写真de俳句の結果発表

【第9回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!③》

第9回のお題「青葉とリス」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

木肌めく虫の動かず夏の朝

森野ふゆ

夏井いつき先生より
「木肌めく虫」は、よく観察できてます。ただ、「虫」は秋の季語になるので、下五「夏の朝」との季重なりが気になります。さて、どうする?
“参った”

夏疲れ強いて頬張るざるそうめん

てみっちゃん

夏井いつき先生より
「夏疲れ」「そうめん」どちらも季語です。最初の「夏」を外して、推敲してみましょう。
“ポイント”

愛しさや掌のリス見る桃の頬

美月 舞桜

夏井いつき先生より
てのひらに栗鼠がのっているのですか? 「桃の頬」は、人間の頬ですか? それらが、分かりにくい描写になってます。それらの描写がきちんとできると、上五「愛しさや」は当然不要になってきます。
“難しい”

一休みタバコくゆらす青葉かな

藤本圭

夏井いつき先生より
「タバコくゆらす青葉」で、一息ついている状況は分かりますので、「一休み」は不要です。節約できた音数を使って、どこで、どんな人、どんな心情で……など、別の情報を入れることができます。そうなってくると、場合によっては最後の「かな」も不要になる可能性もあります。
“良き”

昼寝起駆け下り目指すおやつかな

麦花

夏井いつき先生より
栗鼠の様子を、このように表現したのかもしれませんが、この字面を読む限り、昼寝していた人物(子ども)が「おやつ」へ、という場面だとしか読めません。栗鼠のことを表現したかったのなら、やはり「栗鼠」という言葉を入れるのが無難です。
“参った”

緑蔭のリス縁側に種ありけり

一間飛こすみ

夏井いつき先生より
「緑陰のリス」に対して、「縁側の種」ですから、一句の描こうとしている映像に距離があります。このような距離を描くために、切れという技法は力を発揮してくれます。

添削例
縁側にタネ緑陰のリスたちは

句またがりの型です。「縁側にタネ/緑陰のリスたちは」斜め線のところに意味の切れ目があります。これによって、遠近感を表現することは可能です。
“ポイント”

栗鼠知らぬ青葉の色となりぬ身を

ただ地蔵

夏井いつき先生より
「栗鼠たちは知らない。自分たちが青葉の色の体になっていることを」という意味でしょうか。作者が表現したい内容が、この字面では少し分かりにくいかもしれません。
“難しい”

知らねども栗鼠は青葉の一部なり

ただ地蔵

夏井いつき先生より
「知らねども」は、人々なのか、作者なのか、栗鼠自身なのか、そのあたりが曖昧です。さらに「青葉の一部なり」と言い切ってしまうのも、作者が伝えたいことと少しニュアンスが違ってくるようにも思います。
自分が表現したい内容に、字面を寄せていく。これが推敲です。もう一度チャレンジしてみましょう。いいところまで来ていますよ。
“良き”

青嵐大樹に遊ぶリス鼓動

無し

夏井いつき先生より
季語「青嵐」を主役として表現するためには、「~に遊ぶ」は説明的な言葉になってしまって損です。ここを外して、リスの動きと「鼓動」を描写し、「青嵐」の強い風が見えるような句にしてみましょう。頑張れ!
“参った”

らせん痕青葉の密へ三週目

笠井あさり

夏井いつき先生より
「らせん状に木を上り下りするリスと、覆いかぶさる青葉の鬱陶しい様子を詠んでみました」と作者のコメント。

材料が多すぎます。「らせん状に木を上り下りするリス」で一句。「リスに覆いかぶさる青葉」で一句。さらにそれを「密だと感じること」で一句。材料を切り分けて、再チャレンジしてみましょう。
“参った”

花菖蒲父と見しリス城高し

すみれ

夏井いつき先生より
「父とリスを見たこと」で一句。「父と見た城が今も高くそびえていること」で一句。「父と見た花菖蒲」で一句。それぞれ切り分けて、三句に作り直しましょう。
“良き”

夏めくや製氷頬ばるマスク下

おき本 栞歩

夏井いつき先生より
「夏めく」「氷」「マスク」と色んな季語が出てきます。このご時世ですから、「マスク」は良しとして、「氷」を主役に立ててみましょう。

添削例
口中に氷マスクの頬膨る

「口中に氷/マスクの頬膨る」斜め線のところに意味の切れ目があります。「膨る」は、口語「膨れる」を文語の表現にした動詞です。
“ポイント”

薫風に子守り託して厠かな

加藤ゆめこ

夏井いつき先生より
「後追いの激しい息子を置いてトイレに行くのは至難の業で……。実際は、NHKの『おかあさんといっしょ』に息子を託して、何とかトイレに行っています。『おかあさんといっしょ』、ありがとう。でも時々、爽やかな風にはためくカーテンで息子が遊んでいて、その様子は微笑ましいです。一瞬でもいいから風に子守りをお願いできたらいいのにな」と作者のコメント。

子育てアルアルの良い場面です。「厠かな」と昔っぽい言い方をせず、イマドキの言い方をしたほうが、リアリティがありますよ。上五字余りになってしまいますが、こんな感じはどうでしょう。

添削例
吾はトイレへ薫風に吾子託しつつ
“とてもいい

薫風に鷹の気配か猛き栗鼠

すかーてぃっしゅ

夏井いつき先生より
「鷹」と「栗鼠」を配する句は、案外多かったのです。狙われる場面を想像した人が、思いの外いたということです。さらに「鷹」と「薫風」の季重なりです。
ここからは、①どちらの季語を残すかという、分かれ道。②主役とすべき季語と「栗鼠」の場面を描写する工夫。この手順で推敲してみましょう。
“ポイント”

鷹渡る眼下の草地栗鼠見上げ

里之照日日

夏井いつき先生より
これも「鷹」と「栗鼠」です。鷹の視点で書くのか、栗鼠の視点が書くのか。そこが曖昧です。
“難しい”

リスの頬にどんぐりと夢冬超えて

多夢

夏井いつき先生より
「リスの頬」が膨らんでいるという発想の句もたくさんありました。さらに「どんぐり」「冬」がそれぞれ季語。最初の一歩は、「一句一季語」からの練習です。
“参った”