俳句deしりとりの結果発表

第49回 俳句deしりとり〈序〉|「すが」①

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俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第49回の出題

兼題俳句

泉までならご一緒もできますが 平本魚水

兼題俳句の最後の二音「すが」の音で始まる俳句を作りましょう。

 


※「すが」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

 

姿見に映すすがたよ春小袖

芳野かな

姿見に映す春著の江戸小紋

杉本年虹

姿見に映るうららの顔の猫

うめやえのきだけ

姿見に映るよそ行き着衣始

佐藤友喜

姿見に映る花嫁綿帽子

伯人

姿見に映る歳月花曇

砂月みれい

姿見に映る老婆よ冬の蝶

閑陽

姿見の中の鬼相や雪女

馬場めばる

姿見の中の笑顔や春コート

星瞳花

姿見の中の幼子ひなの月

古都 鈴

姿見に口角上げて梅ひらく

涌井 かふう

姿見に姿勢正すや秋うらら

希子

姿見にバレエダンサー春兆す

ゆりかもめ

姿見の老いを映して愁思

こきん

姿見のしみと白髪冬うらら

ひろ笑い

姿見のダウンコートの色似合ふ

あま門

姿見のポニーテールへ春の風

秋野たんぽぽ

姿見に映らぬ傷や如月菜

みづちみわ

姿見にワタシの虚像亀鳴けり

大和出ユウスケ

姿見に寒明けの陽の迷い来し

いつアナmasa

姿見に顔の無い吾五月かな

江口朔太郎

姿見に肩を預けて天の川

片山千恵子

姿見に現実映す冬の暮れ

郡山まる

姿見に小さき手形日脚伸ぶ

おかだ卯月

姿見に小躍り見せる小正月

宙海(そおら)

姿見に覗く母あり成人の日

がらぱごす

姿見に母のお古のコートかな

丘ななみ

姿見に半身(はんみ)の母や夏衣

よはく

姿見に二度は映らぬ振袖よ

西条瑠璃

姿見に腰へパレオの海水着

高尾一叶

姿見に春着衣紋を深く抜き

鳥乎

姿見に衣紋抜く日や花衣

立田鯊夢

姿見に日焼確かめんとする子

高橋寅次

姿見にノイズめく蜘蛛の幽霊

ぷるうと

姿見のいたづら顔の豆を撒く

甲斐杓子

姿見のひかり揺らいで二月尽

山羊座の千賀子

姿見のママ振似合ふ福寿草

松本厚史

姿見の奥にひっそり白椿

ピアニシモ

姿見の奥を香るや孔雀草

仁和田 永

姿見で水着の醜体二の腕ブルル

ヨシキ浜

姿見で面接練習春の宵

咲葉

姿見の我労うや夜半の月

瀬文

姿見の丸帯一打春隣

はなぶさあきら

姿見の股引の脚まるで女子

ナッツティー

姿見の吾の背ナにある冬日差し

一生のふさく

姿見の吾を二度見せし古希の春

日月見 大

姿見の向かふに何か柊挿す

弥栄弐庫

姿見の私きょうはいけてる春

鈴木そら

姿見の自分の背中春ショール

メグ

姿見の借景となり桃の花

ゆきえ

姿見の処分に困る木の芽時

花弥 樹

姿見の障子の隅は振り向くな

柑青夕理

姿見の晴れ着にどこか母の春

唯野音景楽

姿見の前シャトルラン春の朝

笙湖

姿見の素振り四方八方日脚伸ぶ

わおち

姿見の鯛いっぱいのめでたき日

青屋黄緑

姿見の鯛や定年なき夫と

飯村祐知子

姿見の抽斗臍の緒や小春

風嶺陸

姿見の曇りて見ゆる春の宵

細葉海蘭

姿見の曇りを拭う余寒かな

ケンケン

姿見の梅一輪とマダムジュジュ

ぐわ

姿見の腐食してゐる春の宵

日永田陽光

姿見の母の色香や花衣

くぅ

姿見の裏の色褪せ冬日向

駒月彩霞

姿見の裏側に棲む女郎蜘蛛

渥美こぶこ

姿見の廊下の奥へ春灯

田原うた

姿見は見ぬふり夜半の煮凍り

空から豆本

姿見は玄関のみぞ湯冷めせし

丹羽凉女

姿見は扉あければ春の色

森野みつき

姿見へ届かぬ日差し春が来た

佳辰

姿見やふざけて割れて悴む手

銀猫

姿見や寒紅の嘘信じ切る

清水縞午

姿見や成人の日の帯結び

稲垣加代子

姿見や着付け練習桜咲く

みえこ

姿見を横目で眺め春ショール

坂野ひでこ

姿見を肩ごしに見る春隣

草深みずほ

姿見を行きつ戻りつして春日

せんのめぐみ

姿見を使はずにゐる寒の雨

頭痛餅

姿見を春の窓辺へ向けてみる

ユリノキ

姿見を西窓へ人日の貌

小山美珠

姿見を洗ふ寒九の雨と風

水須ぽっぽ

姿見を百枚注文嗚呼真冬

ヒマラヤで平謝り

姿見裏返し欠勤の春炬燵

木ぼこやしき

今回の最多数派となったのは「姿見」。身近にあるものはやはり句材にしやすいですね。注意しておきたいのは組み合わせる単語の選び方。姿見は基本的に姿を映すために使うものですから、「映す」などの動詞は省略できる場合が多いです。「の中の」なども同様ですね。わかりやすい例として《涌井 かふう》さんの「姿見に」から《秋野たんぽぽ》さんの「姿見の」までを並べてみました。十分、姿見に映っているんだな、というのが伝わるんじゃないでしょうか。一方で、《みづちみわ》さんの「姿見に映らぬ傷や」のように、姿を映すのが当然である「姿見」を逆手にとって見えない部位、あるいは心情を描くなんて技もあります。
“良き”

姿見に三寒を踏む四股数多

まっちゃこ

姿見を飽かず春着の児の手つき

となりの天然水

姿見を割つて凍雲暗い暗い

鰯山陽大

姿見の内は外より寒そうな

花屋英利

姿見に黴や空き家へ陽を風を

石川さん子

姿見の置けぬ狭さや木の芽晴れ

殻ひな

姿見や雪のかけらと入るホテル

葦屋蛙城

姿見をまどかに舐めし春の蝿

翡翠工房

姿見グループで特に良かった句をピックアップ。《まっちゃこ》さんを筆頭に姿見に映っているものを含めて映像化していくグループと、《石川さん子》さんはじめ姿見のある場所を句材にするグループに大まかに分けられますね。《鰯山陽大》さんは姿見を物理的に割っているのではなく、凍雲が割れている天が映りこんでいると解釈しました。《花屋英利》さんの硬質な物体の中に閉じ込められた世界により強く「寒し」という季語を見いだしてる感覚も良いねえ。《翡翠工房》さんの句は、過去形の「舐めし」じゃなくて「舐むる」の方が這い回る「春の蝿」の生々しさが活きるんじゃないかなあ、と少し悩ましくもあり。
“ポイント”

々し17時ぴったりの新社員

坂本 乙女

々しいと嘯く横目落第生

森ともよ

々しいまでにダメ男や海雲

苫野とまや

々しい神馬の白や初夢か

つきみつ

々しい朝の高速ドライブ

詠野孔球

々しきフェードアウトの策を練る

飯沼深生

々しき引退の春元総理

山川腎茶

々しき祝辞底冷の体育館

紅紫あやめ

々しき竹藪なぶる風の色

えみり

々しき白鷺舞ふや春浅し

シナモンティー

々しくフラれてブランコを漕ぐよ

十月小萩

々しなんてったって白露です

びんごおもて

々し空割る噴水の一矢

広島じょーかーず

々し吾子の横顔入学す

閏星

々し高市早苗冬の陣

原島ちび助

々し山小屋の朝駒ヶ岳

沙魚 とと

々し酒呑童子の子は教師

春野つくし

々し春に棲みたる一里塚

伊都

々し真冬選挙の素手マイク

かたじん

清し親元離れ春動く

牛乳符鈴

々し生者ひとしく四月馬鹿

梵庸子

々し早朝の空気秋深し

しせき

々し卒業の日の振られっぷり

孤寂

々し緑蔭のもと喜寿二人

とぜん

々しいな」の「しい」でゲップとは!若葉

俊恵ほぼ爺

すがしさや飛梅空に飛ばぬまま

瓦 森羅(もりら)

すがしきといへば真白きシクラメン

中岡秀次

すがすがしまもなく退院初茜

平本文

すがすがし冬空に雪中の宴

竜酔

すがすがし梅の香りにめじろ飛ぶ

結城

すがし空跨ぐ二本のジェット雲

すがし冬チョコマシュマロの角高し

天音閑

しき目濡らす麒麟の首を春

岸来夢

しきは結はひたてなる茅の輪の香

佐藤さらこ

し女にブランコ醜女には砂場

塩田奈七子

し女のしやなりしやなりと花の雨

青井季節

し気の坂金堂へ色葉散る

春乃歌奈

やかな裁断機なり鷹鳩に

さ乙女龍チヨ

やかに衣類半減して長閑

明 惟久里

すがやかに桜吹雪を離任かな

にゃん

すがやかや寡黙な湖に波二月

津々うらら

二番目に多かったのが「清々しい」に代表される形容詞&形容動詞グループ。「清々しい」はよく見聞きしますが、「清やか」はあまり普段使いしない気がしますね。形容動詞「清やか」は物事が滞りなく進むさまや、未練がなく思い切りのよいさまを意味する言葉。《さ乙女龍チヨ》さんの句は「なり」の断定が気持ちよさを増してまさに清やか。

《朋》さんと《天音閑》さんの句はどちらも「すがし」となっていますが、これは形容詞の終止形。ここで一度意味が切れる形になっています。それぞれ後ろの言葉に意味をつなげるのなら「すがしき空」「すがしき冬」となります。《岸来夢》さんが良いお手本ですね。ちなみにその後に登場する《塩田奈七子》さんと《青井季節》さんの場合は「清し女」でひとかたまりの単語になっているので問題なし、となります。清らかで美しい女を意味する言葉なんですってよ。《塩田奈七子》さんの対句による対比、あまりにもストロングスタイルで笑っちゃった。人心無。

《②に続く》

“とてもいい“