写真de俳句の結果発表

第62回「バッテリースタンド」《ハシ坊と学ぼう!⑤》

ハシ坊

バッテリースタンド

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

充電の切れたかんばせ山犬来

みづちみわ

夏井いつき先生より
「イメージ的な使い方になりましたが、疲れきってる作中主体の眼には確かに山犬が見えているのだ……というのは、季語の鮮度は落ちるでしょうか?」と作者のコメント。

そうですね、意図は理解できますが、これが完成形ではなさそうです。「かんばせ」という言葉を敢えて使っているのだろうとは思いますが、それが活きているかどうか、やや懐疑的です。
“参った”

かぐはしき黄金追風や島の朝

トウ甘藻

夏井いつき先生より
「『黄金追風』という季語はないのですが、『プレバト!!』で放送された、中田喜子さんの〈「とき」発車旅憂わしき花追風〉を参考にさせていただいています。季語『秋の風」の傍題の『金風』も考えたのですが、稲穂の実った景色は『金』より『黄金』かなと思いました」と作者のコメント。

なるほど、そういうことですか。「花追風」に比べると、ちょっと詩情が薄いかもしれないない~(笑)。造語は、意味が正確に伝わる必要があるので、「稲」あるいは「稲穂」としたほうが分かりやすいかも。となれば、「追風」ではなく、ここの部分も少し工夫が必要かもしれません。
“ポイント”

ファミレスの猫型ロボット秋を充電

石橋  いろり

夏井いつき先生より
いずれにしても字余りになるので、語順を逆にしたほうがよいかな。

添削例
秋を充電ファミレスの猫型ロボット
“ポイント”

充電や大根五本乗せたまま

国東町子

夏井いつき先生より
「大根五本」をどこに、何に「乗せたまま」なのか? 少々読みを迷ってしまいました。
“ポイント”

E席で充電中ぞ冬の富士

岡本かも女

夏井いつき先生より
「で」を「に」にすれば、人選です。
“ポイント”

うつ田姫の憂いや充電のスロットへ

笑田まき

夏井いつき先生より
「季節ごとに『姫』の名があるのですね」と作者のコメント。

面白い発想の取り合わせです。調べが少しギクシャクしているのが、実に勿体ない。とはいえ、この内容を全て入れると、なかなか推敲は難しいですね。後半の展開を少し考え直すのがよいかもしれません。
“ポイント”

冴る夜やスマホの奥にある奈落

藍創千悠子

夏井いつき先生より
「冴ゆる」の変換ミス?
“ポイント”

冬の苑億粒の灯の総ぶさと

山河穂香

夏井いつき先生より
第50回『雪の赤れんが庁舎』の〈冬の闇十万カンデラ降りしきる〉を推敲しました。カンデラという曖昧な表現を避け、見た風景をそのまま描写しました」と作者のコメント。

「総ぶさ」とは、全ての花房という意味でしょうか。イルミネーションをこのように表現したのか? そのあたりが、明確に読み取り難かった……。
“ポイント”

秋晴れにスマホを首に旅の駅

詠野孔球

夏井いつき先生より
「秋晴や」とすれば、人選です。
“難しい”