写真de俳句の結果発表

【第3回 写真de俳句】《天》

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

第3回写真de俳句 天

兼題写真の中に自分が入っていくことは、写真を使った脳内吟行発想法の一つです。この句は、まさに写真の中に作者が立って、自分の躰をアンテナとしてありありと季語「凩」を感知したに違いありません。

句中の「感知」の一語を、俳句には似つかわしくない硬い言葉だと考える人もいるでしょうが、脳内吟行における作者なりのリアリティがそこにあると確信します。

前半、作者自身が「凩を感知し」たのだと思ったとたん、後半「猫」が出現。これによって一句の意味が動きだします。「猫の尾」と焦点を絞ることによって映像を確保。さらに極めつけが「ぴるる」というオノマトペです。この表現によって、一句は、季語「凩」そのものに収斂していきます。

句中の「猫」は生きている猫に違いありませんが、兼題写真を知っている私たち読者は、凩を尾っぽで感知した猫たちが次々に「ぴるる」と落書きの猫になっていくかのような、アニメ的虚構も味わえます。もしかすると落書きの猫たちが「凩」を感知して、その尾っぽを「ぴるる」と震わせるのかもしれませんね。一句独立としても、写真俳句の逸品としても、充分に楽しめる作品でした。

“夏井いつき”