俳句deしりとりの結果発表

第3回 俳句deしりとり〈序〉|「らい」③

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

「らい」から始まる尻二字しりとり句、②に引き続きご紹介してまいりましょう!
“良き”

第3回の出題

今月の兼題俳句

なししじみみかんと言って初笑い  西岡メーグル

兼題俳句の最後の二音「らい」の音で始まる俳句を作りましょう。

 

※「らい」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

塊のくずる刹那や冬の星

稲垣加代子

々峡覗き込む淵夏近し

里山まさを

難読字が入ってるシリーズ。

「磊(らい)」の字が使われる場面って四字熟語「豪放磊落」くらいしか思いつかん。単独の字「磊」は心が広いさまや石が積み重なっているさまを表す文字だそうです。

《稲垣加代子》さんの〈磊塊のくずる刹那や冬の星〉は積み重なった石の塊と冴え冴えと照る冬の星との取り合わせが魅力的。「刹那や」と短い一瞬に言及するのが良いかは否かは意見が分かれそうな気もします。

《里山まさを》さんの〈磊々峡覗き込む淵夏近し〉は地名? 検索すると「磊々峡(らいらいきょう)」は宮城県仙台市に実在する観光地とのこと。奇岩が並ぶ峡谷だそうです。へぇー、そういうの好き! 行ってみたい!
“とてもいい“

といふ風貫いて修二会

おりざ

「爽籟」という季語をご存知でしょうか。秋の風の傍題として収録されている歳時記もありますが、その「籟(らい)」だけを取り上げました。

辞書によると「籟」は風がものにあたって発する音の意。「修二会(しゅにえ)」は奈良の東大寺二月堂で行われる法会で、春の季語。「お水取り」とも称されますね。毎年3月1日から14日まで行われるとのことで、752年に創業して以来1度も途絶えることなく続いているのだそうです。句がどうこうよりも文化の重みに感動してしまいますな。
“良き“

枝食む楊貴妃の喉蠢きぬ

ノセミコ

絶世の美女 楊貴妃が愛したとされる果物「茘枝(ライチ)」。

わざわざ句に「楊貴妃」が登場していることからも、この中国原産の果物を句材にしようとしていることは明らか……なのですが! 漢字こそ同じですが、季語の「茘枝」はツルレイシ、別名で「苦瓜」と呼ばれる植物なのです。

楊貴妃の愛した果物・ライチとはまったくの別物なんですね。……楊貴妃が健康のために苦瓜食べてる光景を想像すると、それはそれで愉快ではあるけど。苦いのキライであんまり噛まずに飲み込んだりしたのかな……。
“良き“

ラインストーン小指の爪へそっと春

雨野理多

女性的な句つながり。

最近は、ネイルを飾るためのパーツとしてラインストーンと呼ばれる模造宝石が用いられるそうです。

完璧な位置へ置けるよう、慎重に集中した表情が「そっと」から感じられて好印象。小さな「小指」の爪ならなおさら。匠の技ですねえ。ラスト二音「春」のほっと朗らかな息をつくような季語の登場の仕方も魅力。
“ポイント”

ライプチヒの春光オルガンに混じる

湯屋ゆうや

「ライプチヒ」(ライプツィヒとも)はドイツ東部の都市。

調べてみると、ドイツ東部における経済・文化の中心で、かのバッハにもゆかりのある教会などもあるそうです。

おお、文化的な匂い。最近、ドイツが舞台のビール造り漫画を読んだところなので憧れがいや増します。「春光」は春の風光・景色を意味する言葉ですが、最近は「春の光」そのものとして作られた句も多いですね。

この句も光の粒がオルガンの音色に混じってるようなイメージでしょうか。多彩な音を奏でる「オルガン」だからこそ「混じる」が良い動詞のチョイス。
“良き“

ライフ一つ失ひ缶ビールぬるし

風蘭智子

「ライフ一つ失ひ」は、ピンとこない人にとってはまったく響かないフレーズでしょうけども、僕は届くタイプの人種であります。

ゲームでしょうねえ、まさかかつてのアメリカの『LIFE』誌ではないでしょうし。アクションゲームや最近はFPS(First Person Shooter、一人称視点シューティングゲーム)なんかもあるのかな。子どもの頃のキラキラした激情でプレイするのではない、ぬるいプレイ感は大人特有のものでありましょう。口に含むぬる苦い「ビール」が大人の味。
“良き“

賓のひとりの欠けて夏料理

内藤羊皐

こういう句を見ると、つい準備する側の心に共鳴してしまいます。

涼を楽しんでいただこうと用意したもてなしの「夏料理」。なんらかの都合で来られなくなったのか「来賓」席にある空白。誰も箸をつけないまま乾いて鮮度を失っていく「夏料理」のなんと切ないことか。
“ポイント”

館者二名の初日フリージア

だがし菓子

うんうん、初日こんなことだってあるよね~……と頷きつつも、やはり少ししょんぼりする気分も。

個人的には展覧会のようなものを想像しました。平日開催だったりすると余計にねえ。鉢の「フリージア」の楚々とした佇まいが状況にマッチします。一日が終わって芳名帳を確認したら、二名だけお名前が書かれてたりするのかもしれない。明日はもう少し増えるといいなと祈りながら。
“良き“

園者十万人目のあっぱっぱっぱ

片野瑞木

来館者二名の句もあれば、来園者十万人を達成してる句も届くのがおもしろいところです。

しかも登場する季語は「あっぱっぱ」に輪を掛けた「あっぱっぱっぱ」⁉︎ よっぽどテキトーで涼しげなあっぱっぱであるに違いない。記念すべき「来園者十万人目」を迎えるともなれば、華々しい準備や取材のカメラの類いだってありましょう。くす玉なんかも用意されてるかもしれない。

それなのに嗚呼、よりによって「あっぱっぱっぱ」が十万人目になってしまうとは……。おまけにこの句、しりとりにしようとしたら「っぱ」の二音でやるってこと? 難易度高すぎでは⁉︎ ダメダメ、別の句にいたしましょう!
“ポイント”
第5回の出題として選んだのはこちら。

第5回の出題

客へ新茶息子をご存じで

龍酪

クエスチョンマークは音を持たないので、最後の二音は「じで」となります。

間柄は「来客」。かといって何者かわからず、「息子」との関係を尋ねる状況。息子にいったいなにがあったのか。行方は? 生死は? 芳しい「新茶」の香気を挟んで、この場面から小説が滑り出していきそうな一幕です。 ということで、最後の二音は「じで」でございます。難しいぞー‼


しりとりで遊びながら俳句の筋肉鍛えていきましょう!
みなさんの明日の句作が楽しいものでありますように! ごきげんよう!
“とてもいい“