第67回「城下町の白壁」《ハシ坊と学ぼう!⑨》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
白壁に飛燕一閃雨近し
ゆきまま
夏井いつき先生より
句としては出来ています。ただ、「飛燕一閃雨近し」のような光景を描いた句は、かなりあります。


廓あと百の口あくうらしまさう
浅海あさり
夏井いつき先生より
下五を敢えて平仮名にする意図が成功しているとは、言いがたい。語順も含めて、再考してみましょう。


牛虻やてんやわんやの川露天
啓太郎
夏井いつき先生より
「第29回『オオイヌノフグリと小さなアブ』の並評価〈闘いは川原の秘湯虻二匹〉の推敲句です。手拭いで必死に追い払った体験の映像化を目指しました」と作者のコメント。
映像化とは、作者コメントにある「手拭いで必死に追い払った」の部分になります。ここが大事な映像なのですが、「てんやわんやの」でごまかしているので、読者にはその映像が見えてこないのです。推敲の方向性を修正しましょう。
「第29回『オオイヌノフグリと小さなアブ』の並評価〈闘いは川原の秘湯虻二匹〉の推敲句です。手拭いで必死に追い払った体験の映像化を目指しました」と作者のコメント。
映像化とは、作者コメントにある「手拭いで必死に追い払った」の部分になります。ここが大事な映像なのですが、「てんやわんやの」でごまかしているので、読者にはその映像が見えてこないのです。推敲の方向性を修正しましょう。


陽炎の白壁類縁無き家
辻 さつき
夏井いつき先生より
句材の取り合わせは良いのですが、調べを整えてみましょう。
句材の取り合わせは良いのですが、調べを整えてみましょう。


レジ奥の鯉泳ぐ池あんみつ屋
楽奏
夏井いつき先生より
上五「~に」とすれば、人選です。


時速五十窓に蛾あたる遅刻中
咲織
夏井いつき先生より
「第62回『バッテリースタンド』の〈時速四十窓に蛾あたる花粉跡〉を直してみました」と作者のコメント。
「時速五十」と「窓に蛾」が当たることを書くだけで、そのフロントガラスに付くであろう鱗粉は想像できますね。「遅刻中」と説明をする必要はありませんので、そのフロントガラスを描写してみましょう。
「第62回『バッテリースタンド』の〈時速四十窓に蛾あたる花粉跡〉を直してみました」と作者のコメント。
「時速五十」と「窓に蛾」が当たることを書くだけで、そのフロントガラスに付くであろう鱗粉は想像できますね。「遅刻中」と説明をする必要はありませんので、そのフロントガラスを描写してみましょう。


新緑の花々萌える散歩路
雅
夏井いつき先生より
「新緑」は初夏の葉を指す季語ですから、「新緑の花々」という表現に違和感を持ちます。
「新緑」は初夏の葉を指す季語ですから、「新緑の花々」という表現に違和感を持ちます。


金魚買ふ武士や『第九』の生まれた日
俊恵ほぼ爺
夏井いつき先生より
「第50回『雪の赤れんが』で並選を頂きました〈江戸城下のどか「第九」の生まれた日〉の推敲句です。掲句は実は同じ時に出来ていたもので、今思えばこちらの方が映像があって良いかなと思い、投句することにしました。 投句前に下五を変え〈金魚買ふ武士や『第九』の初演の日〉も考えました。こちらの方が具体的ではありますが、金魚を買う武士の、のほほんとした印象を考え、元のままの掲句にしました」と作者のコメント。
「『第九』の生まれた日」というフレーズは生かせると思います。が、そこに「武士」が出てくると、読者はキョトンとしてしまいます。俳句は、何がどうしてどうなった……というストーリーを述べるのには向いていません。なぜなら、十七音しかないからです。映像を切り取ることで、何かを伝える。そこに意識を置いて、何を表現したいのか、再度自問自答してみましょう。
「第50回『雪の赤れんが』で並選を頂きました〈江戸城下のどか「第九」の生まれた日〉の推敲句です。掲句は実は同じ時に出来ていたもので、今思えばこちらの方が映像があって良いかなと思い、投句することにしました。 投句前に下五を変え〈金魚買ふ武士や『第九』の初演の日〉も考えました。こちらの方が具体的ではありますが、金魚を買う武士の、のほほんとした印象を考え、元のままの掲句にしました」と作者のコメント。
「『第九』の生まれた日」というフレーズは生かせると思います。が、そこに「武士」が出てくると、読者はキョトンとしてしまいます。俳句は、何がどうしてどうなった……というストーリーを述べるのには向いていません。なぜなら、十七音しかないからです。映像を切り取ることで、何かを伝える。そこに意識を置いて、何を表現したいのか、再度自問自答してみましょう。


松前城白壁に舞う桜かな
道見りつこ
夏井いつき先生より
「舞う」という言葉に甘えず、その様子を描写してみましょう。


ゆつたりと身を返したる緋鯉かな
常磐はぜ
夏井いつき先生より
描写としては書けているのですが、「緋鯉」の様子としてはありがちな書き方になっています。「かな」の詠嘆も含めて、再考してみましょう。
描写としては書けているのですが、「緋鯉」の様子としてはありがちな書き方になっています。「かな」の詠嘆も含めて、再考してみましょう。


亡き君の車椅子の窪町は春
山浦けい子
夏井いつき先生より
「窪」は座面? いつも困らされていた地面の窪み?
「窪」は座面? いつも困らされていた地面の窪み?


白壁に低く差す影燕飛ぶ
木乃芽依
夏井いつき先生より
語順と季語は微調整かな。
添削例
白壁に影低く差す初燕
語順と季語は微調整かな。
添削例
白壁に影低く差す初燕


渡り鳥カツ丼に蕎麦までついて
たけろー
夏井いつき先生より
中七下五の体験からのフレーズを良しとした時、上五の季語は動くのではないかと。
中七下五の体験からのフレーズを良しとした時、上五の季語は動くのではないかと。


背景に海鼠壁背負う菖蒲映え
渥美 謝蕗牛
夏井いつき先生より
「背景」「背負う」どちらも必要ですか。更に、「映え」は説明の言葉です。
「背景」「背負う」どちらも必要ですか。更に、「映え」は説明の言葉です。


白壁に赤子の声や薫風す
青山楽夢
夏井いつき先生より
「薫風す」という使い方には多少の違和感があります。下五にもって来るのならば、「風薫る」とするのが定石です。
「薫風す」という使い方には多少の違和感があります。下五にもって来るのならば、「風薫る」とするのが定石です。


白壁に映える波紋やあやめ草
みなごん
夏井いつき先生より
今回、「映える」(口語)・「映ゆ」(文語)を使った句がたくさんありました。確かに「白壁」に花菖蒲などの紫は映えますから、ついついそう書いてしまうのですが、その便利な言葉に頼らず、どんな映像が眼球に映ったから「映えているな」と感じたのか。その映像を言葉で描写すれば、読者の脳内にも全く同じ映像が再生されるのです。この句の場合でしたら、「白壁」と「波紋」の様子を描写することを考えてみましょう。
今回、「映える」(口語)・「映ゆ」(文語)を使った句がたくさんありました。確かに「白壁」に花菖蒲などの紫は映えますから、ついついそう書いてしまうのですが、その便利な言葉に頼らず、どんな映像が眼球に映ったから「映えているな」と感じたのか。その映像を言葉で描写すれば、読者の脳内にも全く同じ映像が再生されるのです。この句の場合でしたら、「白壁」と「波紋」の様子を描写することを考えてみましょう。


バナナ熟れガラスの床に鯉泳ぐ
黒岩牡丹
夏井いつき先生より
「ジャカルタに駐在した時、華僑の富豪の家に招待されました。クーラーなどは使わず、屋内の岩壁に滝の如く水を流し冷気を呼び、床はガラス張りで、その下に沢山の鯉を泳がせ涼を感じるようにしていたことを思い出し、詠んでみました」と作者のコメント。
素晴らしい句材を体験なさったのですね。この訪問だけで、一〇句も二〇句も作れそうです。「バナナ」を季語に立てた思いは分かるのですが、まずは、ガラス張りの床の下に「緋鯉」が飼われていることだけで一句のケース。「バナナ熟れ」ている豪邸もまた別の一句として仕上げてみましょう。
「ジャカルタに駐在した時、華僑の富豪の家に招待されました。クーラーなどは使わず、屋内の岩壁に滝の如く水を流し冷気を呼び、床はガラス張りで、その下に沢山の鯉を泳がせ涼を感じるようにしていたことを思い出し、詠んでみました」と作者のコメント。
素晴らしい句材を体験なさったのですね。この訪問だけで、一〇句も二〇句も作れそうです。「バナナ」を季語に立てた思いは分かるのですが、まずは、ガラス張りの床の下に「緋鯉」が飼われていることだけで一句のケース。「バナナ熟れ」ている豪邸もまた別の一句として仕上げてみましょう。



