写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑪》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

間に合わぬ送信ひと押し月冴ゆる

西瓜頭

夏井いつき先生より
「この句は、第62回「バッテリースタンド」でハシ坊でした。まだ、推敲までには至っていないのですが、この句の内容を記載した方がいいという事でしたので、再度投句させて頂きました。返信しないといけないのにバッテリーが切れそうで、指がかじかんでなかなかスムーズに打てない中なんとか本文を打ち終わって送信ボタンを押そうとしたら電源が落ちました。『あぁ~』と見上げると月がありました。」と作者のコメント。

なるほど、「間に合わぬ」は〆切時間とかではなく、バッテリーがなくなりそう、という句意なのですね。
だとしたら、バッテリーが落ちた、電源が切れた、という事実を書くほうが、伝わりやすいかと思います。
“ポイント”

霾晦ザラリと心も浸蝕す

レオノーレ・オオヤブ

夏井いつき先生より
「春の訪れと共に厄介な黄砂もやって来る。軽いとは言え花粉症の私には辛い。黄砂は何となく心まで蝕んで行くようだ。」と作者のコメント。

書きたい内容そのものはよいのです。
惜しいのは、助詞「も」。そして、「ザラリと」がベストな表現かどうか。その二点です。
“参った”

寝転べば莫たり虚たり星月夜

ひな野そばの芽

夏井いつき先生より
「ハシ坊希望です。夜の砂漠に寝転んで無限に包まれる浮遊感を表現した(つもり)なのですが、それはさておき、これ、三段切れですか? 並列でセーフですか? 〈寝転べば茫漠の空星流る>に改稿してみたのですが、なんだか平板な気がして、『莫たり』の方を捨てきれません。」と作者のコメント。

三段切れは、使いようによっては味方につけることもできる技法になります。この句の場合でしたら、「莫たり虚たり」とリズムが作れていますので、問題はありません。
とはいえ、上五「寝転べば」という状況説明は、ちょっと物足りない。最後のブラッシュアップに挑んで下さい。
“参った”

足裏の砂のパンツへハンモック

甲斐杓子

夏井いつき先生より
どういう状況なのでしょう?……
“参った”

大通りのイルミネーション巴里の除夜

紫木蓮

夏井いつき先生より
「巴里」という固有名詞が動かないような描写の工夫が欲しいところです。
“ポイント”

駱駝の背の温もりほのか星月夜

閏星

夏井いつき先生より
「温もりを季語とも思いましたが星月夜の強めの季語に情景を託しました」と作者のコメント。

この「温もり」は、体温ですから季語にはなりません。
が、生き物に対して「温もりほのか」という言い回しは、かなりありそうです。
“ポイント”

曇り顔の王子やロビーのカトレア

金魚

夏井いつき先生より
「王子」と「ロビーのカトレア」の取り合わせは佳いのですが、「曇り顔」がベストかどうか。一考の価値はありそうです。
“ポイント”

藤椅子に熱砂のほてり越えにけり

道草散歩

夏井いつき先生より
「籐椅子」は、たけかんむり。変換ミスかな。
下五「越えにけり」はどういうニュアンスでしょう?
“難しい”

あたたけし駱駝の背中白昼夢

みさ

夏井いつき先生より
<あたたけし/駱駝の背中/白昼夢>斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。
解決方法は、『夏井いつきの俳句添削事典』を参照して下さい。
“ポイント”

秋の夜に砂漠のデート火星着

喜悦

夏井いつき先生より
「砂漠と火星の取り合わせが面白そうで詠んでみましたがわかりづらいです?」と作者のコメント。

「砂漠」と「火星」の取り合わせは、おっしゃる通り面白いと思います。
ただ、「秋の夜に」の「に」だったり、「デート」と俗なところにもっていったりするのは、損です。再考してみましょう。
“難しい”

砂の海昇る朝日よ冬ざるる

ミワコ

夏井いつき先生より
「冷え切った空気の中で起きる気象現象は本当に神秘的です」と作者のコメント。

語順を一考するだけで、一句に背骨が通ります。

添削例
砂の海昇るや冬ざれの朝日
“ポイント”

炎昼やロボット騎手の競駝見る

那烏夜雲

夏井いつき先生より
句材に驚きました。こんなレースがあるのですね?
最後の動詞「見る」が必要かどうか。一考してみましょう。
“ポイント”

待ち人の香を拾ひたり日向ぼこ

あべ

夏井いつき先生より
どういう状況でしょう。「待ち人」がそこに来た? 待ち人は自分自身? 「待ち人」の虚構の「香」? 読みを迷います。
“参った”

炎天やホテルの庭にいる駱駝

石田ひつじ雲

夏井いつき先生より
語順などを一考してみましょう。「庭に」とあれば、「いる」は不要です。
“参った”

春光や吸ひ込むやうにルーベンス

白沢ポピー

夏井いつき先生より
「ベルギー・アントワープの旅です。ルーベンスの絵画は胸を開くようにして見上げる大きさでエネルギーを受け取りました」と作者のコメント。

中七「吸ひ込むやうに」が、何が何を吸い込むのか……読みを迷ってしまいます。
ちなみに、季語「春光」は、春の光の意として使われがちですが、本来は春らしさを感じる光景を意味する季語です。
“参った”

冬浅し洗濯槽に這う黒き

かみん

夏井いつき先生より
「這う」ならば、直前の助詞は「を」。
助詞が「に」ならば、別の動詞になるかな。
“参った”

遺跡街ぶどうをくれた少女かな

八一九

夏井いつき先生より
句材がとてもよいです。「かな」の詠嘆はあまり効いてないので、「少女」「遺跡」「葡萄」などの体言止めになるような構成を考えてみてはいかがでしょうか。
“参った”

気嵐や伴天連の眼は異異異異異

太刀盗人

夏井いつき先生より
「気嵐」と「伴天連」の取り合わせには、魅力を感じます。が、下五「異異異異異」は、狙いが一人歩きしてしまった感じ。
“参った”

オアシスや砂漠のホテル初日の出

檀実

夏井いつき先生より
<オアシスや/砂漠のホテル/初日の出>斜め線の部分に意味の切れ目がある三段切れです。
 三段切れの解消方法は、『夏井いつきの俳句添削事典』を参照して下さい。
“参った”