ドリルde俳句の結果発表

【第2回 ドリルde俳句】②

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。
出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、【第2回  結果発表①】に続き、皆さんからの回答を紹介していきます。
“ポイント”

第2回の出題

○○○○○ 靴が○○○○ 冬はじめ

第1回の出題は「団栗や置きっぱなしの○○○○○」と、考える要素が下五のみであったのに対し、第2回は上五+「靴が」から始まる中七と大きく増えています。(出題の表記で上五の下に「靴が」が配置されたためか、意外な使い方が多数届いたのはご愛敬。)

寄せられた回答の一部を例にあげつつみていきましょう。

菓子入りの靴が並ぶや冬はじめ

谷山みつこ

菓子入りの靴が彩る冬はじめ

遙香

靴としての機能は持たないけれど、これも靴。クリスマスが近づくと見かける機会がさらに増えていきます。両者の差は「並ぶや」「彩る」の部分のみ。「並ぶや」は複数の「靴」があり、その数を強調するのに対し、「彩る」はきらびやかな色彩に着目している。同じ物を見て同じフレーズが思い浮かんでも、着目するポイントによって表現内容が変わってくるという好例。

“良き”
菓子入りの靴が彩る冬はじめ

ボア付きの靴がふっくり冬はじめ

ハルノ花柊

冬期ならではの暖かさやデザイン、機能などを連想した人たち。「内ボアの靴が並びて冬はじめ 夏埜さゆり女」「ニーハイの靴が並ぶや冬はじめ 櫻波」「ふぁさふぁさの靴が並んで冬はじめ ちかひか」、「並ぶ」の一語では脱がれた靴か店先の商品かわからないが「店先の靴がファー付き冬はじめ 小池令香」となると商品であることが明確に。

店頭の靴が変わりぬ冬はじめ 小福 花」「背の高い靴が整列冬はじめ 森比古」は、まさに冬はじめの頃の店先。「イエローの靴が誘惑冬はじめ 梵庸子」、明るい色彩が冬には余計心惹かれる。

オーダーの靴が重たい冬はじめ 小倉あんこ」「通販の靴がらくらく冬はじめ ゆすらご」「バーゲンや靴が片っぽ冬はじめ つき あかり」、それぞれの販売形態のイメージに個性あり。お値打ち品が手に入っても「吾も買った靴がひび割れ冬はじめ 新陽」になっちゃうと悲しいなあ……(笑)。
“ポイント”

スウェードの靴が並んだ冬はじめ かいぐりかいぐり」「ラテ色の靴が溶け込む冬はじめ ひつじ」、素材の質感と色味がそれぞれ魅力。「冬はじめ」だからこその温かみ。

編みあげの靴が先頭冬はじめ 月青草青」はしっかり包まれた足元と、複数の人の集まりがわかる。「編み上げの靴がつちりと冬はじめ 黒子」は編み上げ靴の特性を「がっちり」と表現しつつ、お題「靴が(つちり)」をクリアする。技あり!

厚底の靴が記録の冬はじめ 放夢走」はデザインとしての「厚底」か、機能的に求められている状況なのか読み取りきれないのが悩ましい。「記録の」が読みを複雑にする。「厚底の靴がきゅんきゅん冬はじめ 小笹いのり」は「きゅんきゅん」に心理の要素が含まれる。女子のときめき? きゃー。

“とてもいい”

恋におちた靴がひかって冬はじめ

みずきの

心理の要素は様々な言葉に置き換えられる。万物が「ひかって」見える、喜びの冬。「君を待つ靴がそわそわ冬はじめ まあぶる」も恋だろうなあ。「恋」=「そわそわ」はベタではあるが共感度が高い。「ぴかぴかの靴がいよいよ冬はじめ 木染湧水」は新学期か、新入社員か。始まりを待つ期待と同時に少しの緊張。

“激励”
恋におちた靴がひかって冬はじめ

真っ白な靴がはきたい冬はじめ

信茶

綺麗な白、新しい白。「真っ白」は心理の要素も含みやすい言葉だ。「真っ白な靴がまぶしい冬はじめ 古都 鈴」は「まぶしい」の一語に照り返す光と、それを眩しむ心も感じられる。

磨かれし靴がよろこぶ冬はじめ 登りびと」は靴の擬人化。「まつさらな靴が地知る冬はじめ 斎乃雪」「新しき靴が一歩や冬はじめ ひでやん」は購入して初めての使用。同じ新品の靴でも「買いたての靴がめくれる冬はじめ 颯萬」はちょっとめくれて痛いのがモヤモヤする。使い込んで足に慣れたら「正部員靴が認める冬はじめ 二見歌蓮(フタミカレン)」くらいになるのかしら。

“ポイント”

新しい靴が軽くて冬はじめ

野良古

履き慣れた靴が重たい冬はじめ

かねつき走流

対照的な2句。それぞれに「新しい」=「軽い」=プラスの心理、「慣れた」=「重い」=マイナスの心理へと結びついてるのが面白い。物理的なだけではない「重たい」が足取りを鈍らせます。

底減りし靴が交代冬はじめ ルーミイ」「すりへりし靴がカサコソ冬はじめ 雅茶」、古くなって傷んだ靴の表現として頻出の「磨り減る」。「カサコソ」いうくらいになればかなり底は薄そう。「ビニールの靴がボロボロ冬はじめ 新開ちえ」も薄くちびてそうだなあ。

磨り減った靴が一足冬はじめ 大橋あずき」「擦り減った靴が十足冬はじめ きなこもち」、「一足」だけの姿も寂しいけど、「十足」も集まると集団的寂しさに変化する。

置き去りの靴が浜辺に冬はじめ 日記」「主人なき靴が干される冬はじめ 世良日守」「襟立てて靴が寂しい冬はじめ 伊藤あんこ」、それぞれに「置き去り」「主人なき」「寂しい」と、寂しさを象徴するキーワードが含まれている。言葉の選択に作者の個性が見えてくる。

“難しい”

とつときの靴がぱつくり冬はじめ 飯村祐知子」は「とつとき」の思い入れ具合に個性がある。「ぱつくり」が綻び具合を映像で表現。「ボロ靴が我が良き友よ冬はじめ 山川腎茶」、「ボロ靴」だからこその思い入れ。「よ」の呼びかけが優しい。

置き去りの靴がらんどう冬はじめ 蒼求」も上手い。「がらんどう」はお題をクリアしつつ、作者の心情だけでなくからっぽな履き口の映像も描く、一石三鳥の手。

病んでいる靴が靴踏む冬はじめ 大和田美信」はより直接的に心理を表現。中七の映像が病んだ心にはいつも以上に刺さるのだ。

“良き”
置き去りの靴が浜辺に冬はじめ

大雨に靴が限界冬はじめ

みー

古い・傷んだ、に続いて悲しいのが「濡れた」とか「冷たい」系の発想。雨の中歩いて、すっかり全体に水が行き渡った状態の靴。「限界」が悲痛です。

雨の後には泥のぬかるみが生まれます。「ぬかるみに靴が泣きさう冬はじめ 小鞠」、ずるりと危うい足元に作者も泣きそうになる瞬間。「会葬に靴が泥踏む冬はじめ 内藤羊皐」は「会葬に」が言葉の経済効率が良い。黒靴についた泥はねまで思い描けます。

“ポイント”

イルカショー靴がずぶ濡れ冬はじめ

杜まお実

濡れ方もいろいろ。「イルカショー」の歓声とともにあがる飛沫に濡れたと思えば「ずぶ濡れ」も楽しい記憶か。濡れ方の程度を表す「ずぶ濡れ」で飛沫の量が察せられるのが上手い。「パンダ舍に靴が群がる冬はじめ 亀山酔田」、あるあるこういう場面。「群がる」に込められた少しひややかな視線。

GoToで靴がなるなる冬はじめ 利根の春」「コロナ禍や靴が動かぬ冬はじめ 晴耕」は時事の句。コロナの第三波が叫ばれる2020年12月ですが、この先どうなるやら……。

“難しい”

すてねこよ靴が住み家か冬はじめ 叶はなみ」、冬の季節感を思うと一層切ない。まだ本番前の冬を生きる小さい命。「猫戯れる靴がくたくた冬はじめ 谷口詠美」、同じ猫句でもこちらは飼い猫。遊びたおす日々に「くたくた」にされた靴も愛しく見つめる猫愛好家の眼差し。

動物に靴がある星冬はじめ 綱長井ハツオ」も可愛い。実際に靴を履かせた犬猫もお目にかかるが、空想的な読みをしても楽しい。ドラえもんの映画みたいな。

“とてもいい”
すてねこよ靴が住み家か冬はじめ

豹柄の靴がせっかち冬はじめ

江藤すをん

豹柄の靴が風切る冬はじめ

うに子

豹柄の靴が毒吐く冬はじめ

ピアニシモ

「豹柄の靴が」が3句あったので並べてご紹介。身につける物を表す名詞は、履いたり着たりしている人物を表す言葉として使われる場合もあります。3句を続けて見ると、ある程度イメージが重なっていることがわかります。「せっかち」「風切る」は連続した動作としてとても納得。その勢いのままに「毒吐く」言葉はなかなかに鋭そう。

“激励”
③へ続く