写真de俳句の結果発表

【第9回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!①》

第9回のお題「青葉とリス」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

夏木立リス大ジャンプ成功なり

風友

夏の空リス大ジャンプ成功なり

風友

こどもの日リス大ジャンプ成功なり

風友

夏井いつき先生より
【一句目】「三句のなかではわかりやすいものの、絵が小さくなってしまったと思います」
【二句目】「リスの跳躍がスキージャンプのようにフォームが美しくて着地が力強い様子です」
【三句目】「取り合わせる季語はどれが正解かわからず、三種試してみました」と作者のコメント。

同じ中七下五に、上五の季語が三種類の三句。季語を迷うということは、作品がまだ完成してないということです。まずは、下五「成功なり」が必要かどうか。そこから考えてみましょう。
“ポイント”

乳張らし母りすせわし青葉して

豊田の都忘れ

夏井いつき先生より
子育てのリスのことを書きたいのかなと受け止めました。となれば、下五「青葉して」は、付け足しの印象。俳句は、やはり季語を主役にして欲しいと思うのですよ。
“参った”

茂る葉と天翔け栗鼠の蒼々し

苺いちえ

夏井いつき先生より
「天翔け」が、栗鼠の描写としてすこし大袈裟でしょうか。さらに「栗鼠の蒼々し」が分かりにくいのです。材料をもっと小分けにしてみましょう。
「繁る葉陰を駆ける栗鼠は天を翔るようだ」で一句。「青葉を駆け抜け栗鼠そのものが蒼くみえるようだ」で一句。作り直してみましょう。
“良き”

茂り葉に埋める気配リスの影

美濤

睨みつく犬茂りにリスの気配

美濤

夏井いつき先生より
「林道を犬と散策中のこと。犬は梢を睨み付けますが、私には何か見えません。さっとリスが逃げ出し、私にもようやく犬の目線が理解できたのでした」と作者のコメント。

二句のよいところを使ってみましょう。

添削例
犬睨む茂りに栗鼠の気配あり
“ポイント”

栗鼠奔り冬木静かに賑わいぬ

猫おっと

栗鼠奔り冬木幽く賑わいぬ

猫おっと

夏井いつき先生より
【一句目】「リスが枯れ枝を揺らすだけでなんとなく楽しくなります」
【二句目】「一句目の『静かに』が陳腐だったので推敲しました。こっちの方が雰囲気あるかもしれません。ほんのちょっとだけ賑やかになった感じです」と作者のコメント。

リスが冬木を揺らすと、静かな賑わいを感じる、という感知が詩人です。漢字が少し重いので、「かそけく賑わいぬ」とすればよいかと。

添削例
栗鼠はしる冬木かそけく賑わいぬ
“良き”

偶さかに上から目線青葉影

波古(はこ)

夏井いつき先生より
兼題写真には「栗鼠」がいましたが、この句の中には栗鼠がいないので、「上から目線」なのは人間の誰か? と読む人がほとんどでしょう。まずは「栗鼠」という言葉を入れることを考えてみましょう。

 
“ポイント”

樹雨追い子に指す先に黒眼

雅乃珠晃

夏井いつき先生より
兼題写真には「栗鼠」がいましたが、この句の中の「黒眼」を栗鼠だと解するのは難しいです。これも「栗鼠」という言葉を入れる工夫をしてみましょう。
“参った”

百合覗く鋸山のハイヒール

沙夜子

昼顔覗く鋸山のハイヒール

沙夜子

ひなげし揺るる鋸山とハイヒール

沙夜子

夏井いつき先生より
上五の季語を「百合覗く」「昼顔覗く」「ひなげし揺るる」と変えた三句が投句されています。たぶん、この中のどれがよいですか? という意味の投句だろうと思いますが、このような取り合わせの技法による季語の斡旋は、まさに作者が何を表現したいかの、最も重要な部分です。

ここは、選者に丸投げするのではなく、自分は何を表現したいのかを、自問自答しつつ、選んでみましょう。創作において、ここが一番面白いところなので、勿体無いです。
“良き”