写真de俳句の結果発表

第20回「散歩中の紫陽花」《ハシ坊と学ぼう!④》

ハシ坊

第20回のお題「散歩中の紫陽花」

評価について

本選句欄は、以下のような評価をとっています。

「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。

特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。

「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考えるそれが最も重要な学びです。

安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。

医師告げる股関節折損立夏かな

三宅 光風

夏井いつき先生より
「股関節折損」と「立夏=夏来る」という季語との取り合わせはよいです。「医師告げる」と説明する必要はありません。例えば……

添削例
股関節折損の吾に夏来る
良き

紫陽花の絵手紙で知る母の趣味

緒川こるり

夏井いつき先生より
描かれた「紫陽花」は、季語としての鮮度が落ちます。
上五で「紫陽花や」と詠嘆し、残りの音数で「母」から届いた「絵手紙」であることを書けば、その絵も紫陽花かも? と想像してもらえます。
“ポイント”

一輪の紫陽花飾る命日に

月光

夏井いつき先生より
「紫陽花」という花の特徴を考えると、「一輪」という表現はどうでしょう? さらに「飾る」も要一考です。
“難しい”

ガソリンの秘めたる碧梅雨の道

高原大知

夏井いつき先生より
「雨の日にできる、青緑のガソリンの輪を句にしました」と作者のコメント。

目の付け所はよいのですが、「~の秘めたる」という措辞に逃げるのではなく、その「青緑のガソリンの輪」をちゃんと描写しましょう。
良き

夫婦して訪う東慶寺あぢさゐ見

まつもとをさむ

夏井いつき先生より
「見」は不要です。語順を入れ替えると、簡単に解決しますよ。俳句は言葉のパズル、やってみましょう。
“ポイント”

あじさいき座ったままの芙美子像

つぶ蛙

夏井いつき先生より
「紫陽花忌」のことならば、「忌」の一字は漢字で書かないとわかりにくいなあ。
プチ雑学ですが、林芙美子だけでなく、水原秋桜子や石原裕次郎の忌日も、「紫陽花忌」と呼ばれているようです。
“参った”

重ね合う花の縁に水差す小雨

夏の日のアン

夏井いつき先生より
俳句で「花」といえば、「桜」を指します。紫陽花ならば、そのように書く必要があります。
良き

紫陽花やジャングルジムが錆びてゐて

月石 幸

夏井いつき先生より
「俳句では『が』よりも『の』が好まれること、最後は言い切ることが良いと知っているのですが、〈紫陽花やジャングルジムの錆びてゐる〉よりも、錆びて朽ちている様子のなんともやるせない気持ちが、こちらの方がしっくりときましたが、どうなのでしょう(笑)」と作者のコメント。

細部のニュアンスは、作者自身が選び取ればよいと思います。定石とは、成功しやすいやり方。成功率よりも、自分が表現したい内容に拘るのは、表現者として正しい姿勢です。
ただ、「錆びたジャングルジム」を描いた句は、案外あるので、そこに類想感は残ります。「紫陽花」との取り合わせは悪くないのですが。
良き

紫陽花やマスク外せぬ群衆よ

猫雪すあま

夏井いつき先生より
「外せぬ」と説明するのではなく、「マスクの群衆」と映像を書くだけで、「外せぬ」の部分は読み手に伝わるのです。再考してみましょう。
“ポイント”

紫陽花や残りの鉢に五輪咲く

槇 まこと

夏井いつき先生より
紫陽花の咲き方について「五輪」という書き方に違和感があります。
“難しい”

紫陽花の最後は確としがみつき

さいとふ けひ

夏井いつき先生より
「紫陽花を調べると、紫陽花が枯れることを『しがみつく』ということを知り、この言葉を使って俳句を作りたいと思いました。純粋な一物仕立てを目指して作りました」と作者のコメント。

純粋な一物仕立てとは、「しがみつき」のような擬人化を使わず、描写だけで成立させるものです。
かなりハードルの高い技法ですから、最初は「取り合わせ」から練習していくことをお勧めします。
“ポイント”

紫陽花の心を映す万華鏡

コントレイル

夏井いつき先生より
「万華鏡」は、さまざまな句にもでてくる凡人ワードの一つです。「万華鏡みたい……」という感想に甘えずに、どんな映像がそのような感想を持たせたのか。そこをしっかりと押さえて、描写してみましょう。
“参った”

箸袋にあぢさゐのある蕎麦屋かな

赤坂 みずか

夏井いつき先生より
箸袋に描かれた紫陽花は、季語としての鮮度が落ちます。
“難しい”

亡き悼む雨に浮かぶは紫陽花や

ききょう

夏井いつき先生より
上五に「紫陽花や」と置いて、残りを整えてみましょう。
“ポイント”

雨まだか四片の蕾空見上ぐ

庭野利休梅

夏井いつき先生より
「初心者なので擬人化は避けた方がよかったかもしれませんが……」と作者のコメント。

そうですね。擬人化を成功させるには、擬人化しつつ映像化できるという高度なテクニックが必要です。映像を描写する練習をみっちりと積み重ねるのが先決です。
また、「紫陽花」の傍題「四葩」は、この字が歳時記では一般的です。
良き

陽射し避け葉裏へ逃げるかたつむり

白木蓮

夏井いつき先生より
中七下五があれば、上五は不要な説明です。
今回の投句のほとんどが季重なりでした。歳時記を片手に、どれが季語なのか確認しましょう。季語の知識をコツコツ積み上げていきましょうね。
“ポイント”

花の寺写経の「無」の字目立ちをり

千里

夏井いつき先生より
「鎌倉の長谷寺の花々を観て、ふと写経をする気持ちになりました。思ったより時間がかかり、終えてみると『無』の字を何回も書いた記憶が残りました」と作者のコメント。

季語「花」は、桜のことですね。下五「目立ちをり」は説明。
作者コメントの「無の字を何回も書いた」という情報のほうが、よいですね。推敲してみましょう。
“ポイント”

春の闇蜜も香も無き風媒花

水木花水木

夏井いつき先生より
中七は「風媒花」の説明です。俳句は、映像を描写するのが基本。描写力を身につける練習を意識しましょう。
良き

梅雨晴間銀座で買い物七変化

トリケイ

夏井いつき先生より
「七変化」は、買い物で七変化した? それとも、紫陽花の傍題の意? だとすれぱ、「梅雨晴間」との季重なりになりますね。
良き

一株の四葩の中の五弁三つ

はなぶさあきら

夏井いつき先生より
「『四葩』と呼ばれているが、中には五葩もあったのでそれを詠ってみました」と作者のコメント。

よく観察しましたね。惜しいのは中七。「四葩に」と書けば、「~の中」は不要です。着地は「あり」と言い切ってもよいですね。
“ポイント”

転居先未だ決まらぬ猫二匹

ときちゅら

夏井いつき先生より
「猫」だけでは季語になりません。「仔猫」ならば春の季語ですよ。「転居先決まらぬ」とすれば、音数の節約ができますよ。
“ポイント”

毅然としてアジサイ寺の雨蛙

佐野聖光

夏井いつき先生より
「雨蛙」が「毅然」とした表情である、という句意ならば、面白いか。「雨蛙」の一物仕立てとして、表情を少しでも描写してみましょう。
“ポイント”