ドリルde俳句の結果発表

【第10回 ドリルde俳句】③

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。

出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第10回の出題

向日葵や○○○○○○○なりにけり

【第10回 結果発表②】までは、「向日葵」に意識を向けた回答を紹介してきました。

お次は「なりにけり」に意識を向けた回答を紹介していきます。

“ポイント”

2.「なりにけり」を意識した回答

 

向日葵ようとうと駅になりにけり

緑風

 

向日葵よいつしか夏になりにけり

原島ちび助

 

向日葵よはや夕刻になりにけり

西村小市

 

これらの例はいずれも、向日葵に関係ない情報が中七下五で展開されています。

「駅についていた」、「夏になっていた」、「夕刻になっていた」、それらが句の主成分となっている。季語「向日葵」を取り合わせの対象として意識から切り離し、「なりにけり」へと意識を向けることでこのような形になっていったのかと推測しています。

景色の傍らや、時間の奥に「向日葵」の存在はあるかもしれませんが、あくまで十七音全体の力は「なりにけり」が示す方向へ注がれていますね。冒頭で紹介した中村草田男の有名句〈降る雪や明治は遠くなりにけり〉もこちらの仲間に分類できるでしょう。中七下五の強い感慨に負けない上五の季語と詠嘆のバランス感覚には改めて驚嘆します。
“良き”
向日葵ようとうと駅になりにけり

向日葵よ昭和は遠くなりにけり

中町寛美/甘蕉

 

向日葵よ昭和も遠くなりにけり

オサカナクッション

 

向日葵よ平成遠くなりにけり

前世ニャン子

 

草田男に続けとばかりにオマージュ回答も届いておりますが、並べてみてもやはりどこか物足りない。

「昭和」や「平成」がまだ遠く離れてはいない時代に我々が生きているということもありますが、「向日葵」が時代への想いを包み込めるほどには懐の深い季語ではないということが大きい。まあこれは出題上の仕方ない部分なのでとやかく言うのは野暮ってもんですが。
“難しい”

向日葵よひとりぼっちになりにけり

大月犬ラルフ/隆祥/双樹

なりにけり」の「~になった」「~になってしまった」という感慨は、時に寂しさを導きます。向日葵が咲く場所で遊んでいたらみんな帰ってしまって、自分一人が残される。そんなストーリーが見えてきます。

向日葵よ一人ぼっちになりにけり 花弘〉と〈向日葵よひとりぼつちになりにけり かすみそう〉はそれぞれ表記がほんの少し違う。漢字で書く「一人」のドライさと、旧仮名遣い「ひとりぼつち」の愁いと。「ひとりぼっち」と比べて〈向日葵よ一人っきりになりにけり 裸鯊奈〉はつぶやきがより大人びてきます。こどもっぽさを含んだ「ぼっち」が寂しさに焦点をあわせるのに対し、「一人っきり」は寂しさだけでなく、時には一息つく安堵にも結びつくのかもしれない。

向日葵よ俺も独りになりにけり 桜会ふみ子〉は「も」の一字で示す共感。自分自身と向日葵を対比して、一本だけになってしまった向日葵への呼びかけのようでもあります。

〈④へ続く〉
“良き”
向日葵よ俺も独りになりにけり