写真de俳句の結果発表

【第5回 写真de俳句】《天》

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

第5回写真de俳句 天
ちりめんの鯛も大根も雛のうち	彩汀

今回、吊り雛に吊されているモノを具体的に書こうとした句も多かったのですが、この作品に出会って、もう一度兼題写真をしげしげと見直しました。鯛や大根もあったかしらと。私の見る限り、それらしいモノが吊されているわけではなさそうで、となれば、この取り合わせにも作者の工夫があったのだなと嬉しくなりました。

俳句をやっている人間の脳は、上五に「ちりめん」とあれば、春の季語「ちりめんじゃこ=白子干し」を思ってしまいます。中七で「~鯛」とくると一瞬、鯛の稚魚が白子干しに? なんて、これまた思ってしまうのです。ところが、さらに「~鯛も~大根も」と続くと、あれ? 大根は冬の季語……ちょっと待てよ、この句はいろんな企みがあるらしいぞ、と読み手の脳は、ほんのコンマ何秒の間にこんなふうに反応していくのです。

下五で「雛のうち」と着地したとたんに、上五の「ちりめん」は縮緬の布であり、「雛」は吊り雛であることが分かります。意味やイメージを小さく裏切りつつ、鮮やかに展開していく一句。赤い「鯛」と白い「大根」の目出度さが、季語「雛」を鮮やかに描く、愛すべき作品です。

“夏井いつき”