第65回「バスからの眺め」《ハシ坊と学ぼう!⑬》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
虹二重入江にかゝり墓しまふ
コミマル
夏井いつき先生より
語順を逆にすると印象的です。
添削例
墓じまい入江にかかる二重虹
語順を逆にすると印象的です。
添削例
墓じまい入江にかかる二重虹


ハンドルは大きく右へ二月かな
慈庵風
夏井いつき先生より
「かな」という詠嘆があまり効いていません。体言止めにしてみましょうか。
添削例
ハンドルを大きく右へ切る二月
「かな」という詠嘆があまり効いていません。体言止めにしてみましょうか。
添削例
ハンドルを大きく右へ切る二月


待春や朝食席で幼児眠る
小川 茜園
夏井いつき先生より
「二歳の孫の様子を、お嫁さんが動画で送ってくれます。最近の大ヒットは、食卓でうとうとして、目をつむったまま頭を机にぶつけた場面です」と作者のコメント。
なるほど、そういう場面なのですね。「朝食席」という書き方が、バイキングの会場みたいに読めてしまうので、再考してみましょう。
「二歳の孫の様子を、お嫁さんが動画で送ってくれます。最近の大ヒットは、食卓でうとうとして、目をつむったまま頭を机にぶつけた場面です」と作者のコメント。
なるほど、そういう場面なのですね。「朝食席」という書き方が、バイキングの会場みたいに読めてしまうので、再考してみましょう。


バスの窓千曲川より風青し
三日余子
夏井いつき先生より
「信州に旅行に行ったとき、バスの窓に吹き込んでくる千曲川(ちくまがわ)の風が気持ちよかったことを思い出して詠みました。『より』の表現に迷いました」と作者のコメント。
「千曲川より」という表現を生かすのならば、語順が逆かな。
添削例
千曲川より風青しバスの窓
「信州に旅行に行ったとき、バスの窓に吹き込んでくる千曲川(ちくまがわ)の風が気持ちよかったことを思い出して詠みました。『より』の表現に迷いました」と作者のコメント。
「千曲川より」という表現を生かすのならば、語順が逆かな。
添削例
千曲川より風青しバスの窓


初富士は微笑み色を纏いけり
紫子
夏井いつき先生より
「新しい年に見た富士を思い出しました。そのときの富士山は、包み込んでくれるようで、まさに微笑んでいるようにあたたかく感じました」と作者のコメント。
「初富士」に対して「微笑み色」という詩の言葉を見つけ出したところに個性があります。「~を纏いけり」は説明の言葉ですから、ここが推敲ポイントです。
「新しい年に見た富士を思い出しました。そのときの富士山は、包み込んでくれるようで、まさに微笑んでいるようにあたたかく感じました」と作者のコメント。
「初富士」に対して「微笑み色」という詩の言葉を見つけ出したところに個性があります。「~を纏いけり」は説明の言葉ですから、ここが推敲ポイントです。


相部屋や入れ歯の所在なき愁思
小泉れもん
夏井いつき先生より
季語としては「秋思」となります。変換ミスかもしれませんね。
季語としては「秋思」となります。変換ミスかもしれませんね。


凍天(いてん)なり車窓を貫く富士と道
永順
夏井いつき先生より
「凍天(いてん)」という読み方があるのかなあ? 上五「凍空や」ではだめですか。更に、中七「を」は外すことが可能です。
「凍天(いてん)」という読み方があるのかなあ? 上五「凍空や」ではだめですか。更に、中七「を」は外すことが可能です。


視界良く揺れる車窓や春の空
高木友
夏井いつき先生より
「目線が乗用車より高く、広々した景色を楽しんでいる様子です」と作者のコメント。
「目線が乗用車より高く」とありますが、バスでしょうか、トラックでしょうか。それを具体的に書いたほうが、読者はよりリアルな視線を追体験できます。
「目線が乗用車より高く、広々した景色を楽しんでいる様子です」と作者のコメント。
「目線が乗用車より高く」とありますが、バスでしょうか、トラックでしょうか。それを具体的に書いたほうが、読者はよりリアルな視線を追体験できます。


雲流るフロントガラスや山笑ふ
ちょうさん
夏井いつき先生より
中七が中八になっているのはもったいないですね。上五も切れてしまうので……例えば
添削例
雲の行くフロントガラス山笑ふ
中七が中八になっているのはもったいないですね。上五も切れてしまうので……例えば
添削例
雲の行くフロントガラス山笑ふ


魚は氷にバスのシートベルトは腰に
沼野大統領
夏井いつき先生より
「竜天に登る・雀蛤と化す・鳥雲に入る等の季語で動詞を省略するのはよくないと思いましたが、虚を実体化させるためには『言わない』ことも大切なのでは、と師・鳥居真里子の句を見て思いました。バスのシートベルト独特の腰にだけまわすことを言えてればいいなあ」と作者のコメント。
おっしゃるように「言わない」ことも俳句という短詩系文学の骨法です。ただ「魚は氷に」のような使い方は、この「言わない」ことに当たるのではなく、動詞を省略しているにすぎません。ここからは、有季定型の考え方をどこまで大切にするかという主義主張の問題になりますが、一句の中で季語が結球しているか……という点では不満が残ります。同時投句のもう一句は「春」という季語が結球していると判断できるかと。
「竜天に登る・雀蛤と化す・鳥雲に入る等の季語で動詞を省略するのはよくないと思いましたが、虚を実体化させるためには『言わない』ことも大切なのでは、と師・鳥居真里子の句を見て思いました。バスのシートベルト独特の腰にだけまわすことを言えてればいいなあ」と作者のコメント。
おっしゃるように「言わない」ことも俳句という短詩系文学の骨法です。ただ「魚は氷に」のような使い方は、この「言わない」ことに当たるのではなく、動詞を省略しているにすぎません。ここからは、有季定型の考え方をどこまで大切にするかという主義主張の問題になりますが、一句の中で季語が結球しているか……という点では不満が残ります。同時投句のもう一句は「春」という季語が結球していると判断できるかと。


バス送る向日葵畑を風揺らす
いわさき
夏井いつき先生より
「バスを見送るように、残された向日葵畑が揺れているさまを書きたかったのです。手を振っているようだなと思ってもらえるといいのですが」と作者のコメント。
なるほど、表現したいことは理解しました。「バス送る」という書き方だと、作者自身がバスを見送っている(?)と読めてしまいます。「バスを見送るごと」「バス見送るごと」等、比喩だとわかるように書く必要があるかもしれません。(もちろん、直喩で書くことも可能性のうちの一つですが。)どちらにしても音数が張るので、どこかを字余りにする必要がありそうです。
「バスを見送るように、残された向日葵畑が揺れているさまを書きたかったのです。手を振っているようだなと思ってもらえるといいのですが」と作者のコメント。
なるほど、表現したいことは理解しました。「バス送る」という書き方だと、作者自身がバスを見送っている(?)と読めてしまいます。「バスを見送るごと」「バス見送るごと」等、比喩だとわかるように書く必要があるかもしれません。(もちろん、直喩で書くことも可能性のうちの一つですが。)どちらにしても音数が張るので、どこかを字余りにする必要がありそうです。


冬の時化がうがう揺るる餘部の橋
肴 枝豆
夏井いつき先生より
「『がうがう』をカタカナにしようか迷いましたが、日本海から吹く連続的な唸るような感じを表現したく、ひらがなにしました。『揺るる』と古語的な表現を使ったので、『餘部』の字も旧字体としました。調べたところ、餘部は駅の名前として使用されており、これは同じ兵庫県内に余部(よべ)という駅があるためということでした」と作者のコメント。
「冬の時化」とあり「がうがう」とあれば、「揺るる」はなくても想像できます。「餘部(あまるべ)」という固有名詞の生きた句になりますよ。
添削例
冬の時化がうがう餘部の橋は
「『がうがう』をカタカナにしようか迷いましたが、日本海から吹く連続的な唸るような感じを表現したく、ひらがなにしました。『揺るる』と古語的な表現を使ったので、『餘部』の字も旧字体としました。調べたところ、餘部は駅の名前として使用されており、これは同じ兵庫県内に余部(よべ)という駅があるためということでした」と作者のコメント。
「冬の時化」とあり「がうがう」とあれば、「揺るる」はなくても想像できます。「餘部(あまるべ)」という固有名詞の生きた句になりますよ。
添削例
冬の時化がうがう餘部の橋は



