ドリルde俳句の結果発表

【第7回 ドリルde俳句】①

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。
出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第7回の出題

○○○○や汝とならば○○○○も

中七の「汝とならば」が演歌調といいますか、濃いですね。こぶしを利かせながら「おまえとならばどこまでも~♪」なんて唄がありそうな気がしてきます。

さて、前回に引き続き、今回の出題にも元ネタになった句があります。

てふてふや汝とならばどこまでも 正岡子規

現代の日常において「汝」というどっしりと重々しい言い方をする人は、ほぼいないのではないかと思います。自然に呼びかけの言葉として使われているあたり、さすが明治時代の作ですね。中七下五だけを見ると、とことん情感が籠もった、大きく重いフレーズです。

一方、季語「てふてふ」は軽やか。重いフレーズに対して、軽い季語を取り合わせることによって、春の野道をゆくような広々と穏やかな空間を描いています。目の前を飛ぶ蝶へのほのぼのとした親愛の情と、春を喜ぶ気持ちと。「どこまでも」が物理的な距離の長さにも、時間の長さにも受け取れるのがポイントですね。
“激励”
現代の日常において「汝」というどっしりと重々しい言い方をする人はほぼいない
さて、皆様から寄せられた回答をご紹介していきましょう。
ドリルde俳句は空欄を埋めて回答するという性質上、一言一句、同じ回答が寄せられる場合があるのですが、今回もありました。

ピタリと類想①

夜桜や汝とならば朝まで

玉井令子

 

夜桜や汝とならば朝まで

蜻蛉子

 

夜桜や汝とならば朝まで

秋桜

ピタリと類想! まったく同じ字面が3つ並ぶと自分の目がおかしくなったかな、と怪訝な思いで見直すのですが、間違いなく一緒でありました。それこそ夜桜の下でお酒をいただいて朝まで過ごせば目も足も覚束なくなりそうであります。

子規の元句の下五「どこまでも」が「どこ」という距離の情報を基礎におきながらも、季語との取り合わせによって時間の要素も持ち始めるのに対し、「朝までも」は明確に時間の長さを表す使い方になっています。「夜桜」と「朝」の時間の対比によって、より時間への意識が強く打ち出されていますね。

一言一句ブラザーズ、実はもう一例回答がありました。
“ポイント”

ピタリと類想②

冷酒や汝とならば朝まで

桃子ママ

 

冷酒や汝とならば朝まで

むげつ空

 

冷酒や汝とならば朝まで

とべのひさの

なんと下五は同じく「朝までも」なのです。中七下五の一致でいえば六連続!

「夜桜」で「朝までも」とくると、お酒を飲んでるのかな、と想像する方も多いかと思いますが、まだ未確定。ですが「冷酒」となると疑いの余地もないですね。六句を並べて見ると、この六名で飲んでらっしゃったのかと思うほどです。
“とてもいい”
夜桜や汝とならば朝までも

囀るや汝とならばぴあにし

野良古

 

ふらここや汝とならばふおるてし

西川由野

 

鮒寿司や汝とならばぶぉにっし

宇佐

逆に類想からはかけ離れたケースもご紹介。毎回必ず何人かはとんちの効いた回答を送ってくれます。「ぴあにしも」「ふぉるてしも」は音楽用語として知ってる人は多いでしょうが、そこに気づくのがえらい! 「ぶぉにっしも」はイタリア語で「美味しい!」の意。発想自体はみんな面白いんだけど、季語との取り合わせが近い……というのは多くを求めすぎだろうか。

ドリル珍回答界の雄、《多喰身・デラックス》さんの回答は〈いいや汝とならばんビアホールの列も 多喰身・デラックス〉。……ビアホールで「取ってくるから待ってて」って言われたけど一緒に並びに行く……的な? 音数の使い方も前回の「味噌おじや」が秀逸すぎて、今回はもう一声! 残念!

しようばうしや汝とならばはうすひも 熊縫まゆベア〉は歴史的仮名遣いをうまく利用しました。明確な季語はないけど、絵本の『しょうぼうじどうしゃじぷた』みたいで個人的には嫌いじゃないです。
“参った”
 
裏原宿(うらはら)や汝とならば花ごろも 池之端モルト〉は、個人的な体験として「裏原宿」とやらに行ったことがないので、季語がどこまで効いてるかわかりませぬ。「も」を季語の一部に利用する発想には拍手を送りたい。

その上で〈道行や汝とならば分けるもも 花南天〉は完璧な仕上がり! とんちの効いた回答でありながら、上五のコンパクトな状況説明も、滴るような「もも」の映像で終わる形も見事。時代がかった「汝」の言い回しも古代中国の故事のようで、内容にも破綻がない。実にお見事でした。

《花南天》さんの回答が素晴らしすぎてもう、ここで今月のドリルは美しいフィナーレとしたいところですが……そうもいきません。
“激励”
道行や汝とならば分けるもも
②へ続く