俳句ラボの結果発表

第2回 俳句ラボ テーマ×季語で一句|鍵 ×メロン③

俳句ラボ NEW

俳句ラボへようこそ

皆さんようこそ、俳句ラボへ。
各回に提示されるテーマと季語の発想をかけ算して俳句を生み出す研究所です。
組み合わせからどんな化学反応が起こるかは、あなた次第。
さぁ、実験を始めましょう。

第2回のお題

 
テーマ
×
季語
メロン
 

珍奇なる謎のフラスコ

 

むしゃむしゃメロンぺちゃくちゃ人間論

加里かり子

うーんこれこれ! 珍奇なる謎のフラスコは、これくらい取り合わせの距離がある句に挑ませてもらえるのが楽しいよね!

鍵って単語は入ってないし、鍵に付随しそうな開ける・閉じるといった動詞や、場所の類も入ってない。じゃあ「鍵」からどう連想してこの取り合わせにたどり着いたんだろう?

考えられるルートその一は「人間論」へのアプローチ。人間論とはずばり「人間とはなにか?」を問う学問のこと。人間という存在を紐解く=鍵を開けるイメージからの取り合わせ、と考えられるでしょうか。個人的にはこのルートの可能性が高いかなあと思っております。

もう一つの可能性は「むしゃむしゃ」「ぺちゃくちゃ」ルート。決して日常的ではない題材をおしゃべりできる相手ってめちゃくちゃ貴重な存在なんじゃないかしら。そんな相手との会話が堰を切ったように溢れてくる=解放されるイメージが「鍵」から導き出されたのかな、と。

どちらにせよ、かなり距離のある取り合わせながらも、大いに会話の弾む状況にあって「メロン」がちゃんと際立ってるのが魅力であります。メロンの果肉はエメラルド色かなあ。それともカーネリアンのような赤い果肉の品種だろうか。とめどない会話と共に、宝石のようなメロンが削り取られていく姿もまた豊かな詩へとつながっていきます。

ポイント

タテの5に入る使徒の名さてメロン

みづちみわ

クロスワードパズル? 「鍵」から出発して「謎を解く」発想に向かったわけですね。

「使徒」っていうとキリスト教の十二使徒とかだろうか。ほかにもフィクション作品で使徒って冠をつけて呼ばれるキャラクター多そうだし、どんなクロスワードなのか興味あるなあ。句の中で謎を解く作者のあとを追うように、読者もついつい思考に引き込まれていってしまいます。誰かとクイズ問題を一緒に考える時間を疑似体験させてくれるようで興味深い。……だというのに、一人で「さてメロン」なんて切り替えて良い物食べるのずるいじゃないか! こっちにもくれよ!

良き

メロン熟れてもお家へ帰る鍵がない

里山子

閉め出されましてメロンはいかがです

あなぐまはる

今回、いわゆる佳作として「謎」の試験管も選定しているのですが、意外と未知の展開をしてる句を数十句単位で見つけだすのは難儀でありまして……。なので、ちょっと選句の定義を広げてみました。テーマからのぶっ飛び具合だけでなく、ストーリー性というか、「なにか表現したい物語が濃くありそうなもの」もこのジャンルにいれております。

そういう意味で「謎」のフラスコに推したいこちらの二句。《里山子》さんの宙ぶらりんな孤独感と「メロン」のミスマッチ、《あなぐまはる》さんの困難な状況にあるはずなのになぜ上等な手土産を!? しかも丁寧語で!? という困惑、どちらも謎めいていて興味を惹かれます。

「鍵」からの連想のルートはわかりやすいから「謎」のフラスコってわけにはいかないかなあ……かといって「鍵」や「メロン」に分類するのも、この句の芯を的確に捉えてる気がしないんだよなあ……と悩んだ末に今回のような結論に。うーむ、これぞ実験。予期しない結果が現れてくるのも醍醐味ってやつです、ハイ。

良き

「謎」の試験管

鍵穴を覗くメロンを食むように

蔵豊政

膨張する宇宙は孤独メロン置く

ひな野そばの芽

刃を当つるメロンや魔法陣のごと

青野みやび

仏壇にメロン蔵の鍵の行方

ゆすらご

箱入りのメロン鍵なき蔵の月

広島じょーかーず

鍵穴の深さにメロン刺してみる

シラハマナオコ

鍵穴をふさぐ鼻腔のメロンくふ

古み雪

メロンに鍵穴くちびるに恋

青に桃々

鍵のこゑ恩赦としてのメロン喰ぶ

水鏡新

金持ちかどうかメロンが鍵になり

南全星びぼ

贈賄か鍵は千疋屋のメロン

真秋

桐箱のメロン仁徳天皇陵

津々うらら

王様のメロン盗人には手錠

山河美登里

メロンですドクターXのキーマンより

琵琶十六

店番中謎解きメロンは奥の棚

春那ぬくみ

マスクメロン蓄財の鍵語る翁

おちがうな

デザートチーズ開けるときめきメロンの香

和花

メロンハウス透くる濃緑鈍(にび)の鍵

銀巨躯

メロン捨つ薬指の白き痕

盤若の森

メロン切る後腐れなき独居かな

空木花風

お披露目のイタ車よデセールはメロン

巴里乃嬬

記念日のシャンパンメロン部屋の鍵

しみずこころ

甘美なる芦屋のメロン潤一郎

西村小市

冒険やマスクメロンの鍵穴へ

苫野とまや

蘇比色のバウムクーヘンメロン湧く

加賀屋斗的

愛人はメロンに鍵を深く刺す

ヒマラヤで平謝り

ネクストコナンズヒントは不味いメロンパフェ

ぞんぬ

真夜中の解錠センセイへメロン

とひの花穂

メロン食む鍵の面へとパックマン

戸村友美

これがカギ赤道に切るメロン切る

丨呂 ih

マスクメロン事件に鍵を掛けた人

咲山ちなつ

メロンの香とナイフと死体密室に

水越千里

鍵は二刀目五人家族を割るメロン

感受星 護

金庫開けりゃメロンは無事に返したる

江口朔太郎

キーマンと思しき老女メロンの香

田原うた

メロン食ぶ女子刑務所の一日目

草夕感じ

宮殿の鍵ゲットして網メロン

あが野みなも

メロンとふ扉に歯とふ鍵を挿す

岡根喬平

ポケットの鍵跳ねメロンメロンラン

若林くくな

ダンジョンの解けない深夜カットメロン

内田ゆの

ということで、第2回俳句ラボはここまで。
何度かマニアックな出題を試したあとは、そのうち逆にべったべたな出題とかも試してみたいですね。まだまだ実験は始まったばかり。
さあ、次回はどんな輝きに出会えるでしょうか。来月もまたお会いいたしましょう。

ポイント