ドリルde俳句の結果発表

【第10回 ドリルde俳句】①

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。

出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第10回の出題

向日葵や○○○○○○○なりにけり

どっしりと格調のある下五「なりにけり」。晩年の文豪のつぶやきのような堂々たる迫力があります。下五「なりにけり」といえば、中村草田男の有名句〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉を思い浮かべた方もいるかもしれませんね。

いつかこんな句を作ってみたいものだなあ、と憧れを感じる人もいるのではないでしょうか。ドリルの場を借りての挑戦とはいえ、その憧れへ実作の道を踏み出したら、いったいどんな句ができあがるのか?

さっそく回答をみていきましょう。
“ポイント”

向日葵よ「陽」「獅子」「名画」となりにけり

いきなり目次のような句が届いております。

カギ括弧に括られて語られているのは、季語「向日葵」への類想のリストです。向日葵といえば、お日様に喩えられたり、お日様を向いて動いたりといったイメージ。その花姿をライオン=獅子に喩えることもあります。そして言わずと知れたフィンセント・ファン・ゴッホの「ひまわり」。ええ、予想通り山ほど来ておりますとも!

向日葵よゴッホの名画になりにけり 真樹〉はゴッホど真ん中。〈向日葵よゴッホの花となりにけり 閑か〉はゴッホの代名詞ともなっている事実を断定した形。

向日葵よゴッホの黄色なりにけり 悠悠月〉〈向日葵よゴッホの色になりにけり はれまふよう/小林 昇〉は絵の具と色彩に対する印象。後者は現実の「向日葵」の姿がより「ゴッホの色」らしくなった、とも解釈できます。本物以上にホンモノの存在感を放つ「ゴッホのひまわり」。
“良き”
向日葵よゴッホもとりこになりにけり 秋桜の風〉〈向日葵よゴッホの夢となりにけり 典典〉などのゴッホが夢中になった系の発想も多かったです。また、直接「ゴッホ」という単語を使わずに〈向日葵よ画家の虜になりにけり れんげ草〉など、同じ発想で違う言い回しになった回答も多々。

向日葵よ画家のモデルとなりにけり さやもち〉〈向日葵よ一幅の絵となりにけり 全速〉〈向日葵よ一輪の絵になりにけり 清二〉などの回答も、内容からゴッホのことではないか、と推測できます。もちろん「絵」とだけ書いた《全速》さん《清二》さんの場合はその限りではありませんが、向日葵からゴッホを連想した方の多さを考えれば、可能性としては十分想定できる範囲でしょう。
“ポイント”
向日葵よゴッホもとりこになりにけり
今回寄せられた回答を全て拝見し興味深かったのは、出題に対して、「向日葵」に意識を向けるか、「なりにけり」に意識を向けるかの主に二つに、回答の傾向が分かれたことです。

1.「向日葵」を意識した回答

向日葵よ果てておばけになりにけり

しおとうめと

枯れてしまった向日葵の茶色く立ち枯れた姿はなんともおどろおどろしいもの。この句は一句全体が、向日葵の様子を描写した一物仕立てになっています。文の要素で考えてみると「向日葵に○○があって、△△になりました」と述べられていますね。「向日葵がどうなったか」、つまり「向日葵」の存在に軸足が置かれているわけです。

先に紹介した、ゴッホへの連想も「向日葵」に意識を向けたために引き起こされたものと考えられます。向日葵に関連するもの、向日葵の様子、向日葵がどうなったか。十七音全体のイメージがまず「向日葵」から出発しているのです。

他の例も見てみましょう。
“良き”
向日葵よ一番のっぽになりにけり かっぱ〉は向日葵の背丈に注目しています。大きいものだと悠々と人の背丈を超えていく花ですから、その発想が出て来るのは自然です。〈向日葵よ背高のっぽなりにけり おケイちゃん/音舞台〉は《かっぱ》さんの例と見比べると、「一番」という比較の情報がなくなり「背高のっぽ」とひとまとまりの形容の言葉になります。〈向日葵よおぬしは巨大なりにけり 嫌夏〉は「おぬし」と擬人化し呼びかける形。親愛の情が匂う。

向日葵よひげづら様になりにけり 二升 洋杖〉は放射状の花片の様子を「ひげづら」の擬人化で表現。〈向日葵よお前は獅子になりにけり サバナ光風〉も同様の光景。こちらは「獅子」と動物の姿に喩えられます。

向日葵よお天道さまになりにけり ピーちゃん〉は太陽。姿形が特徴的な花だけに、様々な比喩が登場しますね。〈向日葵よ花びら星になりにけり 千風もふ〉は花全体ではなく、「花びら」へと焦点を絞っているのがちょっとロマンチックで良い。大輪の花の中心が太陽なら、周りの花弁はなるほど無数の星かもしれない。

これらの例をみても「向日葵」の存在そのものに注目し、その姿を描こうとした人たちが一定数いたことはわかると思います。

〈②へ続く〉
“ポイント”
向日葵よ一番のっぽになりにけり