写真de俳句の結果発表

第62回「バッテリースタンド」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊

バッテリースタンド

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

これなぁに?孫に聞かれて茗荷かな?

琵琶湖エイト

夏井いつき先生より
「これなぁに」とあれば、「~聞かれて」は不要ですね。会話の型を使った名句もありますよ。
〈初蝶来何色と問ふ黄と答ふ 虚子〉
“参った”

ビニテ巻く充電コードの帰省子

京あられ

夏井いつき先生より
よく見てるのがよいです。調べを整えてみましょう。
“ポイント”

図書室のあの棚にまた曼珠沙華

青に桃々

夏井いつき先生より
魅力のある句想です。「図書室」と「曼珠沙華」がよいのか、「あの棚」と「曼珠沙華」がよいのか。二択かもしれないなあ……と思うのですが。
“参った”

乗継ぎへダッシュ渋谷駅聖夜

巴里乃嬬

夏井いつき先生より
「十六音で一音足りません。「聖夜の渋谷駅」とすれば、音数は解決するのですが、それではスピード感が削がれそうな気がしました」と作者のコメント。

一音の字足らずを生かしつつ、スピード感を重視したいのならば、語順が逆かも。

添削例
渋谷駅聖夜乗継ぎへダッシュ
“ポイント”

愁思かな奈良飛鳥路の古墳群

あすか風

夏井いつき先生より
「愁思」ではなく「秋思」ですね。ここを直せば、並選です。上五の「かな」は、ちょっと難しい型です。
“ポイント”

月光を浴びて退職願い書く

灯り丸

夏井いつき先生より
「月光」と「退職願い書く」の取り合わせはよいのですが、「月光を」とあれば「浴びて」は不要です。
“ポイント”

充電のよみがえりたり水蜜桃

松虫姫の村人

夏井いつき先生より
「夫は桃が好きでした。充電でよみがえることができたら良いのに、という意味です。ただ、『よみがえりたり』の文法には全く自信がなく、『たり』か『たし』かで随分悩みました。間違った使い方だったら是非『ハシ坊と学ぼう!』で取り上げてください」と作者のコメント。

「充電でよみがえることができたら良いのに」という意味を書きたかったのならば、「たし」かなとは思います。ただ、「水蜜桃」を食べることで自分(なり、夫なり)が蘇りたいという意味ならば、この書き方では伝わりにくいかと思います。「水蜜桃に蘇る」とでも書けば、意味は伝わるようになります。
“ポイント”

牛の尻親父鞭打ち田打ちなり

びんごおもて

夏井いつき先生より
第49回『ブルガリアの道路』〈「ハナ」停まり尻に鞭ち打つ田打ちかな〉並選を推敲しました」と作者のコメント。

「鞭打ち」を「鞭打つ」とすれば、人選です。
“ポイント”

パンプスの踵へ軋み初氷

白石 美月

夏井いつき先生より
「軋み」なのならば、「踵へ」ではなく「踵に」でしょう。
“難しい”