写真de俳句の結果発表

【第12回 写真de俳句】《天》

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

第十二回写真de俳句 天
とんぼ目で追うて進学説明会  江藤すをん

今回の兼題写真はまさに「蜻蛉」そのものですから、写真ではなく文字で「兼題・蜻蛉」と伝えられても結果は同じでしょ、と思った人もいるかもしれません。今回の投句、蜻蛉の一物仕立て(蜻蛉という季語の持つ情報だけで十七音を構成する技法)が多かったのは、大いに頷けます。

が、やはり写真の効果というのは面白いですね。

この写真の光景を、どこで眺めているのか。誰と眺めているのか。どんな気持ちで眺めているのか。一句の核となる発想を手に入れるためにジャンピングボードとなってくれるのが、写真です。

今回「天」に推したこの句、前半「とんぼ目で追うて」は、凡人どまんなかの措辞です。似たようなフレーズは山ほど投句されていました。

この句を成功させたのは「進学説明会」という言葉に着地できた。その一点に尽きます。進学説明会とは、受験生と保護者のために大学の情報、入試の情報などを提供する会です。毎年五月ぐらいから全国各地、各大学で開催されます。複数の大学が合同で開くこともあるようです。大学職員の方々に直接質問や相談もできますし、保護者向けの講演会なども行われます。

そんな大事な会なのですが、「とんぼ目で追うて」いるのは誰でしょう。説明を聞けば聞くほど自分の行ける大学ではないな……と落胆している受験生本人でしょうか。はたまた、真剣に聞こうとしていない我が子の視線が「とんぼ」に向いていることに気づき、腹を立てている、あるいは極楽とんぼの愚息め……と諦めている母でしょうか。

とはいえ、こんな場所でもこんな気持ちでも、窓の外の蜻蛉と青空を「あ、きれい」と思ってしまう。それが俳人という人種。皮肉にしてちょっと笑える季語との出会いです。

“夏井いつき”