第65回「バスからの眺め」《ハシ坊と学ぼう!⑫》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
風光る車窓やルノワールのごと
水鳥川詩乃
夏井いつき先生より
足して十七音にしているのは分かるのですが、後半を「ルノワールのごとし」あるいは「ルノワールのごとく」とするほうが、調べが滑らかになります。
足して十七音にしているのは分かるのですが、後半を「ルノワールのごとし」あるいは「ルノワールのごとく」とするほうが、調べが滑らかになります。


車窓へと広がる裾野春めけり
全代
夏井いつき先生より
「へと」が映像として正しいのかどうか。語順も含めて一考してみましょう。
「へと」が映像として正しいのかどうか。語順も含めて一考してみましょう。


バス券の番号滲む大試験
山本とりこ
夏井いつき先生より
「バス券の番号」というのは、例えば長距離バスの座席番号の類いでしょうか。私の知識の問題で、そのあたりが少々分かりかねております。「大試験」は、基本的には卒業試験を意味しますが、この「大試験」はひょっとすると「受験」のことを言いたいのかも?……とも思います。
「バス券の番号」というのは、例えば長距離バスの座席番号の類いでしょうか。私の知識の問題で、そのあたりが少々分かりかねております。「大試験」は、基本的には卒業試験を意味しますが、この「大試験」はひょっとすると「受験」のことを言いたいのかも?……とも思います。


アスファルト濡れてたゆたふ春隣
清水ぽっぽ
夏井いつき先生より
「アスファルトの匂いに、漂う春を感じました」と作者のコメント。
「濡れてたゆたふ」は一考の余地がありそうです。作者として「匂い」に感動の焦点があるようですから、それが読者にも伝わるような言葉が欲しいところです。
「アスファルトの匂いに、漂う春を感じました」と作者のコメント。
「濡れてたゆたふ」は一考の余地がありそうです。作者として「匂い」に感動の焦点があるようですから、それが読者にも伝わるような言葉が欲しいところです。


花弁はフロントガラスに舞いおりて
さくさく菫
夏井いつき先生より
「車の中から桜の花びらが降ってくる様子を眺めている心の余裕みたいなものを表現したかったのですが、心情が入れ込められず……提出します」と作者のコメント。
「花弁はフロントガラスに」とあれば、「~に舞いおりて」と書かなくてもその状況は分かります。
「車の中から桜の花びらが降ってくる様子を眺めている心の余裕みたいなものを表現したかったのですが、心情が入れ込められず……提出します」と作者のコメント。
「花弁はフロントガラスに」とあれば、「~に舞いおりて」と書かなくてもその状況は分かります。


いろは坂紅葉絵巻を目に焼きし
直感勝負
夏井いつき先生より
「未だに目に浮かぶいろは坂の紅葉です。曲がりくねった坂を進んでも素晴らしい紅葉の連なりを『絵巻』と表現しましたが、他に適切な表現があればご指導願います」と作者のコメント。
こういう光景をまるで「絵巻」のようだというのは、確かにあるといえばある比喩です。ここをどう独自性と真実味のある表現にするか、それを工夫するのが句作の醍醐味です。アドバイスを一つするとすれば、下五「目に焼きし」=「未だに目に浮かぶ」ということを書きたいのだとは思いますが、ここの部分は説明の言葉。これらを外して、いろは坂の紅葉を描写してみましょう。
「未だに目に浮かぶいろは坂の紅葉です。曲がりくねった坂を進んでも素晴らしい紅葉の連なりを『絵巻』と表現しましたが、他に適切な表現があればご指導願います」と作者のコメント。
こういう光景をまるで「絵巻」のようだというのは、確かにあるといえばある比喩です。ここをどう独自性と真実味のある表現にするか、それを工夫するのが句作の醍醐味です。アドバイスを一つするとすれば、下五「目に焼きし」=「未だに目に浮かぶ」ということを書きたいのだとは思いますが、ここの部分は説明の言葉。これらを外して、いろは坂の紅葉を描写してみましょう。


こんもりと笹の右だけ雪見風呂
藤康
夏井いつき先生より
「風が強く吹いて、笹の右側だけに雪が積もっている様子を露天風呂から眺めました」と作者のコメント。
よい観察眼です。上五「こんもりと」が、さらに精度の高い描写になればよいのですが。
「風が強く吹いて、笹の右側だけに雪が積もっている様子を露天風呂から眺めました」と作者のコメント。
よい観察眼です。上五「こんもりと」が、さらに精度の高い描写になればよいのですが。


窓枠に海まどかなる伊豆の春
奥ノ碧心
夏井いつき先生より
「伊豆の海岸線を走った時に、窓枠に切り取られる景色はずっと穏やかな海景色でした」と作者のコメント。
中七下五はよいですね。上五を再考してみましょう。「○○○○や」と詠嘆すると、句の姿は整ってきます。できれば、「窓枠」ではなく別の言葉を検討してみてください。
「伊豆の海岸線を走った時に、窓枠に切り取られる景色はずっと穏やかな海景色でした」と作者のコメント。
中七下五はよいですね。上五を再考してみましょう。「○○○○や」と詠嘆すると、句の姿は整ってきます。できれば、「窓枠」ではなく別の言葉を検討してみてください。


雪玉を残してバスを降りにけり
白沢ポピー
夏井いつき先生より
バスの中に雪玉を? 状況が少々分かりづらいです。
バスの中に雪玉を? 状況が少々分かりづらいです。


土蜘蛛の裔のペンション扇風機
有村自懐
夏井いつき先生より
「『土蜘蛛』は源頼光に退治された蜘蛛の妖怪です。子孫と名乗る方の経営する宿に泊まった思い出を詠みました」と作者のコメント。
有季定型という立場から考えると、「扇風機」以外の言葉の質量が強くて重いので、季語が季語としての力を発揮できずにいます。言葉の質量について考えてみましょう。
「『土蜘蛛』は源頼光に退治された蜘蛛の妖怪です。子孫と名乗る方の経営する宿に泊まった思い出を詠みました」と作者のコメント。
有季定型という立場から考えると、「扇風機」以外の言葉の質量が強くて重いので、季語が季語としての力を発揮できずにいます。言葉の質量について考えてみましょう。



