零時の月明り

紙風船

夏井いつき先生より   評価    並 
「有名な句の中でも『月明り』が季語として使われている句と、他に季語があって『月明り』が使われている句がありました。季語として使っても良いのでしょうか? それと、上句のかなりの字余りと書き方はこれで大丈夫でしょうか?」と作者のコメント。

質問がありましたので、ハシ坊にしていますが、並選レベルはクリアしています。
さて、「月」は、懐の深い季語です。一年中存在するものですから、他に季節の季語と取り合わせても相性がよいのです。そして、上五字余りの件は、中七下五で調べを取り戻すのが定石です。例えば、虚子の句にもこんなのがあります。
〈凡そ天下に去来程の小さき墓に参りけり 虚子〉
 
“ポイント”

おウチde俳句のみちのあらはる十二月

早霧ふう

夏井いつき先生より   評価    並 
「おウチde俳句くらぶへの入会はスマホの情報からでした。昔からアナログ派。携帯は3年前から。当時手探りの句作、季語はネットでの確認。グーグルは、私の検索から、俳句の情報を載せてくるようになりました。こちらで学ばせていただく決心をして、今に至ります。未熟ですが、先生のおかげで俳句が詠めるようになり、小さな夢も持てました。いつも感謝してやみません」と作者のコメント。

お便りがついておりましたので、ハシ坊のボタンを押しましたが、俳句そのものは並選レベルを確保できています。スマホの情報から、ここに辿り着いて下さったとのこと。嬉しい限りです。月に二句ではありますが、お一人お一人の学びのお手伝いが出来ればと願っております。ご一緒に楽しんでまいりましょう。
 
“ポイント”

秋愁誰かのために生かされて

のなめ

夏井いつき先生より
歳時記によると、「秋愁」という傍題を載せているものがあることを、つい最近知りました。が、基本的には「春愁」と「秋思」という使い方をオススメします。
“ポイント”

夕凪や時空歪みて海黒し

青蛙

夏井いつき先生より
第59回の投句〈時空の歪み夕凪の海〉が並選でしたので、推敲しました。リズムが良かったので、ついウッカリして字数不足に気づきませんでした。うかつでした。これからは、しっかり指を折って数えます。夕方ぱたっと風が止んだ様子を詠みました」と作者のコメント。​

中七を「時空歪める」とすれば人選です。

“難しい”