写真de俳句の結果発表

【第4回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!①》

第4回のお題「枯れ草・霜柱」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

ハシ坊と学ぼう!2021年もよろしく〜 今年も「おウチde俳句大賞」が始まりました!なんと、大賞は賞金20万円!ここで学んだことを活かして、みんな、入賞してくれるとうれしいです。さて、第3回の兼題写真を撮影した【眠 眠花】さんからのお便り、紹介するよ〜。 お題写真に選んで頂きありがとうございます。心の中で「これ難しいよ」と呟いてました。写真は尾道の「猫の細道」という路地です。近くにカフェや美術館などがあります。猫だけでなく素敵な場所がたくさんある尾道へ、機会がありましたら、皆様お出かけしてください。眠眠花

ジャクジャクと霜柱踏む登山道

風呂猫

霜柱ジャクジャク鳴らし登山道

風呂猫

夏井いつき先生より
「これまでの『ハシ坊と学ぼう』からの指摘をうけて、先の投句は散文ぽいかなと思い、少し推敲してみました」と作者のコメント。

ハシ坊くんと学んでくれてるのが嬉しいよ。上五中七の推敲はいい感じ。残りの問題は下五。「登山」は夏の季語になるので、登山と書かずして山を登りはじめている、あるいは山小屋を出発した、などが分かるように工夫してみましょう。完成まであと一歩♪
“とてもいい

草凍る野獣の姿溶けるまで

8の月

夏井いつき先生より
「枯れ草の色が美女と野獣を想像させました」と作者のコメントが添えられていたが、草の影に野獣がいる? と読めます。もし、そうなってくると「溶けるまで」が分かりにくくなってしまうなあ。
“難しい”

寒の朝長靴の先鷹の爪

信壽

夏井いつき先生より
「昔、寒い朝には長靴にちり紙で包んだ鷹の爪(唐辛子)を入れてもらいました。結構、暖かくなりました。季重なりですが……」と作者のコメント。

確かに、この内容でしたら「鷹の爪」だけで勝負できそう。
“良き”

唸ってる毛布の箱の針鼠

ゆすらご

懐かない針鼠の世話年の暮

ゆすらご

夏井いつき先生より
「妹が飼っていた針鼠(ハリネズミ)は、寒がりでとても臆病でした」と作者のコメント。

針鼠を飼っていたこと自体が、実に面白い句材です。一句目の描写は、ちと分かりにくい。二句目は、どう懐かないのか、どんな世話なのか、さらに具体的に切り取ってみましょう。面白くなりそうです。
“ポイント”

裸木や寡婦の館が見えすぎて

東京堕天使

夏井いつき先生より
「建物をみて歩くのが好きな仲間にとっては、庭木などが落葉する冬は、隠された洋館などを発見できてありがたい季節なのです。『見えすぎて』と流して終わった事によって季語『裸木』に戻る構造に、と考えました」と作者のコメント。

「裸木」と「寡婦の館」の取り合わせはよいです。下五は、要一考。
“良き”

金継ぎの起源は縄文霜柱

葉山さくら

夏井いつき先生より
上五中七を活かすのならば、季語が動きます。「縄文」と「霜柱」は取り合わせとして可能性があります。
“良き”

霜柱一番乗りの踏みしめ音

風由花

夏井いつき先生より
「一番乗りの音」と書けば、「踏みしめ」は不要です。
“激励”

霜ばしら選手の必死受けしラフ

原 水仙

夏井いつき先生より
「ゴルファーの汗や涙は、冬の朝ラフの霜ばしらとなるのかも」という作者の思いには共感しますが、作品として考えた時、「選手の必死受けし」は説明になります。具体的な動作を描写してみましょう。
“ポイント”

霜柱きらりと光放つごと

梵庸子

霜柱しづかに光放つごと

梵庸子

夏井いつき先生より
「先に投句した『霜柱きらりと光放つごと』を直しました。きらりと言わなくても、光を放っていれば大体きらきらしているものだと気づきました」という作者の推敲の考え方は正しいですね。
残りの問題は、二点です。「しづかに」とするか「しづかな」とするか。ここは判断の分かれ目です。そして、後半「放つごと」の部分。「ごと」と比喩にする必要があるのかどうか。完成まであと一歩ですよ♪
“とてもいい

グレージュの空染まりゆく冬ひかげ

清雅

夏井いつき先生より
「空染まり」がありがちな表現。要一考です。
“難しい”

朝鮮語吐き出すラヂオ霜夜かな

いなだはまち

夏井いつき先生より
「高校生のとき、深夜放送は青春そのものでした。私は、ナチチャコ派でした」と作者より懐かしい話題。この句の最後のブラッシュアップは、下五。「かな」の詠嘆が利いていません。これも、あと一息で完成です。
“ポイント”

日溜りの墳墓に咲くやシモバシラ

お漬物

たま風や墳墓に咲きしシモバシラ

お漬物

夏井いつき先生より
「先に『日溜りの墳墓に咲くやシモバシラ』を投稿しましたが、季語『日溜り』は歳時記には無いが著名な句は存在している。但し春に詠む句が大半で、結論ですが『日溜り』は季語が動き適切でないと判断しました。よって『たま風』を季語とし、『咲くや』を『咲きし』と訂正いたしました」と作者からのコメント。

うーむ……歳時記は、編者の考え方によって季語を採録してますので、内容が違う場合はあるのですが、「日溜り」を季語とする歳時記はあるのでしょうか。もし、あるとすれば少数派だと思います。
とはいえ、「たま風=東北・北陸地方の日本海沿岸で、冬に北西から吹く暴風をいう。たばかぜ。《季 冬》」が適切かどうか、これまた悩ましいところです。「墳墓」と「シモバシラ」という植物の取り合わせは、なんとかなりそうな予感はします。
“良き”

杖で霜柱ザクザク「いざ出陣」

森中ことり

夏井いつき先生より
「杖をついたおじいさんが、怒っているかのように霜柱を杖でザクザク壊していたのです。そして、その後さっさと歩き出した様子が、まるで何か大きな目的に向かっているように見えたので、こんな表現にしてみたのですが、無理があるでしょうか……」と作者のコメント。

杖をついたおじいさんが怒ったように霜柱を壊していた、という事実が面白い。「いざ出陣」と書くよりは、そちらを句にしたほうが断然よいと思います。
“ポイント”

枯れ草の穿くスカートや氷り花

夏埜さゆり女

枯草のスカート氷花ふくらみぬ

夏埜さゆり女

夏井いつき先生より
「推敲です。『穿く』が不要では、と思い『氷り花』も『氷花』(ひょうか)」にしました。季語が主役のようには感じられないのが気になります……」と作者のコメント。

そうですね、擬人化が強すぎて、季語が押されている感じです。
“参った”

ぎざぎざと翅傷めけり凍つる蝶

玉井令子

夏井いつき先生より
「凍つる蝶」の「翅」が「ぎざぎざ」であることを、率直に描写すればよいかと思います。
“良き”

凍蝶の翅に触れたる罪悪感

凍蝶に触れたる指の哀しさよ

夏井いつき先生より
「先に『凍蝶の翅に触れたる罪悪感』で投句しましたが、直後に罪悪感はあまりにも詩がない。また、他の言葉で罪悪感を表現するのが俳句だろう……と、一日考えた末、『凍蝶に触れたる指の哀しさよ』にしました。『哀しさよ』も使わない方が良いのでしょうが、これが限界です。ちなみに蝶は成虫で越冬するキタテハでした。よろしくご指導下さい」と苦悩する作者。

ここまでの試行錯誤は正しい方向です。後は、まさにご自身の指摘どおり、「哀しさよ」と感情語に甘えずに、着地を探ってみましょう。完成は間近です♪
“ポイント”