写真de俳句の結果発表

【第3回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!⑥》

第3回のお題「落ち葉・階段・猫」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

冬寒の落書き猫に頬ゆるむ

見和子

落ち葉掃きいづる猫の絵洩れる笑み

黒江海風

夏井いつき先生より
どちらも「頬ゆるむ」「洩れる笑み」は蛇足です。その五音分をどう使うか。そこが推敲のポイントです。
“参った”

三つ星や団地の下にホルモン屋

間 静春

夏井いつき先生より
「夜空にオリオン座、階段の上に団地。たまにホルモンを売りに来る」と作者のコメント。

「三つ星」のオリオンと、店の格付けの「三つ星」を掛けているのかもしれませんが、ここは率直に「オリオンや」のほうがすっきりします。

添削例
オリオンや団地の下のホルモン屋
“難しい”

雪起こし象がいきなり唸り立つ

走人

雪起こし象のラッパ音のごとし

走人

夏井いつき先生より
【一句目】「写真から、北国の空を想像しました。今の時期には、雪の到来を知らせる突然の雷鳴、雷光があり冬が始まります。その意味でとても新鮮な、その知らせを待つ雪国の人の気持ちを詠みました。また、象はイメージとして、先月上野動物園で産まれた象を描き、その象の親の象が、愛子さまの誕生記念にタイ国から来たという思いもあります。『雪起こし』は、鈍色の象が唸り吠えて立ち上がるイメージです」
【二句目】「『雪起こし象のラッパ音夜明けかな』を推敲しました。三段切れだと思って直しました。下五が四文字になってしまいました」と作者のコメント。

「雪起こし」を「象」に喩えたいのですね。どちらも比喩としての描写が中途半端です。象の鳴き声を言いたいのであれば、そのリアリティが足りないと思います。
“激励”

ふところ手あしもとあやし藪柑子

紅梅

夏井いつき先生より
「ふところ手」と「藪柑子(やぶこうじ)」、季語が二つになります。さて、どうする?
“難しい”

冬めいて落書きの手も縮こまり

北斗八星

夏井いつき先生より
冬めいてきたから手も縮こまります、という因果関係が見えてしまいます。「縮こまり」を外して、全体を練り直して下さい。
“良き”

落書きの猫起きぬよふ冬の蝶

季凛

夏井いつき先生より
「よふ」は、「ように」という意味で使っているのですね。ならば仮名遣いは「やう」です。
“ポイント”

湯気立ちてニャンコのお腹やわらかし

わらびもち

夏井いつき先生より
「湯気立つ」は、加湿のためにストーブなどでお湯を沸かしていることをいう季語です。この表現では、ニャンコのお腹から? と微妙な気持ちになります。上五「ストーブや」とか「暖房や」ではダメですか。
“参った”

あやとりに飽きて落書きかじけ猫

みやみや

夏井いつき先生より
「『あやとり』は冬の季語でしょうか」と作者からの質問。

「あやとり」「縄跳び」などの遊びを、冬の季語としている歳時記もありますね。ただ、この句の場合は、下五「かじけ猫」が主たる季語と読めますので、このままでもOKです。
“ポイント”

石階段おどる落葉よメンコ懐かし

豚玉

夏井いつき先生より
下五「懐かし」という感情語は不要です。この四音をどう使うか、さらに「石階段」は「石段」「階段」ではダメなのか。これらを考えて、推敲してみましょう。
“激励”

落書きに込めた夢よ落ち葉散る

岡本かも女

夏井いつき先生より
「落ち葉」は「散る」ものです。

添削例
落書きに込めたる夢や○○落葉

落ち葉にもさまざまな種類があります。歳時記を開いてみましょう。
“ポイント”

ふゆなのにきみののこしたさくらかな

桜英柑

しょうしゅうきみとすごしたじんじゃみち

桜英柑

夏井いつき先生より
敢えて平仮名書きする必要があるのかどうか、一考してみましょう。(ひょっとして、読み仮名を書くつもりで、そこだけが残ってしまい、肝心の漢字表記の句を消してしまったのかもしれませんが……?)
“参った”

冬萌やセンリョウの赤段のぼり

かずりん

冬萌えや千両の赤石段の

かずりん

石段を赤に惹かれて千両や

かずりん

夏井いつき先生より
色々と届いていて、どれが最終形なのか分かりにくいのですが、三句目「石段を赤に惹かれて千両や」の場合は、中七「惹かれて」という感情語、下五の「や」が気になります。

添削例
千両の赤や石段○○○○○

後半部分を考えてみましょう。
“ポイント”

お百度の白き脛なり鐘氷る

志摩秋湖

夏井いつき先生より
「はじめに中七を『脛の白さよ』と詠みましたが、『なり』と言い切った方が、お百度参りに至る決意を表現出来るのでは、と思いました。また、季語が表す厳しさともバランスが良いと思いますが、いかがでしょうか」と作者のコメント。

うーむ、「お百度の白き脛」という発想が時代劇のワンシーンみたいです。「鐘氷る」となれば、ますます芝居がかってきます。そういうワンシーンを書きたかったのかもしれませんが、俳句って、自分の経験を書くほうが、オリジナリティやリアリティの鮮度が高くなるのです。
“難しい”

ナフキンに心のこして冬しぐれ

こしあん

夏井いつき先生より
「カフェを営んでいます。(客が)帰った後、ナフキンに何やら独り言が」と作者のコメント。

「心のこして」とは、紙ナフキンに記されている言葉? 俳句を文字通りに読むと、食事の途中に心を残して席を立った? 帰っていった? という場面にも読めます。
“参った”

古往の落書の恋や枯葉舞う

蒼來応來

夏井いつき先生より
「古往」「落書」「恋」「枯葉」「舞う」の言葉が、イメージの同心円の中に全部入っているのです。納得と安定感はありますが、それを予定調和と呼ぶ人もいます。俳句ってのは、さじ加減が難しいものですね。
“難しい”