写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑬》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

髪の真砂流るる朝や初湯殿

山河美登里

夏井いつき先生より
「髪の真砂」は比喩表現でしょうか? 実際に、髪に砂が絡んでいるのでしょうか? 読みを迷います。
“ポイント”

夕やけやらくだ整列砂の宿

シマエナガ

夏井いつき先生より
〈夕やけや/らくだ整列/砂の宿〉それぞれ斜め線のところに意味の切れ目がある三段切れです。解消の仕方は、『夏井いつきの俳句添削事典』にいくつかの例がありますので、参照して下さい。
“参った”

寒晴日駱駝に乗ったネ鳥取で

土田和代(山女)

夏井いつき先生より
「~に乗ったネ」と書かなくても、乗っただろうなと分かるような書き方ができます。例えば……

添削例
鳥取の砂丘よ寒晴の駱駝
“ポイント”

芸ラクダ会社に縛れはや師走

赤いふだ

夏井いつき先生より
「芸ラクダ」とは? 「会社に縛れ」とは? どう読み解くのか、悩ましい。
“参った”

炎天に清涼感水ほとり

あんず

夏井いつき先生より
「清涼感」は作者の感想に近い言葉です。炎天の下にあるどんな水辺なのか。そのさまを描写するのが俳句です。
“ポイント”

籐椅子にフェニックス林から風

ひyoko豆

夏井いつき先生より
「日差しの厳しい中でも、ホテルで籐椅子でくつろいでいると、フェニックス林から吹いてくる風が心地良いです」と作者のコメント。

「風」がわたってくる感じにしたいのならば、上五の助詞「に」は、「へ」でしょうか。
“ポイント”

首に汗空まだ見えぬ金字塔

丹羽凉女

夏井いつき先生より
「『金字塔』はピラミッドです」と作者のコメント。

「金字塔」と書くと、別な意味に取られる可能性が高くなります。「ピラミッド」と書いたほうがよいかと。語順も含めて再考してみましょう。
“ポイント”

熱砂旅お宿はダブルブッキング

蝦夷の珪化木

夏井いつき先生より
「宿」とあれば、「旅」だと分かります。語順も含めて、再考してみましょう。
“難しい”

砂漠にプール我が家に重き灯油缶

佐藤儒艮

夏井いつき先生より
「助詞を『の』にするか迷いました。『プレバト‼︎』で、『場所+に、はダサい』と仰っていたのに……。資源の無い島国で、冬に灯油ストーブを使えるのも、砂漠にプールがあるのも同じ事だなぁと思いましたので……」と作者のコメント。

意図は分かります。ただ、作者の位置は「我が家」にあるのだろうと思われますので、「プール」が季語としてどこまで主張できるのか。悩ましいところです。
“ポイント”

雨降りぬあの棚にまた曼珠沙華

青に桃々

夏井いつき先生より
第62回『バッテリースタンド』〈図書室のあの棚にまた曼珠沙華〉の推敲句です。二つに分けました。もう一句は〈錆鼠の閉架図書室曼珠沙華〉です。季語に対する分量が多すぎる句を作ってしまうと、今回はっきり気がつきました。『ひらめく!作れる!俳句ドリル』と『夏井いつきの「凡人俳句」からの脱出』でまた勉強です!」と作者のコメント。

コツコツ前進していますね。客観的に自句を分析する練習を続けて下さい。「雨降りぬ」と「曼珠沙華」の取り合わせ、いい感じです。中七「あの棚」の「棚」は、実際の何かの棚? 比喩? 「~にまた」とした意図は? ……等々、さらに自問自答してみて下さい。
“難しい”

焼け砂の「アラーの使者」のロケ現場

比良山

夏井いつき先生より
「焼け」は「灼け」の変換ミスかな? 無季?
“ポイント”

オリオン凍る砂丘流れてゆきにけり

古瀬まさあき

夏井いつき先生より
「流れ」ているのは、何ですか? 読みを迷いました。
“ポイント”

昨日の八埃(やちぼこり)今日は砂塵日課

松虫姫の村人

夏井いつき先生より
「『八埃(やちぼこり)』で有名な千葉県八街(やちまた)市の学校には、朝に大掃除から始まる『砂塵日課(さじんにっか)』なるものがあります。実際三月の終業式前に二時間半以上大掃除をして、あきらめて次の日も大掃除になったことがあります。季語を『黄砂』としたほうがよかったのかもしれませんが、全国区のニュースにもなるくらいの春の風物詩なのでチャレンジをしてみました」と作者のコメント。

「八埃」という言葉、知りませんでした。地元の季語になるかもしれませんね。「砂塵日課」も独特の言葉のようですから、俳句にしたくなるお気持ちはよく分かります。「八埃」と「砂塵日課」を一句に入れると、分からない言葉だらけになるので、どちらか一つずつにして、作り直してみてはいかがでしょう。
“参った”

指で描く砂に梅花や冬の海

森野みつき

夏井いつき先生より
「『砂絵』を捨てきれず悩んでいましたが、使いたい言葉に順番をつけて考えてみると、それほど必要ではないことがわかりました。気付くのに一日かかりました。『砂に』か『砂は』かで悩みました。季節と真逆の兼題写真、面白いですね。考えるのが楽しかったです」と作者のコメント。

言葉の優先順位を客観的に考える。正しい手順です。あとは、上五「指で描く」の部分のブラッシュアップでしょうか。
“参った”

日盛を客待つ駱駝白昼夢

稲垣加代子

夏井いつき先生より
下五は要一考。「白昼夢」という言葉に甘えず、描写に徹しましょう。
“参った”

献血車全開窓や吊るし雛

びんごおもて

夏井いつき先生より
第5回〈吊るし雛窓全開の廊下かな〉を推敲し、投句当時のコロナ禍に献血した実体験と取り合わせました」と作者のコメント。

「献血車」と「吊るし雛」の取り合わせが良いですね。中七「全開窓や」とするよりは、どこに吊るしてあるのか、吊るされている雛の様子などを描写したほうが、季語がちゃんと主役になってくれます。
“参った”

カクテルと果物プールサイドのセレブ

古都 鈴

夏井いつき先生より
「砂漠で水、休息するラクダ、これは相当なセレブしか泊まれない贅沢な空間。日射しの下のプールサイドは水着姿のセレブ達がのんびり横たわって、その間をウェイター達が縫うように歩く。カラフルなカクテルやフルーツいっぱいの皿、セレブ達のバカンスは贅沢の限りを尽くす……なんてシーンを想像しました。カタカナばかりなのでフルーツではなく『果物』に、季語は『プール』で夏。あまりに異次元過ぎて始めは全く浮かばずでした」と作者のコメント。

最後の着地ですが、「セレブ」と説明せずに、読んだ人が「これはセレブな人たちに違いない」と思わせるような描写ができるとベストです。
“参った”

炎天を睫毛艶めく駱駝かな

うに子

夏井いつき先生より
「駱駝の黒々した瞳や砂をはじく仇っぽい睫毛は、怖いくらい綺麗です」と作者のコメント。

コメントにある描写がいいなあと。「艶めく」という言葉に甘えないで、徹底的に描写してみましょう。最後の「かな」はあまり効いてないです。
“参った”

春立つや砂を象るアンパンマン

笑笑うさぎ

夏井いつき先生より
「なごやか句会で〈小春日の砂場に眠るアンパンマン〉という句を作り、『眠る』が永眠感を持つとの意見を受け、推敲したものです」と作者のコメント。

なるほど、確かに初案の「眠る」は句意を曖昧にさせますね。書きたかったのは、アンパンマンの形を砂で作っている、という光景でよいのでしょうか。だとしたら、「砂に」かも知れません。材料を表わす「に」。
“参った”