第71回「芒野と風車」《ハシ坊と学ぼう!④》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
秋晴の鳥の糞垂る碑かな
内藤羊皐
夏井いつき先生より
「垂る」は、「垂れる」の文語形と考えてよいのだろうと。となれば、「碑」に掛かる場合は「垂るる」となるのでは?


芒、風、風、風、芒、風、芒
砂糖香
夏井いつき先生より
「兼題写真を見ているうちに、いつき先生に叱られそうな一句が閃いてしまった。季語が三回も出てくるなぁ。ともかく風を感じる写真だったので……」と作者のコメント。
こういうふうに漢字を並べて光景を作っていく技法もあります。ただ、この句の場合は「芒」と「風」だけで、意外性もなく終わってしまいます。
こういうふうに漢字を並べて光景を作っていく技法もあります。ただ、この句の場合は「芒」と「風」だけで、意外性もなく終わってしまいます。


芒野や風の形の穂波かな
とおる
夏井いつき先生より
「や」「かな」、切れ字を二つ入れると、感動の焦点がブレるということで嫌われます。どちらかを外して、整えてみましょう。


黄昏の川辺芒はシルエット
チョコ婆
夏井いつき先生より
「数年前、自宅近くの堤防を散歩していたら、日が暮れてきてオレンジ色にきらきら染まる空。川辺の芒は黒いシルエットとなりそれは素晴らしい光景で写真に撮りました。記憶だけで〈日暮れゆく川辺の芒きらきらり〉と詠んだのですが、何か違う、と写真を見直して作り直し。でも、あの美しさを伝えきれていません」と作者のコメント。
「シルエット」という言葉は便利なので、よく使われます。が、この言葉に甘えずに、この情景をどう描写するか。俳句はここからが勝負なのです。
「シルエット」という言葉は便利なので、よく使われます。が、この言葉に甘えずに、この情景をどう描写するか。俳句はここからが勝負なのです。


最果ての踊る芒や湖畔の湯
昇椿
夏井いつき先生より
風に揺れる様子を「踊る」と擬人化して安心するのではなく、表現の工夫はここからが勝負なのです。


隧道を這つて色なき風となる
藻玖珠
夏井いつき先生より
「這つて」という表現がベストなのか? 悩ましいところです。


羽根見上げ回つてみたひ鬼芒
白石ルイ
夏井いつき先生より
「~てみたい」という口語を、歴史的仮名遣いで書こうとしたのだと思われますが、「みたひ」にはなりません。普通に「みたい」と書くのが正解です。
「~てみたい」という口語を、歴史的仮名遣いで書こうとしたのだと思われますが、「みたひ」にはなりません。普通に「みたい」と書くのが正解です。


おんぶ子や肩越しあやす風車
すけたけ
夏井いつき先生より
「風は優しい。涼風は心を和ませ、赤ちゃんの眠気を誘う。赤ちゃんをおんぶしている母親は見られなくなった。中七と下五の季語『風車(かざぐるま)』は早く決まりましたが、上五のフレーズに悩みました。『負いし児を』『おんぶして』『背の児や』など。これだと母親が背中の児をあやす状況ですが、あやす主体を第三者を含めた『風・かざぐるま』だと考え、『や』を入れました」と作者のコメント。
中七下五があれば、肩越しに背負った子を風車であやしている様子は、ちゃんと伝わります。さあ、上五をどうするか。ここからが、勝負ですよ。
「風は優しい。涼風は心を和ませ、赤ちゃんの眠気を誘う。赤ちゃんをおんぶしている母親は見られなくなった。中七と下五の季語『風車(かざぐるま)』は早く決まりましたが、上五のフレーズに悩みました。『負いし児を』『おんぶして』『背の児や』など。これだと母親が背中の児をあやす状況ですが、あやす主体を第三者を含めた『風・かざぐるま』だと考え、『や』を入れました」と作者のコメント。
中七下五があれば、肩越しに背負った子を風車であやしている様子は、ちゃんと伝わります。さあ、上五をどうするか。ここからが、勝負ですよ。


風光れ無理な再エネ今でない
イヴちん
夏井いつき先生より
中七下五は、俳句というよりは、シュプレヒコールです。
中七下五は、俳句というよりは、シュプレヒコールです。


萱発ちし雀に雀の重さあり
相州枕流
夏井いつき先生より
「以前、枯れた萱の中から雀がぱっと飛び立った瞬間に、萱が撥ね戻るのを見て、小さな雀にも重さはあるんだなぁ。生きているんだなぁと、ふと思ったことを思い出して句にしてみました」と作者のコメント。
上五を「萱を発つ」とすれば、臨場感が増します。更に、中八を解消する工夫がなされると、人選が見えてきます。
「以前、枯れた萱の中から雀がぱっと飛び立った瞬間に、萱が撥ね戻るのを見て、小さな雀にも重さはあるんだなぁ。生きているんだなぁと、ふと思ったことを思い出して句にしてみました」と作者のコメント。
上五を「萱を発つ」とすれば、臨場感が増します。更に、中八を解消する工夫がなされると、人選が見えてきます。


約束のお花畑で合わせる手
ふくのよきしま
夏井いつき先生より
「第65回『バスからの眺め』〈登山杖お前と来なむ花畑〉の推敲句です」と作者のコメント。
「で」ではなく、「に」ですね。そうすれば、作品としては整います。下五の書き方は、幾つか想定できますが。
「第65回『バスからの眺め』〈登山杖お前と来なむ花畑〉の推敲句です」と作者のコメント。
「で」ではなく、「に」ですね。そうすれば、作品としては整います。下五の書き方は、幾つか想定できますが。


芒野に朽ちた風車の小屋ぽつん
蝦夷の珪化木
夏井いつき先生より
上五「に」は散文的になりがちだということで、要注意の助詞です。「に」以外にあり得ない、という時以外は、避けるのが定石です。
上五「に」は散文的になりがちだということで、要注意の助詞です。「に」以外にあり得ない、という時以外は、避けるのが定石です。



