ドリルde俳句の結果発表

【第10回 ドリルde俳句】②

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。

出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第10回の出題

向日葵や○○○○○○○なりにけり

【第10回 結果発表①】に引き続き、回答をみていきましょう。
“ポイント”
 

1.「向日葵」を意識した回答(続き)

 

向日葵よリスの食事となりにけり

抹茶子

向日葵への注目は、そのものの姿を描写するだけに留まりません。枯れたあとの種へ発想を広げた人たちもいました。リスを飼うときの餌としてポピュラーなんだろうか?〈向日葵よ栗鼠がお世話になりにけり 紺野真夏〉は飼い主の実感っぽいけど〈向日葵よ栗鼠の馳走となりにけり 安暖手〉はどことなく野生のリスが勝手に食べていそうな気がする。

向日葵よ栗鼠放したくなりにけり 海神瑠珂(わだつみ るか)〉はあまりに見事な向日葵の種の群れを目にしての衝動か。お気持ちはわかるけどやめてください。
“ポイント”
人間ももちろん食べます。〈向日葵よ種もおいしくなりにけり とぜん〉は「おいしい」という主観の味覚情報が正直。

向日葵よ種がおやつになりにけり 大雪〉〈向日葵よ種はおやつになりにけり かののかの母(かのママ)〉は様々な状況で食べてる幅広い「おやつ」ですが、〈向日葵よ種もつまみになりにけり 桜桃〉〈向日葵よ種よつまみとなりにけり 宗元〉〈向日葵よ種は肴になりにけり 青竹寛〉のお三方はお酒を嗜んでいらっしゃるご様子。

向日葵よ枯れてツマミになりにけり やま猪口〉は同じ「ツマミ」ですが「枯れて~となる」と因果関係を述べている形に。〈向日葵よ枯れても糧となりにけり 閑暇孤読〉も同様ですね。「糧」とより幅広い概念になっています。
“良き”
向日葵よ種はサラダになりにけり 紫桜舟〉は素材そのものではなく、一手間加えた「サラダ」が上品。こんなお店で外食してみたいものです。〈向日葵よ太陽の種なりにけり 西城典子〉も中七が詩の言葉として綺麗。白黒縞模様の種から太陽のような花が育つと思うと希望があります。

食べる以外にも、「種」の様子を描写した人たちもいます。〈向日葵よ種の重さになりにけり 水間澱凡〉はまだ収穫される前の、ずっしりと垂れ下がった向日葵の首が見えてきます。その首に実った種へと焦点を絞ると〈向日葵よ種は螺旋となりにけり うに子〉と描写することもできますし、〈向日葵よ種りゆうりゆうとなりにけり 海峯企鵝〉と迫力ある形容もできます。

さらに時間を進めると、収穫後の姿は〈向日葵よ種は小山となりにけり 猫おっと〉のように表現されます。こんもりとした量が見えてくる、豊かな「小山」。
“ポイント”
向日葵よ枯れてツマミになりにけり

向日葵よ神話のごとくなりにけり

新島かのん

向日葵の姿から、イメージの世界へ発想を飛ばした人たち。堂々たる高さに花の大きさ、「神話」と形容されるのはそんな「向日葵」でしょうか。あるいは神話の世界のように広々と続く畑かもしれない。いずれにせよ、「向日葵」の存在が神話めいたイメージを作者の胸にもたらしめたわけです。
“良き”

向日葵よ王の墓標となりにけり

染井つぐみ

神話や伝説に近い要素として「王」への連想もありました。向日葵のすっくと一本立っている姿を思わせます。太陽の花、向日葵が象徴するような「王」にはどんな逸話が残っているか、想像が広がって楽しい。「墓標」からは咲き誇る向日葵とも枯れた向日葵とも想像できますが、同じ墓標でも〈向日葵よ末枯れ墓標となりにけり ゆきまま〉は枯れている状況を明確にしています。

実は「末枯」は季語だったりするのですが、描写しようとして知らず使ったものだろうと判断しました。枯れた姿の侘しさ。〈向日葵よ立ち枯れ武士となりにけり どこにでもいる田中〉は「墓標」からさらに発想を飛ばして「武士」へ。立ったまま死ぬ武士のイメージでしょうか。突っ立って死ぬといえば弁慶を思い出しますが、向日葵のひょろ長い立ち姿と仁王立ちはそぐわない。名も無き「武士」の無骨。

一方、同じ死でも〈向日葵よ王は斬首となりにけり 眠 睡花〉は西洋の征服の歴史を思わせます。向日葵の明るい黄色が鎮魂のようでもあり、残酷なようでもあり。
“ポイント”

向日葵よ荒地の王となりにけり

九月だんご

「王」を人物ではなく、より「向日葵」へ引きつけて使っています。「この向日葵は荒地の王であるよ」と詩的断定をしているわけですね。荒涼とした風景の中で一輪の向日葵が際立ちます。
“良き”
向日葵よ荒地の王となりにけり

向日葵よ虚空の軸となりにけり

内田こと

同様の光景でありながら独特な詩語を生み出していて秀逸。周囲のなにもない「虚空」の中心、「軸」として存在する向日葵。万物の中心にあるかのような存在感はたしかに他の花には代役は務まらない「向日葵」らしさを発揮しています。

ここまでは、「向日葵」に意識を向けた回答を紹介してきました。

お次は「なりにけり」に意識を向けた回答を紹介していきます。

〈③へ続く〉
“ポイント”