写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

雪の鳥取砂丘駱駝も無言

楽和音

夏井いつき先生より
句材は良いですね。語順を一考してみましょう。
“ポイント”

砂山を照らす明かりや冬の月

三宅 光風

夏井いつき先生より
「照らす」「明かり」は、どこまで必要でしょう?
“参った”

砂丘行く駱駝横目に跣足の吾

藤田ほむこ

夏井いつき先生より
「横目に」と説明しなくても、「砂丘行く駱駝」に「跣足の吾」を取り合わせただけで、その映像は想像できます。あと四音をどう使うかの勝負です。
“参った”

夕時雨給油ランプのオレンジ

田野こみち

夏井いつき先生より
取り合わせ、佳いですね。語順を一考して、調べを整えましょう。人選は目の前です。
“参った”

陽炎や駱駝に揺られオアシスの

美川妙子

夏井いつき先生より
「砂漠の陽炎の中で蜉蝣を見られるか調べたら見られるそうです。そんなのを見られたら素晴らしいと思い、書きました。オアシスでは蜉蝣が羽化して一斉に飛び立つそうです。『オアシスの』で、蜉蝣も想像してもらえるかなと思いました」と作者のコメント。

「オアシスの」という下五から「蜉蝣」を想像することは困難です。作者コメントには、三句分ぐらいの句材が入っています。一句分におさまる言葉の質量について考えてみましょう。
“ポイント”

砂漠とて涼し顔なる駱駝かな

戸村友美

夏井いつき先生より
「涼し」が「顔」に接続する場合は、「涼しき」と連体形になります。
“ポイント”

白のワイン瑠璃色のナイトプール

翠雨

夏井いつき先生より
取り合わせがオシャレです。語順は一考の余地がありますよ。
“ポイント”

茶畑や水筒一つ夏ハイク

しせき

夏井いつき先生より
「ボーイ(カブスカウト)スカウトの隊長をした時の夏のキャンプで、茶畑のあるお寺に泊まりました。その晩、お寺の方から明日茶畑に農薬散布をするので、水は沸かしてから飲むようにと言われました。次の日はハイキングの予定だったので、スタッフに60人分のお湯を沸かしてもらい、各自水筒一つのお湯で一日を過ごしました。スカウト(子ども達)からは、「水」の有難さがわかりましたと言われて、貴重な体験をしました」と作者のコメント。

「夏ハイク」のような季語の使い方は、少々強引。ここは一考の余地があります。この作者コメントには、五句分ぐらいの句材が入っています。小さく千切って、一句一句完成させていきましょう。
“難しい”

去年今年さらさら砂漠は時の砂

島田雪灯

夏井いつき先生より
やろうとしていることは佳いのですが、上五の季語「去年今年」と下五「時の砂」のイメージが近いです。
“ポイント”

春暁の駱駝のまなこや潤みゐる

猪子石ニンニン

夏井いつき先生より
中七の字余りは極力避けるのが定石。語順を替えてみましょう。
“難しい”

風死してかすかに聞こゆベルバード

砂芽里

夏井いつき先生より
「ベルバード」は、スズドリですよね。だとしたら、「聞こゆ」は必要でしょうか。
“ポイント”

黒ずむトウのキーウバレエや社会鍋

モト翠子

夏井いつき先生より
「キーウバレエ団の日本公演を観に行き、黒く汚れたトウシューズや演目の割に質素な衣装、18歳以上の男子は国外に出られないなど、ニュースで知っていたはずなのに、現実を目の当たりにして衝撃を受けました。募金箱もあって、ウクライナは本当に大変なのだと実感したことを詠みたかったです」と作者のコメント。

これだけの内容を十七音に入れるのは、なかなか難しいのですが、「黒ずむトウ」に焦点を当てているのは良い判断です。ちょっと強引に結論を語ろうとして選んだ季語は、一考の余地がありそうです。
“参った”

台風裡やしのきばよんばよん立つ

立石神流

夏井いつき先生より
「台風で飛行機が飛ばず、宮崎のホテルの窓から、やしのきが倒れないでがんばって立っている様子を見たことがあったので、句にしました」と作者のコメント。

句材も、オノマトペも良いですね。「裡」がベストか。「やしのき」は平仮名でよいのか。この二点を考えてみましょう。
“参った”

去ぬる年スカボロフェアのラジオより

イケダエツコ

夏井いつき先生より
「ラジオよりスカボロフェア」を先にもってきて、残りの音数を整えつつ、季語を吟味してみましょう。
“参った”

夫大連娘はドバイ火恋し

凛ひとみ

夏井いつき先生より
上五を「夫は大連」とすれば、人選です。
“参った”

荒漠の大地染むるや大夕焼

青井季節

夏井いつき先生より
「夕焼」という季語を描く時、「地を染むる」という言い回しはよく使われます。「染むる」という動詞を一考してみましょう。
“参った”

蜃気楼行けど行けども砂の砂

かたばみ

夏井いつき先生より
「語句を重ねることで、『絶望感を』と思ったのですが……」と作者のコメント。

表現意図は分かりますが、中七「行けど行けども」にこれだけの音数を使うのは、逆に損です。
“参った”

春うれひ瘤なき駱駝こぶを恋ひ

せんかう

夏井いつき先生より
「瘤なき駱駝こぶを恋ひ」というフレーズを良しとした時、上五「春うれひ」は付きすぎです。
“参った”