ドリルde俳句の結果発表

【第13回 ドリルde俳句】②

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。

出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、【第13回 結果発表①】に引き続き、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第13回の出題

第13回ドリルで俳句 問題「○○○○や ○○○に○○と ○○と○○」

おおかぶじさまばばまご

登りびと

昔ばなしや童話を素材にした回答もいくつか寄せられていました。

『おおきなかぶ』のお話ですね。おばあさんがおじいさんをひっぱって、まごがおばあさんをひっぱって……、というお話。まごをひっぱる動物のバリエーションは本によって差が見られます。「畜」の愛情とはかけ離れた一文字がシュール。
“ポイント”

不知火お供

亀田かつおぶし

○○と○○と○○」は複数の存在を登場させるのに便利な型です。

犬、猿、雉とくれば日本の昔ばなしの王様『ももたろう』。桃太郎が鬼ヶ島へと船出する直前の海岸からは「不知火」も見えていたのか。
“良き”

桃太郎家来獅子

背番号7

随分とお供がグレードアップしましたな⁇ リストラされた犬と猿の行く末も気になりますが、あまりに様変わりした同僚と雉がうまくやっていけるかどうか不安(笑)。
“参った”
不知火やお供に犬と猿と雉

水澄む寓話わら

沢田千賀子

日本昔ばなし『ソラ豆の黒いすじ』ですね。DVD買って観ております。

最後はわらと炭は川を渡る途中に燃え落ちてしまうのですが、落ちていく川は「水澄む」頃でありましたか。季語の登場によって、ものがたりのなかに季節の実感が湧き始めるのが新鮮。
“良き”

さすらひ案山子意志

山本先生

こちらは『オズの魔法使い』ですかね。調べてみたら初版の登場は1900年だそうです。

世界中に知られる名作なればこそ、断片的な単語だけで元ネタのお話にたどり着けます。脳みそを求めて旅に出る「案山子」。「さすらひや」の強調が物語の始まりと、目の前に広がる光景を想起させて上手い。
“とてもいい“

旱天荒野トラワニヌー

星月さやか

動物が三つ並んでいますが、こちらは昔ばなしではなく現実の動物。

季語は「旱天」です。乾ききる夏のひでりが酷な荒野であります。場所を表す助詞「に」が適切に使われ、その場所に存在する動物が三種連続で登場する。きっちりと型を使いこなした一例ですね。
“良き”

秋寒オフィス

佐々木のはら

こちらも型を使いこなしている……のですが、場所に対して登場する存在がミスマッチすぎて脳がバグりそう。オフィスに動物がいるってどういう状況⁉︎ 百歩譲って犬と豚は受け入れたとしても、なんで鶴が⁉︎ まさか、犬と豚も伴って恩返しに……?
“難しい”

広報時報喜寿スリ

妃可

「と」の連続で登場させるものは、モノだけに限らず、情報の内容を入れ込むこともできます。

町や村の広報でしょうか。喜寿のお祝い、スリへの注意喚起、そして……熊⁉︎ 地域によってはたしかに出るもんなあ……。くわばらくわばら。
“ポイント”

新米たまご海苔醤油

くっちゃネ

美味しそうなものが並んでおります、ご飯の友。

中七下五にかけて並ぶものは「○○と○○と○○」、三つのモノが並ぶのですがこちらは四つに増えてしまっております。思わずプラスワンしてしまう食欲には共感するけど、リズムは悪いなあ(笑)。
“難しい”
新米やたまごに海苔と梅と醤油と塩

秋暁彼方

西村小市

映像的な回答。遠く「秋暁」の光のなかでシルエットのように見えるモノを描きます。「彼方に」で生み出す遠近感が上手いですね。

「星」「船」「人」はいずれも違った性質をもつモノですが、中七下五の「と」による並列のアプローチにはこんな使い方もあります。同じ光景の中に同時に存在しつつ、その大きさも、存在する位置も違うものたち。それらを並列の形で並べることによって、立体感を生み出します。

性質の似たモノ同士(動物三連発など)を並べるのとは違った味わいが生まれますね。
“とてもいい“
秋暁や彼方に星と船と人

烏魯木斉市場茶器

坂野ひでこ

「烏魯木斉(ウルムチ)」は新疆ウイグル自治区のウルムチ市。弾圧の問題もあり、胸の痛くなる光景です。

「瓜」「茶器」と日常的な存在と同列に「銃」が存在する「市場」。最後の二音に「銃」を持ってくることで読み手の心をハッとさせる語順も巧みです。
“良き”

鯖雲タオル

月萩つなぎ

空には鯖雲、地上では労働あるいは野外活動。タオルで拭うものとして「汗」と「泥」は思いつく人も多いでしょうが、「枝」は意外です。水気を含んだ他二つとは違う、一つだけ異物のように差し挟まれた「枝」は意外かつリアリティを持って、作者の営みを伝えます。
“ポイント”

夜学子ペン辞書チョコ

江藤すをん

鞄に入っているものシリーズ。

「ペン」「辞書」はともに勉強に使う道具ですが、「チョコ」は道具ではなく食べ物。これも一つだけ異物を差し挟むタイプの切り口といえるでしょう。人によっては飴やチョコを常備している場合もあるでしょうし、意外性があるとまでは言えない取り合わせではありますが。疲れて糖分がほしくなる「夜学」。
“ポイント”

ふるさとカニ

木染湧水

こちらも三つのうち二つは違和感なく厠にあるものですが……

カニ⁉︎ トイレにカニ入ってくるの⁉︎ ……うーん、でもたしかに実際田舎のキャンプ場とかにいくとカニが防風林抜けてトイレの方まできてるようなことありますからな……。(@愛南町)
“難しい”

錦秋ペンパン

アツヒコ

俳句は韻文、律べを楽しむ遊びでもあります。

こちらの回答は「ん」の音の韻を意識しています。「きんしゅう」「かばん」「ペン」「パン」「びん」、韻の遊びを徹底しつつ、やりすぎの嫌らしさもなく作品の世界も破綻していないバランス感覚がお見事。デッサンでもしにいくのかしら。「錦秋」の鮮やかさが芸術の秋めいて。
“とてもいい“
錦秋や鞄にペンとパンと瓶

城跡すすき

砂楽梨

すすきは眺めていて飽きない植物ですね。短い時間での動きや色彩の変化も面白いし、数日・数週間をかけての長い時間の変化も味わい深い。色彩で畳みかけていく中七下五が良いですね。

光と風の具合でいずれの色にも変化し得るすすきという句材の面白さ。ロケーションを明示しつつ、不必要に感情を乗せすぎない「城跡や」の歌い出しも静かで力強い。
“良き”
城跡やすすきに金と銀と銅
〈③へ続く〉