写真de俳句の結果発表

第65回「バスからの眺め」《ハシ坊と学ぼう!②》

ハシ坊 NEW

バスからの眺め

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季重なり

ひさびさの帰省変わらず山笑ふ

文月詩架

夏井いつき先生より
「帰省」も季語です。歳時記を開いて、いつの季語が調べてみましょう。
“ポイント”

季重なり

バス窓に家並み沈み冬寒し

鈴々

夏井いつき先生より
上五中七は、「バス窓に沈む家並み」と語順を変えると調べも落ち着きます。下五「冬寒し」ですが、「冬」「寒し」も季語なので、ここも再考してみましょう。
“参った”

季重なり

渦潮に身を乗り出して涅槃西風

夕暮派れもんさわー

夏井いつき先生より
「渦潮」も春の季語です。この句の場合は、「渦潮に身を乗り出す」という光景に感動の中心がありますから、下五を季語ではない措辞に変えてみましょう。
“参った”

季重なり

冬うらら黄砂に霞む白き富士

ヨコタン

夏井いつき先生より
「冬うらら」は冬の季語、「黄砂」は春の季語です。
“参った”

季重なり

山開きひとりポッチで汗を拭く

ふくのよきしま

夏井いつき先生より
「山開き」「汗」どちらも夏の季語ですね。
“ポイント”

季重なり

シャッター街続く門前春へんろ

まんげつ

夏井いつき先生より
「遍路」は春の季語なので、あえて「春」と冠する必要はありません。
“良き”

季重なり

いろは坂へその梅干汗ばむ手

稽古

夏井いつき先生より
「へその梅干」は車酔いのおまじない? 「梅干」も「汗」も季語ではありますが……。
“ポイント”

裸山横目に見えり無味のガム

吉田深夜

夏井いつき先生より
「裸山」という書き方の是非もありますが、「横目に裸山」とすれば、「~見えり」は不要ですね。
“難しい”

末枯れの富士の裾野の泡立草

冬島 直

夏井いつき先生より
「なるべく当季の季語で詠むように心がけていますが、こちらも晩秋の季語になってしまいました。兼題写真に芒や背高泡立草が写っていて、しかも夕暮れ間近の色だったので寂しさしか感受できませんでした。本当は富士山なので春らしいおめでたい句を詠みたかったのですが、ここに根暗な性格が出てしまいます(笑)。  原句では上五を『寂しみや』としていましたが、ここは『俳句添削事典』を読んで推敲しました。が、季重なり……!」と作者のコメント。

季重なりがダメなわけではありません。が、「末枯れ」も「泡立草」も植物系ですね。この取り合わせは、ちょっと損。「寂しみや」に関しては、どこかを「や」で切ろうとした考えは正解だと思いますが、中七下五が十分に寂しい光景なので、これも情報が重複します。ここは、思い切った展開の「○○○○や」でしょうね。
“ポイント”

茶畑の左折にすべる白ワイン

麦のパパ

夏井いつき先生より
「左折にすべる白ワイン」は、海外の豪華な乗り物に座しているかのような格好良さ。「茶畑」がベストかどうか、悩ましいところです。
“ポイント”

菜花畑サブスクで聞く「春よ来い」

琥幹

夏井いつき先生より
「おウチde俳句くらぶに入会、投句して一年が経ちました。いい俳句ってなんだろうと考えると、やはりシーンが浮かび上がり、さらに共感を誘い、心の琴線をくすぐるようなものなのでしょうか……そんな句は、なかなか作れていないなあと感じる今日この頃です」と作者のコメント。

文字で書いていない光景・人・心情までが思い浮かんでくる。それが佳句の条件だと私も思います。「菜の花」と「サブスク」というイマドキの言葉との取り合わせは、良いと思いますが、「春よ来い」という曲と取り合わせるのはちょっと損かな。
“ポイント”

手術日の赤に記すや冬薔薇

令子

夏井いつき先生より
「手術日を」ではないかと思うのですが、中七を整えてみましょう。
“参った”

関門橋過ぎゆく先の未知の春

東九おやぢ

夏井いつき先生より
「九州出身の私にとって『関門海峡』は特別な存在です。海峡を越えて出る際には『これから旅が始まるな』と、戻る際には『帰ってきたな』と小さな感慨に浸るのです。そんな気持ちを、新年度を迎えるにあたって新しい環境に旅立つ若い人たちに向けたエールのつもりで詠みました。『先の』にするか『先に』にするか、かなり迷いました。というか今でも迷っています。私の気持ちを表現するにはどちらが良いのでしょうか?」と作者のコメント。

お気持は重々分かります。ただ、俳句として考えた時、「過ぎゆく先の未知」という言葉の並びは、イメージや意味が重複します。これらの幾つかを描写の言葉に変えると、一句はぐっと生きてきます。
“ポイント”

中央フリーウェイ花満開の競馬場

高嶺織人

夏井いつき先生より
「五七五におさめるのなら〈中央道花満開の競馬場〉でしょうが、字余りでも、中央フリーウェイのほうが広がりのある句になるのではと思いました」と作者のコメント。

おっしゃる通りなのですが、「中央フリーウェイ」と「競馬場」となると、ユーミンの歌の印象があまりにも強くなってしまいます。独自性をどう工夫するか。ここが、このあとの推敲の鍵になります。
“参った”

バス停に迎え居る祖父夏休み

里ピイ

夏井いつき先生より
中七を「迎える祖父や」とすれば、人選です。
“良き”