写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑫》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ラクダ知る砂漠の神の見えざる手

小川 茜園

夏井いつき先生より
「これは無季俳句のため、投稿してよいものだろうかと悩みましたが、一句作った後、素直に浮かんできたので投稿します。多神教と一神教の対比もある。そういう考えにいたったのです」と作者のコメント。

無季であっても、純度の高い詩になっていれば、歓んで評価します。この句のどこに問題があるかというと、上五「ラクダ知る」が説明になっていること。俳句は、描写であることを念頭に、再考してみましょう。
“ポイント”

砂漠宿春のまなざしラクダあり

井中蛙

夏井いつき先生より
〈砂漠宿/春のまなざし/ラクダあり〉斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。
“参った”

初旅はオアシス色に染まりけり

紫子

夏井いつき先生より
「染まりけり」は必要でしょうか。「初旅はオアシス色」あるいは「オアシス色の初旅」と書けば、染まっていますよね。
“参った”

砂漠より都会のラクダ帰省かな

永順

夏井いつき先生より
「好きなバンドが、『都会のラクダ』というワードをよく使うので入れてみました」と作者のコメント。

季語「帰省」は一考の余地がありそうです。
“参った”

風冴ゆる道に弾みし犬の影

柳翠

夏井いつき先生より
第53回の〈愛犬と別れの朝の庭に梅〉が並でした。直しているうちに、夏に弱く、冬の冷たい空気が大好きだった元気な姿を読む形になりました」と作者のコメント。

「弾める」あるいは「弾んで」とすると、臨場感が増します。あとは、「道に」の部分をどうするか。ここが最後の関門です。
“ポイント”

冬田行く列車吾を子に戻しけり

織乃

夏井いつき先生より
「吾を子に戻しけり」という情景と調べに齟齬を感じます。「子どもに戻る」と素直に書くほうが、伝わりやすいのではないでしょうか。
更にいうと、「子どもに戻る」と説明せずして、その映像を描写することで、「子どもに戻ったかのようだったんだな」と読者に読み解かせることができれば、ベストです。
“ポイント”

ドック棟夏の砂漠にゐるやうな

加納ざくろ

夏井いつき先生より
「夏」という季語が、「やうな」という比喩に含まれるのはちょっと損かも。季語の選び方と、位置を再考してみましょう。
“ポイント”

本番は駱駝みこし砂漠は朱夏

香亜沙

夏井いつき先生より
「ドラマ『VIVANT』のロケ裏話を見ました。本物の駱駝をいつも使うわけでなく、駱駝の神輿を作り、担いで上半分だけを映していました。『神輿』が夏の季語なのですが、これでは弱いと思い、あえて『朱夏』を入れましたが、季重なりになるでしょうか?」と作者のコメント。

季重なり云々の問題よりも、そのエピソードをそのまま俳句にするのは無理があります。読者としては意味が読み解けません。
“難しい”

らくだ往く灼くるる砂の紅い鞍

古み雪

夏井いつき先生より
「砂また砂の砂漠をゆっくり進むらくだの遠景を想像して、背中の赤い布が映えそうと思って詠みました」と作者のコメント。

「灼くるる」ではなく、「灼かるる」?
“ポイント”

可惜夜や水無川越ゆ月の船

恋の堀

夏井いつき先生より
〈可惜夜や/水無川越ゆ/月の船〉斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。「越ゆ」が「月の船」に掛かるのならば、「越ゆる」と連体形にする必要があります。
“難しい”

春を掴む七本指のパンダかな

藻玖珠

夏井いつき先生より
初投句だった第54回『パンダと観覧車』の〈道化めくパンダ七本指に春〉の推敲句です。『上五「道化めく」と比喩にもってこないで、その事実を淡々と描くほうが、「春」という季語が生きてきます』というアドバイスを受け、推敲しました」と作者のコメント。

推敲が進んでいますね。最後の「かな」という詠嘆は、あまり効いていません。
“ポイント”

百日紅に斑お転婆の靴跡

ガジュマル新山

夏井いつき先生より
第56回並①〈お転婆な姉の靴跡?百日紅〉の推敲、第62回ハシ坊③〈お転婆の靴跡高し百日紅〉の再推敲です。先生から『「百日紅」の幹に「靴跡」があることが分かる様に書いてみましょう』とのコメントを頂き、ありがとうございました。先生の言わんとされている所をどれだけ理解できたか分かりませんが、ハン、ブチ、ムラ、を入れたら『靴跡』になるかと思いました」と作者のコメント。

俳句としては、誰の足跡かを書く必要はありません。百日紅の幹についた靴の跡を描けば、読者は「おてんばな子かも」と想像してくれるのです。
“ポイント”

月夜待つ砂漠の宿や駱駝船

すけたけ

夏井いつき先生より
「『砂漠のオアシス』ホテル――樹木も繁り池もある。観光用の駱駝も日陰でお休みです。夜になり月が出る頃になると涼しくなる。駱駝は『砂漠の船』とも言われてきた。 中七『砂漠の宿や』の『や』は『宿屋』の『や』と紛らわしいので、『砂漠の宿の』とも考えましたが、『の』が続くし説明的になると思い、詠嘆の『や』としました」と作者のコメント。

「駱駝船」という表現が、やや寸詰まり。「月」「砂漠」「駱駝」の三点セットにも、既視感があります。
“参った”

冬銀河砂漠の空や星こぼる

時田チクタク

夏井いつき先生より
〈冬銀河/砂漠の空や/星こぼる〉斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。「冬銀河」と「星」、イメージの重なる言葉が二つあるのも損です。
“参った”

冬の靄遠目に見ゆる金字塔

一人男

夏井いつき先生より
「エジプトも冬は寒くなって靄が出るようですが、ピラミッドは靄があってもホテルから見えてしまう気がしました」と作者のコメント。

ピラミッドのことだとは思うのですが、「金字塔」と書くと別な意味に取られる可能性もでてきます。率直に「ピラミッド」と書いたほうが、分かり易い。更に、「遠目」とあれば「見ゆる」はなくても分かりますね。
“参った”

高燃費駱駝のタクシー夕焼けや

宙船

夏井いつき先生より
下五「や」の着地は、バランスの取りにくい難しい型です。語順を一考しましょう。
“参った”

年の暮れ迷路如きの大病院

音 リズム

夏井いつき先生より
中七「迷路の如き」としたほうが問題がないですね。「大」の一字が効いています。
“参った”

風死すや逆らわず宿命の今

根々雅水

夏井いつき先生より
中七下五が抽象的なので、どういう宿命なのか、何かヒントの一語が欲しいところです。
“参った”

セリグラフにて描く砂漠星月夜

隼 光一

夏井いつき先生より
調べを整えてみましょう。「セリグラフ」とあれば、「にて描く」が必要なのかどうかも吟味してみましょう。
“参った”