写真de俳句の結果発表

第67回「城下町の白壁」《ハシ坊と学ぼう!⑧》

ハシ坊 NEW

城下町の白壁

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

人伝てに先代の訃報花の冷え

Q&A

夏井いつき先生より
中八だけは解消しましょう。語順を一考するだけでいけそうですよ。
“ポイント”

白壁に映る野球部錦鯉

トウ甘藻

夏井いつき先生より
「野球部」と「錦鯉」、不思議な取り合わせですが惹かれます。これを生かすとすれば、前半「白壁」には拘らないほうが、巧くいきそうです。
“ポイント”

白壁に流るる風や梅雨穴子

不二自然

夏井いつき先生より
「梅雨穴子」を季語とした時、「白壁に流るる風」をどう解釈するのか、少々悩みました。例えば、柳のような葉の影が映っている? 雨が斜めに走っている? 上五中七の表現をもう一工夫してみましょう。
“ポイント”

越冬の鯉の引越し飛花落下

伊藤 柚良

夏井いつき先生より
「旅行中に読んだのですが、飛騨古川の瀬戸川では、冬のあいだ川が除雪した雪を流す『流雪溝』として使われるため、鯉は近くの池に移されて越冬するそうです。そして4月になって気温が上がってくると、川に帰ってきます。季重なりに苦しみましたが、やはり『越冬』は必要なので これを出します!」と作者のコメント。

下五を「落花」とすれば、人選です。変換ミスですね。
“ポイント”

花菖蒲流れの清きなまこ壁

ルーミイ

夏井いつき先生より
「兼題写真を見て、かつて旅行で行った殿町通りかなと思いましたが、なんだか写真を見たままになってしまいました。本当は、なにかもっと意外なものを取り合わせたほうがいいのかなと思いつつ」と作者のコメント。

句としては出来ているのですが、今回「花菖蒲」「なまこ壁」の取り合わせが相当数あり、類想類句から抜けだすためには、もう一工夫あってもよいかと思います。
“参った”

青蔦の絡まる白壁酢屋の坂

国東町子

夏井いつき先生より
中七を「絡む」とすれば人選です。
“ポイント”

集合は唐門の夏帽子かな

喜祝音

夏井いつき先生より
「集合は」なので、唐門に立っている夏帽子が目印ですよ、という句意なのでしょうか? だとしたら、「かな」の詠嘆はニュアンスが違うかなと。
“ポイント”

鯉の背に崩れて流る花筏

きべし

夏井いつき先生より
良い光景に目をとめました。「流る」は終止形なので、ここで意味が切れます。「花筏」に掛かるとすれば「流るる」と連体形にする必要があります。が、そもそも「鯉の背に崩れて」と描写できている段階で、流れる様子は十分に想像できます。そのあたりを再考すると、佳句になりますね。
“ポイント”

蝉涼しほどけ始めた飛行雲

深紅王

夏井いつき先生より
「蝉涼し」は、季語の使い方として少々強引かと。
“ポイント”

城址より海一望の紫雲英摘む

小林 昇

夏井いつき先生より
「城址より海一望」と「紫雲英摘む」の間に、切れを入れたほうが良いですね。語順も含めて、幾つかの方法があります。試してみましょう。
“ポイント”

なまこ壁緋鯉群るほどに静謐

俳句笑会

夏井いつき先生より
「武家屋敷のなまこ壁に沿って続く掘割の水路に、緋鯉が群れて水面近くで上下左右に重なり合い活発に動いている。掘割の透き通った水やなまこ壁のはっとする白さが、鮮やかな色彩の鯉達の動きとの対比により、より一層の静謐さを感じさせる、そんな情景を詠みました。『群る』か『群るる』かで少し迷いましたが、歴史を感じる表現の方が望ましいと考え、文語体の連体形『群る』を採用しました」と作者のコメント。

口語「群れる」の文語体は「群る」です。ラ行下二段活用なので、連体形は「群るる」となります。この句の場合、緋鯉が群れれば群れるほどに静謐であることが一句の眼目ですから、むしろ「なまこ壁」という映像が必要なのか否か、そこから考えるべきかもしれません。
“ポイント”

城跡の小さな草地あやめひとつ

渡辺鬼

夏井いつき先生より
「小高い丘の上の本当に小さな城跡に、一本だけ咲いていたあやめです。音数の座りが悪いかなと思い、『花あやめ』も考えたのですが、一本のイメージを大事にしたくてこうしました。表記も漢字にするか迷いました」と作者のコメント。

「あやめひとつ」に強いこだわりがあるとすれば、思いきって破調にするのも一手です。

添削例
あやめひとつ城跡の小さな草地
“ポイント”

花菖蒲雨音もまた納品後

まさと澄海

夏井いつき先生より
「お題写真に正面から取り組もうと、〈城下町花菖蒲のもと鯉泳ぐ〉という絵葉書俳句からスタート。花菖蒲の連想マップを作成。静寂という単語から〈花菖蒲足の音染む池の道〉に至りました。次に池が季語の連想にあり不要とし、マップの一番外側の時間が止まる感覚、わずかな寂しさという単語から提出の句に至りました。類想からは脱したものの、読み手に伝わるかがポイントになると思うので、解説をお願いします」と作者のコメント。

「池が季語の連想にあり不要とし」というあたり、よく考えられています。「花菖蒲雨音もまた」までは良いですね。ただ、「~また」のあとなので、「納品後」というワードが少々唐突な感じがします。どういう意図だったのでしょう? 「時間が止まる感覚、わずかな寂しさ」から「納品後」にいきなりジャンプすると、読者を置いてきぼりにしてしまうかと。
“ポイント”

春萌のサマルカンドの丘は風

宇佐

夏井いつき先生より
中七下五は気持ちの良いフレーズですが、上五「春萌」には違和感があります。季語を一考してみましょう。
“ポイント”

城下の長き白壁大緋鯉

千鳥城

夏井いつき先生より
上五を「お城下の」とすれば、人選です。
“ポイント”

式台の板も痩せたる飛花落花

若山 夏巳

夏井いつき先生より
「も」を「の」とすれば、人選です。
“ポイント”

するすると登る白壁細き蛇

くぅ

夏井いつき先生より
「登る」と書かなくても、その様子は表現できます。語順も合わせて、推敲してみましょう。
“ポイント”