第20回「散歩中の紫陽花」《ハシ坊と学ぼう!②》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
紫陽花やなぞへの人の声清し
山河穂香
紫陽花やなぞへに声の清し人
山河穂香
夏井いつき先生より
「一句目を二句目に改めます。すみませんでした」と作者のコメント。
推敲前は「人の声清し」でしたが、推敲後の句は「清し人」となっています。
「清し」は終止形なので、「人」に接続させるには連体形にする必要があります。再考してみましょう。
「一句目を二句目に改めます。すみませんでした」と作者のコメント。
推敲前は「人の声清し」でしたが、推敲後の句は「清し人」となっています。
「清し」は終止形なので、「人」に接続させるには連体形にする必要があります。再考してみましょう。


河鹿鳴く一乗谷の唐門を入る
ゆきまま
紫陽花の抱きたる闇に棲むもののあり
ゆきまま
夏井いつき先生より
一句目の「河鹿鳴く一乗谷」も二句目の「紫陽花の抱きたる」も、下五がもたついてます。音数を整えましょう。
一句目の「河鹿鳴く一乗谷」も二句目の「紫陽花の抱きたる」も、下五がもたついてます。音数を整えましょう。


プジョーの獅子右向く紫陽花の青
うた歌妙
青のプジョー獅子も右向く紫陽花よ
うた歌妙
夏井いつき先生より
何度も推敲した句が並んでおりました。この段階では、〈プジョーの獅子右向く紫陽花の青よ〉ぐらいになるのではないかなあ。
何度も推敲した句が並んでおりました。この段階では、〈プジョーの獅子右向く紫陽花の青よ〉ぐらいになるのではないかなあ。


曇天に咲くスカートの紫陽花色
砂 芽里
夏井いつき先生より
「紫陽花色」は比喩になりますから、季語としての鮮度は落ちます。
「紫陽花色」は比喩になりますから、季語としての鮮度は落ちます。


紫陽花や水を吸いこみ土の色
あらまち一駒
夏井いつき先生より
土の性質によって紫陽花の色が決まる、ということを表現したいのだろうと推測しますが、下五「土の色」が紫陽花の色のように読めてしまうのが、問題です。
土の性質によって紫陽花の色が決まる、ということを表現したいのだろうと推測しますが、下五「土の色」が紫陽花の色のように読めてしまうのが、問題です。


あじさいや室外機横ばくはつか
かや楓
夏井いつき先生より
「ばくはつか」はちょっと言い過ぎてますが、室外機の横に紫陽花があることに気づいている視点はよいですね。
「ばくはつか」はちょっと言い過ぎてますが、室外機の横に紫陽花があることに気づいている視点はよいですね。


長谷寺を浴びて異人のアロハシャツ
居並小
夏井いつき先生より
「先に〈長谷寺の似合う異人のアロハシャツ〉と投句しましたが、『似合う』がどうしても気に食わなくなりました。『味わう』『飾る』『浮かぶ』などを検討し、長谷寺の湿度と紫陽花が迫ってくる雰囲気を表現できそうな『浴びる』を使うことにしました。『浮かぶ』も良いと思いましたが、長谷寺が似合う外国の方を表現したかったので、浮いてると誤解を与えかねないので断念。今月から投句を始めました」と作者のコメント。
「おウチde俳句くらぶ」にようこそ。考察の方向性は正しいです。「似合う」は確かに説明ですが、「~を浴びて」はちょっと強引。無理矢理、詩にしようとしている感じです。この一語をどうするか、勝負所ですね。
今回の投句それぞれ拝見しましたが、全体に狙いすぎています。まずは、季語の前に立って、季語と交信してみましょう。季語がいろんなことを語りかけてくれますよ。
「先に〈長谷寺の似合う異人のアロハシャツ〉と投句しましたが、『似合う』がどうしても気に食わなくなりました。『味わう』『飾る』『浮かぶ』などを検討し、長谷寺の湿度と紫陽花が迫ってくる雰囲気を表現できそうな『浴びる』を使うことにしました。『浮かぶ』も良いと思いましたが、長谷寺が似合う外国の方を表現したかったので、浮いてると誤解を与えかねないので断念。今月から投句を始めました」と作者のコメント。
「おウチde俳句くらぶ」にようこそ。考察の方向性は正しいです。「似合う」は確かに説明ですが、「~を浴びて」はちょっと強引。無理矢理、詩にしようとしている感じです。この一語をどうするか、勝負所ですね。
今回の投句それぞれ拝見しましたが、全体に狙いすぎています。まずは、季語の前に立って、季語と交信してみましょう。季語がいろんなことを語りかけてくれますよ。


ひと休み紫陽花を目に老夫婦
愛華
夏井いつき先生より
「~を目に」は不要です。
「~を目に」は不要です。


あぢさゐの透けて余韻の果てにゐる
銀紙
夏井いつき先生より
惜しいのは下五です。「余韻」と「果て」を重ねているのがちょっと損。下五で変化球を投げることができたら、詩の純度はぐんとあがりそうです。
惜しいのは下五です。「余韻」と「果て」を重ねているのがちょっと損。下五で変化球を投げることができたら、詩の純度はぐんとあがりそうです。


阿修羅像見たし紫陽花の夏帯
鯨尺
夏井いつき先生より
紫陽花の絵柄の夏帯でしょうか。となれば、季語としての鮮度は落ちます。
紫陽花の絵柄の夏帯でしょうか。となれば、季語としての鮮度は落ちます。


額の花控えめに咲き人目引く
葉月 緑正
夏井いつき先生より
「額の花」は、まさに中七下五のような花ですが、そういう意味では季語の説明。説明と描写の違いについて考えてみましょう。
「額の花」は、まさに中七下五のような花ですが、そういう意味では季語の説明。説明と描写の違いについて考えてみましょう。


α波の流れ出るかに春時雨
小緑ふぇい
夏井いつき先生より
「α波」と「春時雨」の取り合わせはアリだと思いますが、中七が説明だなあ。
「α波」と「春時雨」の取り合わせはアリだと思いますが、中七が説明だなあ。


朝の雨浴びて紫陽花しづかなり
ぽっぽ
夏井いつき先生より
「浴びて」は要りますか。
「浴びて」は要りますか。


外周走この紫陽花や三度目
伊沢美香
夏井いつき先生より
「何周も何周も走る外周、正門横にある紫陽花が目印で、あと何周だと数えていました」と作者のコメント。
作者のコメントの中の「紫陽花が目印」というフレーズがよいですよ。これを使って、推敲してみましょう。
「何周も何周も走る外周、正門横にある紫陽花が目印で、あと何周だと数えていました」と作者のコメント。
作者のコメントの中の「紫陽花が目印」というフレーズがよいですよ。これを使って、推敲してみましょう。


頬に風斜め下群るクローバー
めいめい
夏井いつき先生より
「頬に風」と「クローバー」の取り合わせは、よいと思います。季語「クローバー」は、「群る」と説明しなくても、群れ咲いている光景がすでに季語情報として入っています。逆に、一輪のときは「クローバー一輪」と書くべきですね。
例えば、「風のクローバー」とすれば、掲出句の情報のかなりの部分が表現されます。推敲してみましょう。
「頬に風」と「クローバー」の取り合わせは、よいと思います。季語「クローバー」は、「群る」と説明しなくても、群れ咲いている光景がすでに季語情報として入っています。逆に、一輪のときは「クローバー一輪」と書くべきですね。
例えば、「風のクローバー」とすれば、掲出句の情報のかなりの部分が表現されます。推敲してみましょう。


ネオン街裏で咲き誇る紫陽花や
あいかわ航
夏井いつき先生より
「ネオン街」の裏の「紫陽花」という目の付け所はよいのです。中七「咲き誇る」の擬人化が、手垢のついた表現。しっかりと描写することから練習しましょう。
「ネオン街」の裏の「紫陽花」という目の付け所はよいのです。中七「咲き誇る」の擬人化が、手垢のついた表現。しっかりと描写することから練習しましょう。


若き日の紫陽花愛でて鎌倉や
マツコ
夏井いつき先生より
下五の「や」はバランスが取りにくい難しい型。「鎌倉や」と頭において、整えてみましょう。
「愛でて」は不要。紫陽花の色とか形とかを描写しましょう。
下五の「や」はバランスが取りにくい難しい型。「鎌倉や」と頭において、整えてみましょう。
「愛でて」は不要。紫陽花の色とか形とかを描写しましょう。

