写真de俳句の結果発表

【第13回 写真de俳句】《ハシ坊と学ぼう!③》

第13回のお題「気球と原野」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

天高し勇気を友にとイカロスの

梅酒こおり

夏井いつき先生より
「空への憧れとバーナーの火の怖さを思い浮かべてみました」と作者のコメント。

中七下五は、歌詞をお借りしている感じ。本歌取りの意図があるのは分かるのですが、そのまんま借りてしまっては、やはりマズい。本歌取りは、とても高度なテクニックを必要とします。「バーナーの火」に興味を持ったのならば、むしろその様子を描写してみましょう。
参った

秋夕焼サハラの果ても染めたるか

秋津歩居

夏井いつき先生より
「秋夕焼」に対して、「染める」は常套的。染めるという言葉に甘えないで、映像を描写するつもりで、「秋夕焼」という季語と対峙してみましょう。
ポイント

野の霧をさくり豹の仔勇みおる

はな ただこ

夏井いつき先生より
「写真に小さくキリンが見えたので、まだ狩りが上手ではない豹の仔が、獲物の気配に高ぶる様子を想像しました。『さくり』はしゃっくりです。緊張すると出ることがあると聞きました。豹の仔の、緊張のあまりのしゃっくりを思い浮かべました。下五は、『武者震い』『高ぶる』『逸る(はやる)』『忍ぶ』で迷い、着地にも悩みました。上五の季語にも悩みました」と作者のコメント。

「野の霧」と「豹の子」の映像はよいと思います。が、「さくり」がしゃっくり、とは読みにくいです。「勇みおる」も言い過ぎ。豹の子のどんな動き、表情が「勇みおる」と感じられたのか。そこを映像として、描写すべきです。
良き

金の風古い言葉の渡り来る

はな

夏井いつき先生より
「夏を過ぎて植物が枯れてしまった原野を渡る風からは、有史前からの人の語らいや呟きが聞こえてきそうな気がしました」と作者のコメント。

表現したいと思っている内容はよいと思います。「古い言葉」と口語にするよりは、「古き言葉」のほうがしっくりくる感じ。となれば、全体の微調整も必要でしょうか。

添削例
金風や古き言葉のわたりきぬ
とてもいい

棒針の指の血管秋夕焼

遠山有馬

夏井いつき先生より
「棒針」を持つ「指」に焦点を当てるのはよいのですが、「血管」までくると「秋夕焼」の色との相似が、少々つきすぎてきます。さて、どうする?
参った

秋空や無限の空へ冒険へ

ふるとうれいじ

夏井いつき先生より
中七下五がやや抽象的です。例えば、気球の姿を描写すれば、中七下五の思いを読み手は感じ取ってくれます。映像を描くことを、まずは練習していきましょう。
ポイント

追い風や花野にひとり母懐う

蕃茄

夏井いつき先生より
下五「母懐う」は、ありがちな措辞です。▶︎YouTube『夏井いつき俳句チャンネル』にて【大人の凡人あるある】を解説している回があります。是非、参考にして下さい。
良き

熱気球上がるにつれて冷ゆる空

欅山四十八景

夏井いつき先生より
中七が、やや説明。さらに、高度が上がることで温度が下がるという意味の「冷ゆる空」は、季語として機能するのか、という疑問もでてきます。
参った

枯れ野原気球よ絵具をぬりこめよ

浜口好山

夏井いつき先生より
「茶色一面の野原に、気球が飛ぶことで赤青黄色の原色が現れます」と作者のコメント。

作者の表現したいニュアンスからすると、「ぬりこめ」ではないように感じます。ここが大事な粘りどころですよ。
良き

秋の野に幼子の声満ち満ちて

あつこ

夏井いつき先生より
「1ヶ月前に俳句を始めました。離れて住む孫達と秋を満喫したいです」と作者のコメント。

孫が可愛いと、「満ち満ちて」と言いたい気持ちは分かるのですが、季語「秋の野」よりも「幼子」が主役になっている感じです。秋野の広さや美しさを描くために、「子」を配する。そんな感覚で推敲してみましょう。
ポイント

冷ややかな天地の起伏熱気球

彩由

夏井いつき先生より
〈冷やかに人住める地の起伏あり 飯田蛇笏〉こんな先行句があります。「熱気球」を配することで、別な光景にはなっていますが、多少気にはなります。
良き