第65回「バスからの眺め」《ハシ坊と学ぼう!⑧》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
ピラミッド灼熱の街駈くバスよ
川口祐子
夏井いつき先生より
「ピラミッド」で切れているので、「灼熱の街駈くるバス」とすれば、中七下五は繋がってきます。こうすれば、人選。
「ピラミッド」で切れているので、「灼熱の街駈くるバス」とすれば、中七下五は繋がってきます。こうすれば、人選。


参道をゆうるりと白無垢へ秋日射
ゆきまま
夏井いつき先生より
「数年前、静岡の浅間大社へお参りしました。秋の陽射しが穏やかで、暖かなよい日で、ちょうど白無垢の花嫁さんが社殿へ向かう行列に出会い、とても幸せな気持ちになりました。綿帽子と白無垢の白が秋の午後の陽射しに眩しくて、ずっと見送ってしまいました」と作者のコメント。
佳き光景ですね。調べを整えてみましょう。
「数年前、静岡の浅間大社へお参りしました。秋の陽射しが穏やかで、暖かなよい日で、ちょうど白無垢の花嫁さんが社殿へ向かう行列に出会い、とても幸せな気持ちになりました。綿帽子と白無垢の白が秋の午後の陽射しに眩しくて、ずっと見送ってしまいました」と作者のコメント。
佳き光景ですね。調べを整えてみましょう。


相席の長距離バスの菜種梅雨
こりえのかた
夏井いつき先生より
どちらかの助詞「の」を「や」に変えると、人選に入ってきます。
どちらかの助詞「の」を「や」に変えると、人選に入ってきます。


冬うらら江ノ島の海富士白し
猫日和


青空に青山の青透ける春
大 可
夏井いつき先生より
意図は分かるのですが、「青」という文字が飛び交うわりには、色の効果が薄れてしまっている感があります。
意図は分かるのですが、「青」という文字が飛び交うわりには、色の効果が薄れてしまっている感があります。


半年振り鉄馬に火入れし春
すかーてぃっしゅ
夏井いつき先生より
「鉄馬」に「火を入れる」という表現に惹かれます。詩としての純度を考えるのであれば、「半年振り」という情報は不要かもしれません。
「鉄馬」に「火を入れる」という表現に惹かれます。詩としての純度を考えるのであれば、「半年振り」という情報は不要かもしれません。


帰路につくバスに漂う花疲れ
彼理
夏井いつき先生より
「バスに漂う花疲れ」とあれば、帰路に違いないと読み解けます。上五は一考の余地がありますね。
「バスに漂う花疲れ」とあれば、帰路に違いないと読み解けます。上五は一考の余地がありますね。


朝日の逆さ富士飛来の白鳥
ルージュ
夏井いつき先生より
語順が逆でしょう。
添削例
白鳥の飛来朝日の逆さ富士
語順が逆でしょう。
添削例
白鳥の飛来朝日の逆さ富士


雪しまく新千歳ロビーで一夜
原島ちび助
夏井いつき先生より
「先日、北海道の大雪でバスも電車も動かず空港で一夜を明かした人が大勢いたとニュースで見ました。その様子を句にしてみました」と作者のコメント。
「新千歳」を入れなければ、調べが整うのですが……そのあたりはいかが?
添削例
雪しまく空港ロビーにて一夜
「先日、北海道の大雪でバスも電車も動かず空港で一夜を明かした人が大勢いたとニュースで見ました。その様子を句にしてみました」と作者のコメント。
「新千歳」を入れなければ、調べが整うのですが……そのあたりはいかが?
添削例
雪しまく空港ロビーにて一夜


富士に雪吾にガイドの訛りかな
滝川橋
夏井いつき先生より
「季語が主役になっていないでしょうか? そこのところが不安だったのですが。〈雪嶺やバスにガイドの訛り降る〉と変えてもみたのですが、初案に決めました。以前、ガイドさんの言葉のアクセントへの違和感が積もって、バスを降りてホッとした事がありました」と作者のコメント。
違和感を表現したかったのですね。「吾にガイドの訛り(が移った)」つまり、ついついその訛りで話しそうになってしまう、という意味にとれます。さて、どうする?
「季語が主役になっていないでしょうか? そこのところが不安だったのですが。〈雪嶺やバスにガイドの訛り降る〉と変えてもみたのですが、初案に決めました。以前、ガイドさんの言葉のアクセントへの違和感が積もって、バスを降りてホッとした事がありました」と作者のコメント。
違和感を表現したかったのですね。「吾にガイドの訛り(が移った)」つまり、ついついその訛りで話しそうになってしまう、という意味にとれます。さて、どうする?


循環バスやずる休みする小春の日
田畑 整
夏井いつき先生より
句材はよいですね。語順を再考しましょう。
句材はよいですね。語順を再考しましょう。


風花や車窓に見ゆる富士の峰
はね花
夏井いつき先生より
「車窓に」とあれば、「見ゆる」は不要です。
「車窓に」とあれば、「見ゆる」は不要です。


春近し弧を描く君の寝ぐせかな
望月美和
夏井いつき先生より
「かな」を外して、語順を変えればいけますよ。
添削例
弧を描く君の寝ぐせや春近し
「かな」を外して、語順を変えればいけますよ。
添削例
弧を描く君の寝ぐせや春近し


春の湯へ崖ゆくバスや谷深し
林としまる
夏井いつき先生より
「温泉行きの路線バスに乗ったところ、崖道に出てしばらく走り続けました。温泉は楽しみでしたが、車窓からは崖の端と谷が見え、怖かった思い出です」と作者のコメント。
自立語を一つか二つ減らし、語順も含めて再考してみましょう。
「温泉行きの路線バスに乗ったところ、崖道に出てしばらく走り続けました。温泉は楽しみでしたが、車窓からは崖の端と谷が見え、怖かった思い出です」と作者のコメント。
自立語を一つか二つ減らし、語順も含めて再考してみましょう。


白点はシロだつたのか帰省する
高山佳風
夏井いつき先生より
「帰省のバスです。シロは飼い犬のことです」と作者のコメント。
読み手として、「シロは飼い犬」であることに気づけるまでに、かなりの時間が必要でした。語順なのか、語り方なのか。もう一工夫ほしい。
「帰省のバスです。シロは飼い犬のことです」と作者のコメント。
読み手として、「シロは飼い犬」であることに気づけるまでに、かなりの時間が必要でした。語順なのか、語り方なのか。もう一工夫ほしい。


発車して夏山挑む車窓燃ゆ
理孝
夏井いつき先生より
「あの山にいよいよ挑戦するぞ、という気持ちを詠みました」と作者のコメント。
最後の「燃ゆ」は、車窓が夕焼けか朝焼けで赤くなっている? 心が高揚している? そのあたりが読み解きがたく。
「あの山にいよいよ挑戦するぞ、という気持ちを詠みました」と作者のコメント。
最後の「燃ゆ」は、車窓が夕焼けか朝焼けで赤くなっている? 心が高揚している? そのあたりが読み解きがたく。


黒北風や五合目にゐる暫し時
蕃茄
夏井いつき先生より
「『黒北風(くろぎた)』と読む季語を見つけました。みるみる雲が広がり、暗くなり風が吹き荒れる様子とのことで、主に海での荒天を指すようですが、まさに私が遭遇した五合目でのあっという間の数十分の荒天の様子なので、この季語にしました」と作者のコメント。
前半は良いですね。「五合目に」とあれば「ゐる」は言わずもがな。「ゐる暫し時」としたのは、「あっという間の数十分の荒天」を表現したかった(?)のだとすれば、他の書き方を模索すべきでしょう。
「『黒北風(くろぎた)』と読む季語を見つけました。みるみる雲が広がり、暗くなり風が吹き荒れる様子とのことで、主に海での荒天を指すようですが、まさに私が遭遇した五合目でのあっという間の数十分の荒天の様子なので、この季語にしました」と作者のコメント。
前半は良いですね。「五合目に」とあれば「ゐる」は言わずもがな。「ゐる暫し時」としたのは、「あっという間の数十分の荒天」を表現したかった(?)のだとすれば、他の書き方を模索すべきでしょう。


湯気なづるうぶげ小春のカスタード
一寸雄町
夏井いつき先生より
「第61回『鯛焼屋の行列』《ハシ坊と学ぼう!⑨》〈カスタードクリームのたひ焼き小春日の散歩〉の推敲句です。『「たひ焼き」も冬の季語。どちらを主たる季語として立てたいのか、そこを再考してみましょう』とコメントを頂きました。弥音さんの〈鯛焼きの餡指に小春の散歩〉へのコメント『「小春」を主たる季語にしようとしているのだろうとは思いますが、その意図ならば「~の散歩」で終わるのは損です』は未消化に終わり、鯛焼を外しました」と作者のコメント。
俳句はすべてケースバイケース。一句一句が、それぞれ絶妙な言葉のバランスの上になりたちます。この句の、「湯気なづるうぶげ」の「湯気」は、何の湯気なのか。そこが読者としては疑問です。何を表現したかったかを書き添えていただけると、具体的なアドバイスができるのですが……。
「第61回『鯛焼屋の行列』《ハシ坊と学ぼう!⑨》〈カスタードクリームのたひ焼き小春日の散歩〉の推敲句です。『「たひ焼き」も冬の季語。どちらを主たる季語として立てたいのか、そこを再考してみましょう』とコメントを頂きました。弥音さんの〈鯛焼きの餡指に小春の散歩〉へのコメント『「小春」を主たる季語にしようとしているのだろうとは思いますが、その意図ならば「~の散歩」で終わるのは損です』は未消化に終わり、鯛焼を外しました」と作者のコメント。
俳句はすべてケースバイケース。一句一句が、それぞれ絶妙な言葉のバランスの上になりたちます。この句の、「湯気なづるうぶげ」の「湯気」は、何の湯気なのか。そこが読者としては疑問です。何を表現したかったかを書き添えていただけると、具体的なアドバイスができるのですが……。


迂回路に入りバスの揺れ長閑に
骨のほーの
夏井いつき先生より
「工事中のためバスは迂回路に入りました。生活道のようです。陽光の中、畑作業する人や、点在する民家の洗濯物が見えます。のどかな景色の中を、バスはゆったりとその車体を揺らしながら進んでいます」と作者のコメント。
後半を微調整すれば、人選に。
添削例
迂回路に入りのどやかなバスの揺れ
「工事中のためバスは迂回路に入りました。生活道のようです。陽光の中、畑作業する人や、点在する民家の洗濯物が見えます。のどかな景色の中を、バスはゆったりとその車体を揺らしながら進んでいます」と作者のコメント。
後半を微調整すれば、人選に。
添削例
迂回路に入りのどやかなバスの揺れ



