写真de俳句の結果発表

【第3回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!⑤》

第3回のお題「落ち葉・階段・猫」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

笑いこそ祈りラスコー冬洞窟

花屋英利

ラスコーの神殿笑いこそ祈り

花屋英利

夏井いつき先生より
表現したいことには共感します。が、内容がやや抽象的すぎるので、俳句では未消化になってしまう。このような内容を十七音詩に結球させたい時は、もっと思い切ったデフォルメ=対象を思い切って変形させる表現方法しかないかもしれません。
“参った”

落書きの猫の目落葉イイね押す

夏雲ブン太

夏井いつき先生より
「SNSでこんな投稿を見つけたら、クスっと笑って『イイね』してしまいます」と作者のコメント。

イマドキの発想です。後半は、語順が逆かも。

添削例
落書きの猫の目「イイね」押す落葉
“難しい”

落書きの猫に寄り添ふ鷦鷯

風花まゆみ

落書きの猫に寄り添う冬の猫

入りきらない箸置き

夏井いつき先生より
【二句目】「寂しげな冬の猫は、落書きの猫にも寄り添うかなと思いました」と、《入りきらない箸置き》さんのコメント。

どちらの句も中七を「寄り添う」とは別な表現で書けたら、人選へワンランクアップ。「鷦鷯(みそさざい)」らしさ、「冬の猫」らしさが描写できたらいいね。
“ポイント”

雪起こしオスライオンの吼ゆる牙

はぐれ杤餅

夏井いつき先生より
「雪を降らせる雷は、猛々しいオスライオンを思い起こさせると思って詠みました」と作者のコメント。

比喩なら、そのように書いたほうが分かりやすいでしょう。「オス」という情報が必要なのかどうか。「吼ゆる」と「牙」、両方とも必要なのか。自問自答してみましょう。
“激励”

冬日和友の背マンガ代わり代わりに

伊藤あんこ

夏井いつき先生より
「学校帰りの公園、漫画大好きな私は、いつも気がつくと一人取り残されておりました。友達が帰ってしまわぬように、友達の背中を追いながら階段で読んだ日を思い出しまして」と作者のコメント。

内容を二句に切り分けましょう。漫画を代わる代わる読んでる様子で一句、取り残されそうになる気持ちで一句。
“ポイント”

猫の知る樹齢幾つぞ木の葉髪

毒林檎

夏井いつき先生より
「冬前に抜けやすくなる私の髪を見ている、したり顔の猫は、私を幾つだと思っているのだろうか」と作者のコメント。

猫が樹齢を知っているという発想に惹かれます。下五の季語はツマラナイ。自分の年齢を見抜いているのかというのは、別の一句として仕上げましょう。
“良き”

落書きの色映しおり冬の虹

ラインウェバー友子

夏井いつき先生より
「パッと晴れて立ち上がった虹が、濡れ輝く落書きのカラーチョークの色を映しているかのように鮮やか、という場面を詠んでみました」と作者のコメント。

中七「映しおり」は説明です。映像の言葉として描写したいね。ヒントは他の人たちの作品の中にありますよ。
“ポイント”

石段に描かれし猫と語る十夜

るき

夏井いつき先生より
「猫にはついつい話しかけてしまう。たとえそれが落書きであっても」と作者の弁。

「石段に」は必要ですか。「落書きの猫」で伝わる部分が多いように思います。
“難しい”

大地てふカンバスを描く柿落葉

ノアノア

夏井いつき先生より
「自然の前では大地という全てがキャンバスだ、という比喩です。『描く』という漢字と、柿落葉の色合いでアート感を表現しました。『猫』と『描(く)』も似ていますよね」と作者のコメント。

「~を描く」は不要です。余った音数で、季語「柿落葉」を描写しましょう。いや、そもそも「大地」という言葉と「柿落葉」、スケールが違うような気もします。
“参った”

参道に猫と落葉が戯れり

風花美絵

夏井いつき先生より
「~に~が~戯れり」という叙述が散文的です。「参道に」という場所が外せないのであれば、いっそ「参道に猫と落葉と○○○○と」「参道に猫と落葉と○○と○○」という具合に並列で置くことで、映像を描くこともできます。
“ポイント”

おや掃くな木の葉ふとんにいのちあり

鶴木綿

夏井いつき先生より
「人がゴミだと思う、散った木の葉も、野良猫をはじめ、いろいろな生きものにとっては暖かい布団だったりするのだなあと思い、詠みました」と作者のコメント。

後半の思いは分かりますが、「いのちあり」とまで書くと、寓話とか教訓めいたものになっていきます。俳句は、そこにある映像を切り取るだけで充分。例えば、落葉の下に何かいるぞ、というようなことを書くだけでよいのです。
“ポイント”

風花や鎮守に小さき泥団子

山羊座の千賀子

夏井いつき先生より
「『風花や鎮守に供う泥団子』を、『供う』という動作は不要かなと思い、『小さき』と『泥団子』の描写に変え、子どもが遊びで作った様子が見えるようにしてみました」と作者のコメント。

良い判断です。「供う」と書かなくても、充分伝わりますね。季語は、さらに色々動くかもしれません。
“とてもいい”

銀杏落葉白猫寄りぬ足袋の先

ルーミイ

夏井いつき先生より
「石段→境内→草履→足袋と連想して、足袋の白に白猫と、銀杏落葉に黄色を合わせるときれいかなと思いました。上五は『冬木立』くらいにするのも考えましたが、色を足してみようと思いました」と作者のコメント。

「足袋」も冬の季語である点が悩ましい。色の対比という意味では、「銀杏落葉」と「白猫」で充分ではないでしょうか。
“難しい”

雪催落描きしてたあの佳き日

小澤ほのか

冬の日に落描きしてる児はいずこ

小澤ほのか

夏井いつき先生より
どちらも似たような感慨を表現したかったのではないかと思います。ならば、もっと平易なつぶやきで、今と過去をつなぐような表現も。

添削例
雪催落書きしてた子はどこへ
“良き”

ハーブ刈り遺跡現る冬の庭

ひつじ

夏井いつき先生より
「草が伸びる前に子どもらが遊んだ形跡が。『ハーブ刈り』が季語じゃないか心配」と作者のコメント。

ハーブにも色々あるから、季語ではないと思います。(歳時記も編者の判断によって色々なので、一概に言えませんが)それよりも、中七「遺跡」が本物の遺跡なのか、子どもたちの遊んだ後の比喩なのか。そっちのほうが気になります。
“参った”

猫段にそっと足置き小春詣

鈴木鈴子(すずき れいし)

夏井いつき先生より
「猫段」という、猫のような形の階段? 猫が駆け上がって遊ぶ遊具? 「猫」が「段」に足を置いているのなら、それが分かるように書いてみましょう。
“ポイント”

小春空猫絵をまたぎかけ上る

鈴木鈴子(すずき れいし)

夏井いつき先生より
こちらも「猫絵」という表現が、寸詰まりな感じ。

添削例
猫の絵をまたいで駆ける○○○○○
“難しい”

見上ぐれば祈る君の背石蕗の花

小笹いのり

冬の虹祈る君の背まるまるる

小笹いのり

夏井いつき先生より
【一句目】「『見上げる』という言葉が気になります」
【二句目】「『見上ぐれば』が気になっていたので、推敲してみました」と作者のコメント。

うーむ、見上げる視線にしたいのであれば、

添削例
冬虹の淡さよ祈る君の背よ

みたいな感じになるかなあ。「石蕗の花」と「冬の虹」、季語がこれだけ変わると、内容も視点もずいぶん変わってしまうので、アドバイスするのもちと迷う。
“難しい”