写真de俳句の結果発表

第67回「城下町の白壁」《ハシ坊と学ぼう!⑩》

ハシ坊 NEW

城下町の白壁

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

名月や城の白壁古りにけり

青井季節

夏井いつき先生より
「や」「けり」と切字が重なるのは、感動の焦点がブレるという意味で嫌われます。どちらか一つを外すのが定石です。
“ポイント”

オーボエや春夕焼の或る処

うくちゃんま

夏井いつき先生より
「オーボエ」と「春夕焼」の取り合わせがいいですね。最後の着地は、一考の余地があります。
“ポイント”

城址の余白に探す春の端

広島じょーかーず

夏井いつき先生より
やりたいことは分かります。「余白」「端」という比喩の部分のイメージが近いのは、お互いに損かもしれません。どちらか一つに絞るのも一手です。
“良き”

春の日に城跡の壁セピア色

高橋 誤字

夏井いつき先生より
懐かしい光景や気分を「セピア色」という言葉で表現する句はかなりあります。この言葉に甘えずに、何がそう感じさせたのか。そこを描写する練習をしていきましょう。
“ポイント”

白壁に沿うや水路の花菖蒲

香代

夏井いつき先生より
例えば「白壁の水路」と書けば、白壁に沿った水路だと読者は光景を想像してくれます。
“参った”

雛ふたつ鉄砲狭間は鳩の巣ぞ

水越千里

夏井いつき先生より
「『プレバト‼︎』の推敲の影響で『ぞ』をはじめて使いました。城の狭間には鳩などの鳥が巣を作るそうです。平和のシンボルの鳩の巣の句にしました」と作者のコメント。

「ぞ」の使い方は、ちょっと難しいですね。「雛」と「鳩の巣」の位置が離れているのがちょっと損ですし、そもそも「鳩の巣」とあれば「雛」という情報が必要なのかどうかも含めて、一考してみましょう。鳩は、ほんとうに雑に巣作りをしますので、「鉄砲狭間」のそれを描写するだけで、一句になる情報量はありますよ。
“ポイント”

遺言を読む子らの顔虎が雨

日月見 大

夏井いつき先生より
「私が最後にお世話になっていた会社のオーナー家は、まさに白壁に囲まれたお屋敷街にありました。持つ人には持つ人の悩みがあるのですね。贅沢な悩みと言えばその通りなのですが」と作者のコメント。

下五の季語「虎が雨」が少々悪目立ちしています。もっと淡々とした季語のほうが、リアリティが強くなります。
“ポイント”

切立の癌「きれい」と妻は秋涼し

鈍牛

夏井いつき先生より
句材は生々しく、人生における貴重な記憶だと思います。手術の後に切り取った部位を見せてもらいながら、主治医から説明を受ける……場面かと思ったのですが、そこが描写しきれてないので、読者は戸惑うのではないかと。情報がやや多いのも、改善の余地があります。この句材は、少し寝かせておいて、もう少し俳筋力を身につけてから再度挑んでみましょう。
“ポイント”

白壁に生き様のあり守宮の糞

青田道

夏井いつき先生より
「白壁」にくっついた(?)「守宮の糞」に気づいた点がとても良いです。惜しいのは、中七「生き様のあり」の部分。ここが説明というか、感想になっているのが実に惜しい。描写に徹してみましょう。
“ポイント”

鯉に赤あやめに青の日を分けて

清水縞午

夏井いつき先生より
「晴れのあやめも良いですよね。どの光も初夏は輝いている気がします」と作者のコメント。

うーむ、意図は分かるのですが、季語=主役であるべき「あやめ」の主役感が薄いというか……。
“難しい”

コイにゆれるアヤメ姐さん白壁の影

サッサゆきまる

夏井いつき先生より
「鯉と恋を掛けてみました。今が盛りの妖艶な姐さんを連想しました」と作者のコメント。

洒落てみたのは分かるのですが、姐さんの名前としての「アヤメ」だと、季語としての力は無くなります。兼題写真はあくまでも、発想のジャンピングボード。写真から思い出される自分の経験を一句にするところから、練習していきましょう。
“ポイント”

鯉ゆらり水面に初夏の風渡る

長谷部憲二

夏井いつき先生より
「下五は『風流る』とどちらにしようか迷いました」と作者のコメント。

「渡る」のほうが、奥行きがでますので、そちらを推します。「風渡る」とするのならば、中七「水面を」とすべきでしょう。助詞「に」と「を」の違いについて考えてみて下さい。
“良き”

春の雨父の庭石濡らしをり

蛙目

夏井いつき先生より
「お彼岸の時期に父の三回忌を迎えた朝、大好きだった庭の石に雨がシトシトと降り注いでいる様子を詠みました」と作者のコメント。

「春の雨」とあって、「父の庭石」とあれば、「濡れ」ているのは分かります。残りの音数で何ができるのか。ここが最後の勝負どころです。
“ポイント”

墓地までのバス万緑の中進みおり

こきん

夏井いつき先生より
第65回『バスからの眺め』に投句した句〈万緑や墓地までのバス五分乗る〉がハシ坊に採用されました。先生より 『句材がよいですね。この内容でしたら、五七五のリズムを逸脱してもよいので、語順を一考してみましょう』とアドバイスいただき、そこでこのような作句に落ち着きました。ハシ坊に選ばれて喜んでいましたが、頭をフル回転で考えました」と作者のコメント。

後半「万緑の中進みおり」は冗長な書き方。「万緑を行く」と書けば、OKです。これを前半にもってきて、残りの音数で前半の内容をまとめる。……となれば、「五分」も入りそうね!
“ポイント”

白壁へキリシタンの影あげは蝶

青き柚子丸

夏井いつき先生より
「キリシタン」と「あげは蝶」の取り合わせに惹かれます。中七が八音の字余りになっているのは、実に勿体ない。「白壁」と書きたい気持ちは分かりますが、この一語がなくても、詩として成立できるだけの要素はあります。
“ポイント”

夏草や「きょうりゅう」の脚治ったよ

山崎三才

夏井いつき先生より
中七下五のフレーズ、良いですね。上五の季語は動きそうです。更に、主役になれる季語を探してみましょう。
“ポイント”

花菖蒲トントン前のゆり組さん

まるるん

夏井いつき先生より
中七下五「トントン前のゆり組さん」は、子どもたちの表情も年齢もみえてきてよいですね。上五「花菖蒲」と下五の「ゆり~」が、イメージの上で損します。季語を変えるか、組の名前を変えるか。まずは、中七下五が生きるような季語を探してみましょう。
“ポイント”