ドリルde俳句の結果発表

【第9回 ドリルde俳句】③

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。
出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第9回の出題

○○○○○がんばった子の汗○○○


今回のドリルは中七の全てと、下五の頭二音が固定されています。当然類想やベタは頻出して然り。それは下五に限った話ではありません。【第9回 結果発表①】【第9回 結果発表②】でそれぞれ紹介した「光る」「きらり」シリーズの句をもう一度みてみましょう。

逆上がりがんばった子の汗光る

石橋 いろり

 

逆上がりがんばった子の汗きらり

玉井令子/ピタ子

 

逆上がりがんばった子の汗キラリ

ゆうりん

 

さかあがりがんばった子の汗きらら

立田鯊夢

 

もうお気づきですね。類想ワードとして紹介すべき存在、「逆上がり」です。

みんな子どもの頃に苦労した記憶があるからでしょうか。出るわ出るわ「逆上がり」、「光る」に負けじと大所帯です。
“ポイント”

「逆上がり」シリーズ

さかあがりがんばった子の汗しぶき

野山遊

 

さかあがりがんばった子の汗ぬぐう

風の母

 

さかあがりがんばった子の汗のまめ

ぷるうと

 

さかあがりがんばった子の汗の顔

空色

 

さかあがりがんばった子の汗の玉

のど飴

 

逆上がりがんばった子の汗の飛び

朝の虹

 

逆上がりがんばった子の汗を拭く

沢田千賀子

 

逆上がりがんばった子の汗しとど

きなこもち

 

逆上がりがんばった子の汗しとど

喜祝音

 

逆上がりがんばった子の汗とマメ

雅茶

 

逆上がりがんばった子の汗と肉刺

陽光

 

逆上がりがんばった子の汗なみだに

遊心

 

逆上がりがんばった子の汗ぬぐう

眠 睡花

 

逆上がりがんばった子の汗はぜり

沢拓庵

 

逆上がりがんばった子の汗ばむ手

末永真唯

 

逆上がりがんばった子の汗ぽとり

小川都

 

逆上がりがんばった子の汗まぶし

わたさこ

 

逆上がりがんばった子の汗まみれ

小林 昇

 

逆上がりがんばった子の汗回り

茶木美奈子

 

逆上がりがんばった子の汗空へ

沙那夏

 

逆上がりがんばった子の汗光り

オリゼ

 

逆上がりがんばった子の汗自慢

咲弥あさ奏

 

逆上がりがんばった子の汗若し

カムヤ イワヒコ

 

逆上がりがんばった子の汗に空

 

逆上がりがんばった子の汗痒し

亀山酔田

 

合計32名。「光る」「きらり」の40名超えには及びませんが一大勢力です。

光る」「きらり」「逆上がり」の三大勢力を合わせると、いずれかの部分で類想の沼に陥った人の数は110名を超えます。今回のドリルde俳句には674人の参加がありましたが、約6分の1がここに分類されるわけです。

類想の多かったこれら一大連合ですが、「光る」「きらり」と「逆上がり」には違いがあります。「光る」「きらり」は「汗」の描写をしようとしての表現です。
一方、「逆上がり」はどんな場面での、あるいはどんな性質での「汗」かを説明しようとしています。

これは一物仕立てと取り合わせの関係に似ています。
“良き”
「描写」は眼球に映ったものを忠実に描くしかありませんが、「どんな場面か」は自由にいくらでも述べる可能性を生み出せます。だから上五よりも、「描写」に挑もうとした下五の一致の方が多いのです。

ただし、「汗」そのものの描写ではなく、動作などを述べようとすればその限りではありません。

例えば「逆上がり」シリーズから。〈逆上がりがんばった子の汗を拭く 沢田千賀子〉〈さかあがりがんばった子の汗ぬぐう 風の母〉などの除去する動作。〈逆上がりがんばった子の汗まみれ 小林 昇〉〈逆上がりがんばった子の汗しとど きなこもち/喜祝音〉などの量の表現。

さかあがりがんばった子の汗の顔 空色〉〈逆上がりがんばった子の汗ばむ手 末永真唯〉などの部位への焦点のもっていきかた。上五が同じであるからこそ、下五だけでの発想の比較検討ができます。
“激励”
逆上がりがんばった子の汗とマメ 
逆上がりがんばった子の汗と肉刺 陽光〉〈逆上がりがんばった子の汗とマメ 雅茶〉は共に手の内側へ意識を向けました。汗そのものの描写や動作でなく、並列の「と」で繋いで別の存在「マメ」を登場させる機転が上手い。これも型の一種といえます。

逆上がりがんばった子の汗回り 茶木美奈子〉は「逆上がり」の必然性を活かした下五の発想が愉快です。汗も一緒にくるりと回る。〈逆上がりがんばった子の汗自慢 咲弥あさ奏〉は子どもらしい行動の飛躍。「逆上がり」そのものよりも「みてこの汗!」とアピールするわけですね。子どもという生き物の生態をよくわかっていらっしゃる。

逆上りがんばった子の汗に空 直〉は汗の粒に「空」が映っている、ということでしょうか。多少強引ながら、他人とは違う描写に挑もうとする姿勢はえらい!!

〈④へ続く〉
“とてもいい”