写真de俳句の結果発表

第64回「砂漠のホテル」《ハシ坊と学ぼう!⑭》

ハシ坊 NEW

砂漠のホテル

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

窓越しの春光を食むラクダかな

ちえ

夏井いつき先生より
「春光」は、本来は春らしさを感じる光景を意味する季語です。が、最近、字面どおりの「春の光」と解して作られているだろうと思われる句が、歳時記の例句にも見られるようになってきました。「春光」と書かずに、この光を表現できるやり方はないのか、一度挑戦してみるのも俳句の筋トレです。
“ポイント”

んごんごと駱駝んだんだとなまはげ

小笹いのり

夏井いつき先生より
オノマトペは面白いのですが、「駱駝」と「なまはげ」の接点がつかめなくて……。
“参った”

ホイップクリームてふ春眠のパジャマ

山羊座の千賀子

夏井いつき先生より
「ホイップクリームてふ」が、「春眠」に掛かるのか、「パジャマ」にかかるのか、「春眠のパジャマ」全体に掛かるのか。読みを迷いました。
“ポイント”

来し方へ金平糖を氷橋

幸田梓弓

夏井いつき先生より
この取り合わせの意図を、解読しきれず。悩ましい。
“参った”

窓を猫アザーン聞こゆ冬の朝

岡本かも女

夏井いつき先生より
〈窓を猫/アザーン聞こゆ/冬の朝〉斜め線のところに、意味の切れ目がある三段切れです。『夏井いつきの俳句添削事典』を参考に、三段切れを解消してみましょう。
“ポイント”

初夢は石油王の妻六番め

逢來応來

夏井いつき先生より
発想は面白いです。上五「は」という助詞は、一考の余地がありそうです。
“ポイント”

ドバイより切手は駱駝年賀受く

明日咲く

夏井いつき先生より
句材がよいですね。語順はこれがベストでしょうか。調べも含めて、再考してみましょう。
“ポイント”

大寒のプールに沈む制御棒

このみ杏仁

夏井いつき先生より
書こうとしている題材には、共感を持ちます。ただ、これが完成形なのかどうか。悩ましいところです。
“難しい”

フタコブのはざまに揺られ去年今年

佐藤香珠

夏井いつき先生より
季語は一考してみましょう。上手くいけば、「フタコブのはざまに」だけで、揺れていることが分かるような展開もあり得ます。
“ポイント”

檸檬は鈴なり砂漠に駱駝の絵

むらのたんぽぽ

夏井いつき先生より
砂漠に駱駝の絵が飾ってある? 砂漠の砂に駱駝の絵が描かれている? 「檸檬は鈴なり」と「砂漠に駱駝の絵」との繋がりをどう解釈すればよいのかも、悩みました。
“難しい”

弁当の美味し枡席初場所は

風の母

夏井いつき先生より
「美味し」は「枡席」にかかる? ならば、「美味き」となるのですが、そもそも語順を一考したほうがすっきりするかな。

添削例
初場所の枡席弁当の美味し
“ポイント”

麦味噌の雑煮食らふや異土の朝

丹波らる

夏井いつき先生より
「食らふ」が必要かどうか。「異土」がどんな場所か。そのあたりが気になります。
“ポイント”

砂獏越ゆ早春の峰暮れ初むる

小林 昇

夏井いつき先生より
「砂獏」は、変換ミス? 「砂漠」と「早春の峰」の位置関係をどう把握すればよいのか。少々迷いました。
“ポイント”

月冴ゆてラクダの隊列静かなり

摩耶

夏井いつき先生より
「月冴ゆて」に問題があります。「て」に接続するのならば「月冴えて」となります。
“参った”

歌ふよに駱駝名付けて大西日

立田鯊夢

夏井いつき先生より
「砂漠の民はパートナーとして駱駝を大事にして、名付けるそうです。シャヒーン(はやぶさ)、サッバーハ(泳ぐもの)、ハッラー(自由な)とたくさんの素敵な名前がありました。名前の読み込みなども考えましたが、そこへと到達はできませんでした。季語の選択がどちらの句もとても難しく、迷いました」と作者のコメント。

そうですね、歌うように名づけていくという感知に対して、「大西日」という季語は少々重いか。とはいえ、ものが「駱駝」ですので、ここの選択は悩ましいところです。
“参った”

ピカピカの泥だんご水洟すする

ひろ笑い

夏井いつき先生より
「泥だんご」に関しては、類想類句を目にします。この句材で、リアリティ&オリジナリティを手にしたいのであれば、「ピカピカ」「すする」以外の表現を工夫するしかないでしょう。
“参った”

空覆う聖地の日傘祈る時間

藤瑪瑙

夏井いつき先生より
「イスラム教の聖地メディナにある大型アンブレラ250基が開いた映像を見たときの様子です。『パラソル』にしようかとも思いましたが、海辺のイメージが出てしまうので、『日傘』にしました」と作者のコメント。

「空覆う」という措辞は実感で、数も多いのだろうと思います。とはいえ「日傘」の大きさで、「覆う」というのがちょっと分かりづらいです。
“参った”

デジタルの箱舟へ積む夏・ツバル

まさと澄海

夏井いつき先生より
「大阪万博で印象の残ったパビリオンを取り上げました。ツバルは気候変動による海面上昇で国土水没の危機に直面しており、移住計画が進んでいます。デジタル化による国家の文化継承も目指しており、前例のない取り組みですが、小国ゆえプロジェクト推進も大変とのこと」と作者のコメント。

書きたいことには共感します。ただ、この内容を十七音で全て描くのは、かなりの至難の業です。例えば、「ツバル」「箱舟」だけを残して(場合によっては無季句になる可能性もありますが)、再考してみるのも一手です。いますぐ完成させようとせず、じわじわと俳筋力を付けつつ、結球させていきましょう。
“参った”

夢を抱き膝折る春昼の駱駝

青井 花

夏井いつき先生より
「投句した句は句またがりになります。〈春昼や夢を抱き膝折る駱駝〉は定型句になります。どちらを投句しようか悩みましたが、『春昼の駱駝』の方を選びました。駱駝の足が何かを抱いているかのように思えたのと、春の昼のけだるさから夢を見ているかのような駱駝の目から、『夢を抱く』と描写しましたが……」と作者のコメント。

俳句のおける「夢」は、使いこなすのが非常に難しい言葉です。更に、「夢を抱く」も、イメージに終わりがちな叙述なので、これまた難しい。「駱駝の足が何かを抱いているかのように思えた」という感知は良いのですから、「夢」ではないものを「抱き」とすれば、既視感が払拭される可能性はでてきます。
“参った”

季重なり

戦場に灼かれし駱駝日の盛り

ケンケン

夏井いつき先生より
「灼く」と「日の盛り」、季語が重なりましたね。
“参った”

割柘榴補佐の「逆に」は15°か

桜上比呂

夏井いつき先生より
第61回の投句〈「逆に」の差15°の上司割柘榴〉を推敲しました」と作者のコメント。

どういうニュアンスを表したいのか、それを書いて下さると、もっと具体的なアドバイスができるかと思います。
“参った”

老木に赤き点あり寒椿

うらん

夏井いつき先生より
投句の二句は、同じ句材です。上五が「老木に」か「荒れ庭に」かの二択でした。二択という意味で、「老木に~寒椿」は、ちょっと分かり易い。「荒れ庭に」のほうが、それは何? という謎を、多少楽しめるかなと思います。
“参った”