写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑥》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

寒昴砂場に誰かのスコップ

たまさもち

夏井いつき先生より
音数を整えてみましょう。「誰かの」は必要でしょうか。
“ポイント”

去年今年髪解きし手のまた結ぶ

宮本 モンヌ

夏井いつき先生より
「ドバイの写真から、行く行かないで迷うなとまず思いました。迷う動作を中心に去年今年にぶつけて見た感じです。動作を季語がさらに誘導してくれていると思います」と作者のコメント。

「去年今年」という季語は曲者です。虚子の〈去年今年貫く棒の如きもの〉は、去年が一瞬にして今年になりつつ、それは永遠という時間とも繋がっている……という本意を掴んだ一句。季語について再考してみましょう。
“参った”

死者運ぶ瞳やさしき灼け駱駝

シナモンティー

夏井いつき先生より
「灼け」という季語の使い方(位置も含めて)再考してみましょう。人選は目の前です。
“参った”

満天の荒星潤む目の駱駝

織部なつめ

夏井いつき先生より
下五を「駱駝の目」とすれば、人選です。
“参った”

寒の建仁寺トイレスリッパ鈴鈴しゃん

迷照 りん句

夏井いつき先生より
「『鈴鈴(りんりん)』と読みます。建仁寺のトイレに入ると、心地よい鈴の音がどこからともなく聞こえてきました。首を傾げながら目線を落とすと、あらまぁ! 当方の履いているスリッパの甲部で鳴っているんです」と作者のコメント。

句材としては良いのですが、「建仁寺」という固有名詞がどこまで効いているのか。そこが悩ましい。下五も「鈴鈴」を「りんりん」と読ませるのはちょっと強引かも。
“ポイント”

象の頭に乗れずのどやかなる駱駝へと

赤尾双葉

夏井いつき先生より
「昔インド旅行の際に、思い切って象の頭上に乗る体験がしたいと思ったまでは良かったのですが、いざ目の前にすると高いし、座る場所が小さくて揺れていて怖くなりやめました。ちょうど近くで駱駝に乗る体験もしていたので、そちらへ乗り換えたのを思い出して詠みました。兼題写真はリゾート地のようでしたが、砂漠があるのでインドでもイメージできるかなと思いました」と作者のコメント。

実体験は面白いですね。一句に、生き物を二つ入れるのはなかなか難しい。まずは、象の頭上に乗れなかった様子で一句にしてみましょう。
“ポイント”

警察の待つ間行儀の良いプール

麦のパパ

夏井いつき先生より
「ちょっとプールで遊んでいた隙に……なんてハプニングも海外旅行ではあるかも。もう麦と暮らしてから10年以上海外へは行けていないので、創作ですが」と作者のコメント。

どういう状況なのか、読みを少々迷いました。「行儀の良いプール」という表現は面白いと思います。
“ポイント”

春愁や黙の駱駝の長睫毛

入江みを

夏井いつき先生より
下五「長睫毛」という書き方は、少々寸詰まりです。
“難しい”

バス停に列なす子等に冬日向

德(のり)

夏井いつき先生より
中七の助詞「に」は一考してみましょう。
“ポイント”

コブの謎図鑑のラクダ夏帽子

酒呑走人

夏井いつき先生より
「テレビで見たラクダのコブの中身が気になったので、夏休みの自由研究にしようと図鑑で調べている子供の様子を詠みました」と作者のコメント。

〈コブの謎/図鑑のラクダ/夏帽子〉斜め線のところに意味の切れができてしまっている三段切れです。語順および言葉の取捨選択を考えてみましょう。夏休みの自由研究ということならば、いっそ季語は「夏休」でもいいかも。
“難しい”

八月尽リュックの底に白き砂

雨野理多

夏井いつき先生より
「旅行に行くときはリュック派です。帰るとリュックの中が意外と砂っぽくなっています。発想がありがちだとは思いますが、広げられませんでした……」と作者のコメント。

中七下五はよいですよ。季語が動きそうです。
“ポイント”

トランジット深夜ドバイに冬の星

風の木原

夏井いつき先生より
「バルセロナに住んでいる孫達に会いに行く。日本からの直行便はない。エミレーツ航空での乗り継ぎは砂漠の都市ドバイだ」と作者のコメント。

実体験の句材、いいですね。語順を一考してみましょう。例えば「乗り継ぎのドバイ」とすれば、状況は分かります。「深夜」が必要なのか否か、深夜と書かずにそれを想像させることはできないか。工夫の余地をさぐってみましょう。
“参った”