第20回「散歩中の紫陽花」《ハシ坊と学ぼう!⑥》
評価について
本選句欄は、以下のような評価をとっています。
「天」「地」「人」…将来、句集に載せる一句としてキープ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
「並選」…推敲することで「人」以上になる可能性がある句。
「ハシ坊」…ハシ坊くんと一緒に学ぶ。
特に「ハシ坊」の欄では、一句一句にアドバイスを付けております。それらのアドバイスは、初心者から中級者以上まで様々なレベルにわたります。自分の句の評価のみに一喜一憂せず、「ハシ坊」に取り上げられた他者の句の中にこそ、様々な学びがあることを心に留めてください。ここを丁寧に読むことで、学びが十倍になります。
「並選」については、ご自身の力で最後の推敲をしてください。どこかに「人」にランクアップできない理由があります。それを自分の力で見つけ出し、どうすればよいかを考える。それが最も重要な学びです。
安易に添削を求めるだけでは、地力は身につきません。己の頭で考える習慣をつけること。そのためにも「ハシ坊」に掲載される句を我が事として、真摯に読んでいただければと願います。
紫陽花の木陰にしゃがみかくれんぼ
あつこ
夏井いつき先生より
「紫陽花」に対して「木陰」という表現に違和感があります。
「紫陽花」に対して「木陰」という表現に違和感があります。


往路だけ目が合う紫陽花ムウとよぶ
沖田護子
夏井いつき先生より
「ムウ」は何だろう? 紫陽花に名前をつけたの? ちょっとそのあたりが分かりにくいなあ。
「ムウ」は何だろう? 紫陽花に名前をつけたの? ちょっとそのあたりが分かりにくいなあ。


紫陽花や花弁に宿る赤の女王
哲太豚九
夏井いつき先生より
「全力で走っていないと同じ場所にいられないという、『鏡の国のアリス』に登場する『赤の女王』。アジサイの花弁の色は移りゆくが、中ではそれぞれの色を保とうと全力なのかもしれません」と作者のコメント。
「赤の女王」について知識がないのですが……いずれにしても、中七「宿る」の擬人化が損をしているのではないかと。
「全力で走っていないと同じ場所にいられないという、『鏡の国のアリス』に登場する『赤の女王』。アジサイの花弁の色は移りゆくが、中ではそれぞれの色を保とうと全力なのかもしれません」と作者のコメント。
「赤の女王」について知識がないのですが……いずれにしても、中七「宿る」の擬人化が損をしているのではないかと。


紫陽花や着物地染めて野点かな
紺
夏井いつき先生より
「や」「かな」と、切れ字が二つあります。感動の焦点がブレるという意味で、嫌われます。
「や」「かな」と、切れ字が二つあります。感動の焦点がブレるという意味で、嫌われます。


此処彼処ひかる紫陽花お向かいの
閑子
夏井いつき先生より
語順に問題があります。「お向かいの紫陽花~」という語順で整えてみましょう。
語順に問題があります。「お向かいの紫陽花~」という語順で整えてみましょう。


長谷寺を包み込むよな紫陽花が
そうわ
夏井いつき先生より
語順に問題があります。上五を「紫陽花や」として、残りを整えてみましょう。
語順に問題があります。上五を「紫陽花や」として、残りを整えてみましょう。


かたつむり大きな葉っぱでかくれんぼ
久楽
夏井いつき先生より
季語「かたつむり」としては、テッパンの類句です。まずは、誰でも考える句を想定して、そこから「どう離れていくか」を考えるのも有効な手立てですよ。
季語「かたつむり」としては、テッパンの類句です。まずは、誰でも考える句を想定して、そこから「どう離れていくか」を考えるのも有効な手立てですよ。


移りゆく紫陽花の花山陰に
なおこ
夏井いつき先生より
「紫陽花」と書けば、季語としては、花が咲いていることが前提です。敢えて「咲く」「~の花」と書く場合もありますが、この句の場合は不要ですね。
「紫陽花」と書けば、季語としては、花が咲いていることが前提です。敢えて「咲く」「~の花」と書く場合もありますが、この句の場合は不要ですね。


ナイターは中止に土砂降りへ走る
ヒマラヤで平謝り
夏井いつき先生より
「へ」でしょうか? その一点のみ、再考願います。
「へ」でしょうか? その一点のみ、再考願います。


梅雨空に水の香纏い寄り添いて
大谷 くえ
夏井いつき先生より
何と何が「寄り添いて」いるのか。そこがイマイチ、読み取れません。
何と何が「寄り添いて」いるのか。そこがイマイチ、読み取れません。


紫陽花や恋多きよふに思はれて
流依
夏井いつき先生より
「~ように」を歴史的仮名遣いで書くと、「~やうに」となります。語順を一考してみましょう。
「~ように」を歴史的仮名遣いで書くと、「~やうに」となります。語順を一考してみましょう。


紫陽花を持ち寄る子らの多し日よ
四季
夏井いつき先生より
「多し」は終止形になります。この場合は「多き」と連体形にするべきでしょう。
「多し」は終止形になります。この場合は「多き」と連体形にするべきでしょう。


紫陽花や藍をつくして咲きにけり
喜多丘一路
夏井いつき先生より
「や」「けり」と、切れ字が二つあると感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つに、推敲してみましょう。
「や」「けり」と、切れ字が二つあると感動の焦点がブレるということで、嫌われます。どちらか一つに、推敲してみましょう。


久々の実家にポットの濃紫陽花
内林めぐみ
夏井いつき先生より
「に」を一つ外すだけで、カットが軽く切れますよ。
「に」を一つ外すだけで、カットが軽く切れますよ。


あじさい菓懐紙の上に一つ取り
数哩
夏井いつき先生より
お菓子の「あじさい」は、季語としての力が弱くなります。
お菓子の「あじさい」は、季語としての力が弱くなります。


ぼーぼーと朽ちたる家に咲く紫陽花
池田淳子
夏井いつき先生より
「紫陽花」とあれば、基本的に「咲く」は不要です。
「紫陽花」とあれば、基本的に「咲く」は不要です。


紫陽花を一輪蒼の蟹星雲
ただ地蔵
夏井いつき先生より
「紫陽花」に対する「一輪」に違和感があります。
「紫陽花」に対する「一輪」に違和感があります。


水筒の紫陽花揺れて八千歩
笠井あさり
夏井いつき先生より
「一万歩の散歩に出かけた父が、八千歩で帰ってきました。途中で頂いた紫陽花を飲みかけの水筒にいれて」と作者のコメント。
一読「紫陽花や水筒ゆれて八千歩」では? と思ったのですが、水筒に紫陽花を入れて……うーむ、これを十七音にするのは少し難しいかなあ。
「一万歩の散歩に出かけた父が、八千歩で帰ってきました。途中で頂いた紫陽花を飲みかけの水筒にいれて」と作者のコメント。
一読「紫陽花や水筒ゆれて八千歩」では? と思ったのですが、水筒に紫陽花を入れて……うーむ、これを十七音にするのは少し難しいかなあ。


主なき庭の鈴蘭に雨静か
きのこオムレツ
夏井いつき先生より
「主なき庭」は、よくあるフレーズです。ということは、ここの部分に改善の余地があるよ、ということです。
「主なき庭」は、よくあるフレーズです。ということは、ここの部分に改善の余地があるよ、ということです。


紫陽花や在宅ワークの眼を休め
せんのめぐみ
夏井いつき先生より
下五「眼を休め」が説明です。「在宅ワーク」と「紫陽花」を取り合わせるだけで、下五は想像ができるのです。
下五「眼を休め」が説明です。「在宅ワーク」と「紫陽花」を取り合わせるだけで、下五は想像ができるのです。

