ドリルde俳句の結果発表

【第13回 ドリルde俳句】③

ドリルde俳句結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。ドリルde俳句のお時間です。

出題の空白に入る言葉を考えるドリルde俳句。出題の空白を埋めてどんな一句が仕上がったのか、【第13回 結果発表②】に引き続き、皆さんからの回答を紹介していきます。
“良き”

第13回の出題

第13回ドリルで俳句 問題「○○○○や ○○○に○○と ○○と○○」

色鳥あかあおくろ

房総たまちゃん

色鳥羽色

泉楽人

比較学習に良い回答がきておりました。どちらも「色鳥や」ではじまり、色鳥の翼・羽の色を描いています。

「あかとあおとくろ」と明確な色名を並べた前者に対し、後者は「海と森と雲」と抽象的な言い方で「羽色」を表現します。この言葉の選択の仕方はここまでに紹介してきた、「同じ属性をもった言葉を三つ並べる」手法と、「違う属性をもった言葉を三つ並べる」手法の対比にもなります。

前者はわかりやすい反面、ただの説明に終わってしまうリスクを抱えています。後者はわかりにくかったり誤読されてしまう可能性は孕んでいますが、組み合わせがハマった時には強い魅力を発します。もちろんケースバイケースなのでどちらがより優れたやり方である、と白黒つくような類いの話ではありません。

あくまで個人的な評価ではありますが、どちらかに勝敗の旗をあげなければならないとしたら〈色鳥や羽色に海と森と雲 泉楽人〉の美しい詩の世界に一票を投じます。海の上も森の上も雲の下も飛んで来た色鳥の羽が、それらから色を分け与えられてきたかのような。
“とてもいい“
色鳥や羽色に海と森と雲

結婚花野

風蘭

結納指輪

富永三紀

こちらもそれぞれのパーツに差はあれど、発想の方向性自体は似通っています。どちらも美しさだけではない、立ち向かうべきものの存在が暗示されています。嗚呼、これぞ人生よ。

前者が「花野に」存在し得るものを三つ並べているのに対し、後者は想像の幅が広くなります。「指輪に舟と風と月」は結納の夜を取り巻く光景かもしれないし、指輪に刻まれた意匠かもしれないし、指輪を伴って臨んだ結納の場で抱く未来への決意の抽象かもしれない。読み手が正解に辿り着いてくれるギリギリのラインを攻めるのはリスクもありつつ、決まったらめちゃくちゃ楽しいんですよねえ。
“ポイント”
結納や指輪に舟と風と月

耳澄む手鍋うふ

湯豆腐いろはほへきぬうふ

吉野川

お次は共通するモノが登場するけど全然味わいの違うケース。前者は手鍋の水に揺れる新豆腐の映像を主役として描きつつ、晩秋の澄んだ空気を感じさせます。一方、後者は感覚と表記で楽しむ一句。ひらがな四文字が飛び飛びに配置されている今回の出題の特性をうまく利用しています。

湯豆腐のふるふる煮える様をみながら浮き立ってくる心地。雅な趣もある「湯豆腐」であればこそこんなつぶやきも出てくるのでしょう。毛色は違うけど、どちらも愛してしまう名回答。
“良き”

冷まじ眼下

武井かま猫

あらためて型の基本に立ち返った回答をば。初めに季語を強調し、次いで場面を提示、その場に存在するモノを登場させる。淡々と言葉を繋ぎ寒々とした光景を描いています。

下五の最後に少しだけ性質の違うモノを登場させてリアリティを強める手法は今までにも紹介した通りです。こういうスタンダードながらしっかり完成したタイプの句をみると、型ひとつとっても侮るなかれ、と気を引き締めさせられますね。磨き上げた「基本」はめっちゃカッコイイ。
“ポイント”

新蕎麦ほのつゆほす

笑笑うさぎ

静かに美味しそうに描いた一物仕立てもありました。

個人的にはかけ蕎麦を想像しました。下五の「と」は動詞「とほす」に変化。歴史的仮名遣いのひらがな表記によってやわらかな印象を与えます。茹で上がる新蕎麦を迎え入れるため、先につゆを通して温める「器」。静かで温かで、「ほのと」香りが鼻にも届いてきそう。お見事な一物仕立てです。
“良き”
冷まじや眼下に川と石と鳥

月光切り絵

喜祝音

最後に紹介するのは堂々たる季重なりも恐れず挑んだ一句。

「月光」「花」「蝶」と季語が三つ入っていますが、花と蝶は切り絵で作られたものですから、季語としての力は持っていないと考えて良いでしょう。中七下五の展開は切り絵といえども、そのモチーフは違った性質をもったモノが並びます。

動物の「猫」、植物の「花」、その花に寄ろうとしているのか虫である「蝶」。同じ素材で作られているけど、性質の違う三つのモノ。それら全てが「月光」という世界のなかでゆらめいて、生きているような存在感を発し始める。主役である月光が中七下五をしっとりと包み込んで生命力を与えます。美しい詩の世界を揺蕩う夜の時間。

良い句をみると血が綺麗になる思いがします、ドリルde俳句。
みなさんの明日の句作のお役に立てれば幸いです。ごきげんよう!
“とてもいい“