俳句deしりとりの結果発表

第6回 俳句deしりとり〈序〉|「かな」①

俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第6回の出題

兼題俳句

かりんとのじゃりじゃり溶ける夜釣りかな  山河穂香

兼題俳句の最後の二音「かな」の音で始まる俳句を作りましょう。

 

※「かな」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

三大切れ字のひとつである「かな」。特に下五のおわりに使う機会の多い切れ字ですね。

その「かな」から始まる句で最初に並びましたのは「仮名手本忠臣蔵」。固有名詞だけで実に十一音。さらに一音「や」を補うと上五中七が完成します。
“ポイント”

仮名手本忠臣蔵や十二月

びんごおもて

仮名手本忠臣蔵や郷の演

わおち

仮名手本忠臣蔵や村歌舞伎

信茶

仮名手本忠臣蔵や散紅葉

さくら悠日

残りの五音分の使い方は、《びんごおもて》さんが時期、《わおち》さんと《信茶》さんは演じられている状況、と現実の情報を補足する方向に寄っています。

一方、《さくら悠日》さんは「散紅葉」。筋書きを読んだり演じたりしている現実の光景ともとれるし、討ち死にする浪士へのイメージで取り合わされたとも読めます。一歩作品の内容へと踏み込んだチョイス。
“良き”

仮名手本忠臣蔵師走の夢

猫日和

同じ「仮名手本忠臣蔵」ですが、こちらは助詞や切れ字は補わず、十一音の単語に対して「師走の夢」六音をつけて合計十七音にする形。

音数は十七音ですが、韻律の面ではやはり五七五を意識した方が綺麗ですね。
“ポイント”

仮名手本忠臣藏に居つく紙魚

菜活

詠嘆の「や」ではなく「に」の助詞を補った形。

やはり韻律を意識すると、口に出して読んでみた場合にもすっきりします。助詞「に」は場所を指定する効果を持ちます。長い時間をかけて紙魚に食われた、年代物の「仮名手本忠臣蔵」。「居つく」のチョイスが上手いですね。
“良き”

だらいドリフの仕掛け出る月夜

おこそとの

だらい落つ8時だよ夏休み

青居 舞

最近見ないといえば、ドリフでおなじみ金だらいが落ちてくる演出も見かけなくなりましたねえ。

子どもの頃に笑ってた記憶があるのですが、冷静に考えたらけっこう危険だったよなあ……だんだん盥大きくなっていったりしてましたし。最近は安価なプラスチックの盥がホームセンターに並んでいたりもして、金盥はある意味ノスタルジックな道具になっていくのかも。
“良き”

だらいに西瓜の浸かる風呂上がり

さ乙女龍千よ

ダライ半身浴のスイカかな

月ぼんぼん

この光景も実に昭和でありますねえ。わたくし、ギリギリ体験した記憶のある世代でございます。

水の冷たさが伝わる「金だらい」ならではの良さ。《さ乙女龍千よ》さんと《月ぼんぼん》さんの句を見比べると、前者はそういう物が存在した風呂上がりですよという「出来事」を描いており、後者はスイカの「姿」を描写しようとしている差があります。
“ポイント”

盥凹みに凹みて日向水

湯屋ゆうや

金盥シリーズで最も描写が上手かったのがこちら。
表記の点でも「凹み」の繰り返しがべこべこ具合を伝えて楽しい。中七を「凹みに凹み」と七音に収めず、「凹みて」とあえて一音の字余りにしているのも計算の内でしょう。

金盥の質感をしっかり言い表したあと、映像のカットを切り替えずにそのまま金盥の内側に温んでいく「日向水」へと焦点を移します。地味な句ではありますが、この辺のテクニックも上手いなあ。
“とてもいい“

カナッペとイナカッペとの違い夏

秋白ネリネ

カナッペや我が家には無き夏メニュー

とも女

カナッペの「ぺ」が白々しい扇風機

碧西里

ノスタルジックな金盥から一転、カタカナ言葉の料理が出て参りましたねえ。

なんじゃカナッペって、食べたことあるか?? 調べてみたところ、クラッカーやパンにトッピングを乗せたりつけたりして食べる料理、とのこと。ほほー、見た目も鮮やかにできるようですね。イナカッペとは大違いですな。田舎の人間としては思い知らされる夏でありますなあ……。

《碧西里》さんの「『ぺ』が白々しい」はどんな感覚なんだろう。発音の問題? それともカナッペって料理の「ペ」のあたりってここよね~みたいな感覚的な捉え方??

あるいは供してくれる人が塩対応なのか??? 謎が深まる中、扇風機の風に乾いていくカナッペであった。
“良き”

カナッペは乾く義父母と夏座敷

お天気娘

うへえ、いたたまれない空間……。

もてなされる側で食べ方がわからない状況と、もてなす側で食べてくれない状況と、両方想定したけども……どっちも辛い。「カナッペ」「乾く」と軽やかに韻を踏んでからの展開がまた一層気まずさをかき立てます。
“参った”

カナッペの夏色口へ頬張りぬ

音羽実朱夏

これはシンプルに美味しそう。

「夏色」はなんだろう。新鮮なトマトやキュウリ、フルーツとかもあるかなあ。ただ、この句からしりとりしようと思ったら最後の二音が「りぬ」……うーん、難しそう! お題に選ぶのは別の句にしよ!
 
〈②へ続く〉
“ポイント”