第62回「バッテリースタンド」《ハシ坊と学ぼう!⑦》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
春風や屋根のパネルに烏が闊歩
ヨシキ浜
夏井いつき先生より
「ちょっと冷たい風が吹くなか、隣の家の太陽光パネルの上をカラスが音をたてながら偉そうに歩いている景を詠みました。『春風(しゅんぷう)』と読んでください」と作者のコメント。
五・七・七、下五の字余りがちょっと損です。内容が面白いだけに勿体ない。季語を「春風」ではなく、「春の烏」にして、推敲してみるのも一手です。
「ちょっと冷たい風が吹くなか、隣の家の太陽光パネルの上をカラスが音をたてながら偉そうに歩いている景を詠みました。『春風(しゅんぷう)』と読んでください」と作者のコメント。
五・七・七、下五の字余りがちょっと損です。内容が面白いだけに勿体ない。季語を「春風」ではなく、「春の烏」にして、推敲してみるのも一手です。


風花を秘むるソーラーパネルかな
くるぽー
夏井いつき先生より
「風花」と「ソーラーパネル」の取り合わせは良いですね。「秘むる」は一考の余地がある動詞です。
「風花」と「ソーラーパネル」の取り合わせは良いですね。「秘むる」は一考の余地がある動詞です。


時速四十窓に蛾あたる花粉跡
咲織
夏井いつき先生より
フロント硝子にぶち当たる蛾。面白い句材です。下五「花粉跡」は、要一考です。
フロント硝子にぶち当たる蛾。面白い句材です。下五「花粉跡」は、要一考です。


炎天やスマホ終了東ゲート
べにりんご
夏井いつき先生より
「大阪万博の東ゲートで入場を待っていました。あまりの暑さにバッテリーが上がってしまい、ゲートを超えたときにはスマホは熱く、画面が暗く全く使えない状態になりました」と作者のコメント。
語順を一考してみましょう。例えば、「炎天」という季語と、「東ゲート」という場所。この二つの言葉の位置を近づけたほうが、「炎天」という季語がより鮮明になります。
「大阪万博の東ゲートで入場を待っていました。あまりの暑さにバッテリーが上がってしまい、ゲートを超えたときにはスマホは熱く、画面が暗く全く使えない状態になりました」と作者のコメント。
語順を一考してみましょう。例えば、「炎天」という季語と、「東ゲート」という場所。この二つの言葉の位置を近づけたほうが、「炎天」という季語がより鮮明になります。


絵を習い心解れて蕗の薹
千里
夏井いつき先生より
「順風満帆ばかりの人生があるはずもなく、時には不遇が続き、充電期間と覚悟するときもありました。そんなひとときを俳句にしました。私には心の解れる絵画の趣味があったことは幸運でありました。季語『蕗の薹』は最初に描いたのが蕗の薹であったことがヒントになり、雪解けと同時に芽を出す力強さを感じて季語といたしました」と作者のコメント。
「解れて」と説明しなくても、「絵を習う心」と書けば、その心解れる感じは、読者に十分伝わります。ここからが、最後のブラッシュアップですね。
「解れて」と説明しなくても、「絵を習う心」と書けば、その心解れる感じは、読者に十分伝わります。ここからが、最後のブラッシュアップですね。


凍て道や充電赤い夜行バス
みーこ39
夏井いつき先生より
「赤き」とすれば、人選です。


地下鉄の駅に清けし水の湧く
横山雑煮
夏井いつき先生より
「地下のトンネルや駅では、地下水が湧き出して流れています。残暑がなかなか収まらない都会にあって、地下水の流れがとても美しく、涼し気な感じがしました」と作者のコメント。
切れを入れる箇所、悩ましいですね。「清けし」が終止形なので、ここに切れが入っています。「に」という助詞がすぐ前にあるので、ここは一考の余地がありそうです。
切れを入れる箇所、悩ましいですね。「清けし」が終止形なので、ここに切れが入っています。「に」という助詞がすぐ前にあるので、ここは一考の余地がありそうです。


バッテリーのごとき冬木を抱きに行く
かなかな
夏井いつき先生より
「一回充電すると十日もつくらいしかスマホを使っていないので、バッテリースタンドとは今のところ縁がありません。スマホを充電するより、自分を充電したいなあと思うのです」と作者のコメント。
面白い発想です。今回の兼題写真の「バッテリー」という言葉に囚われず、「冬木を抱く」という部分を十七音に膨らませると、佳句になりそうです。
「一回充電すると十日もつくらいしかスマホを使っていないので、バッテリースタンドとは今のところ縁がありません。スマホを充電するより、自分を充電したいなあと思うのです」と作者のコメント。
面白い発想です。今回の兼題写真の「バッテリー」という言葉に囚われず、「冬木を抱く」という部分を十七音に膨らませると、佳句になりそうです。


バッテリースタンドは新し秋つばめ
真壁らん
夏井いつき先生より
中七「は」の助詞は、省略しても意味が通じます。「は」を外せば、人選です。
中七「は」の助詞は、省略しても意味が通じます。「は」を外せば、人選です。



