写真de俳句の結果発表

第71回「芒野と風車」《ハシ坊と学ぼう!②》

ハシ坊 NEW

第71回のお題「芒野と風車」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

季重なり

発電や鼻ひりひとつ芒原

永順

夏井いつき先生より
「ススキの写真で花粉症が出そうだと思いました。中七を『くしゃみひとつの』としたかったのですが、くしゃみは冬の季語。『鼻ひり』という言葉を見つけたので使ってみました」と作者のコメント。

「鼻ひり」は、「嚔(くさめ)」の傍題になります。
“参った”

季重なり

夏空にしめ縄飾りくるくると

すみだ川歩

夏井いつき先生より
「注連飾」は新年の季語になりますね。
“参った”

季重なり

風車蜜と見紛う蝶の寄る

蒲公英

夏井いつき先生より
「美しく作られた動く風車に、蝶が何とかして止まろうと寄ってきます」と作者のコメント。

「風車(かざぐるま)」「蝶」は、共に春の季語ですね。
“参った”

季重なり

風向かう芒野ゆれる風車

櫻庭 映北 (サクラバ エイホク)

夏井いつき先生より
「『風車(かざくるま)』と読んで下さい」と作者のコメント。

「風車(かざぐるま)」は、春の季語になります。
“難しい”

月落つるところへ芒敷き詰めん

家守らびすけ

夏井いつき先生より
「月」と「芒」をどちらも主役にしようと企んだのかもしれません。ただ、「落つるところ」の詩的リアリティがやや弱いため、「敷き詰めん」の詩的説得力がやや弱いかと。
“難しい”

風車秋の野原に影ひとつ

ラクダーマン

風車秋の夕日に影長く

ラクダーマン

夏井いつき先生より
二句ともに、上五は「風車(ふうしゃ)」の光景だろうと思うのですが、音数が足りていません。「風車(かざぐるま)」と読めば音数は合うのですが、春の季語になってしまいます。
“難しい”

きゅるきゅると網戸も鳴れり芋名月

谷川炭酸水

夏井いつき先生より
「芋名月」が主役だろうということは分かりますが、「網戸」も季語ではあります。「きゅるきゅると網戸」とあれば、「鳴れり」は不要かも。
“ポイント”

夕間暮れすすきに踊る風車かな

ちょろ蔵

夏井いつき先生より
「子供が小さな風車(かざぐるま)を持って、駆け回っているイメージを詠みました」と作者のコメント。

「風車(かざぐるま)」は春の季語になりますね。この句の字面のままならば、「風車(ふうしゃ)」と読むと、下五が五音になります。が、風に回る様子を「踊る」と書くのは、ありがちな擬人化です。
“難しい”

河川敷チアリーダーはススキ達

かたじん

夏井いつき先生より
季語としては、「芒」「薄」と漢字で書くか、「すすき」と平仮名書きするのが定石です。
“ポイント”

見晴るかす芒野原の草千里

納平華帆

夏井いつき先生より
草千里の芒野原となれば、当然「見晴るかす」光景ですよね。
“参った”

芒野の回らぬ風車凪の空

卯の花 京

夏井いつき先生より
「凪」とあれば、風車が「回らぬ」ことは想像できます。
“参った”

松脂のたらり熱帯夜の梁を

古み雪

夏井いつき先生より
第69回『日本最古のビアホール』《並》 〈松脂の滴る厨麦酒干す〉の推敲です。ビールから琥珀経由で松脂を連想しました。古民家のじっとりとした暑さを表現したいと思いました」と作者のコメント。

なるほど、表現したいことが絞られてきましたね。「熱帯夜」という季語の中で、「松脂」がでてくると「~たらり」はちょっと安易な表現。静かなリアリティが伝わる書き方を工夫してみましょう。
“参った”