俳句deしりとりの結果発表

第8回 俳句deしりとり〈序〉|「いき」①

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、はじまりはじまり。
“良き”

第8回の出題

兼題俳句

金釘に水の濁れる震災忌  内藤羊皐

兼題俳句の最後の二音「いき」の音で始まる俳句を作りましょう。

 

※「いき」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

いきなりちゃん同窓会

横須賀うらが

ううむ、いきなりのこの困惑をどうしたらいいのか……。出題句からの格調の落差で脳がバグりそう。季語はどこいった、季語は。
“良き”

行き質に」い段の戯れApril

スマイリィ

かろうじて「April」が四月……だけど、英単語になると季語としてはどうなんだろう……。謎の言葉「行き質に」って? 職質(職務質問)の亜種か?? と困惑していたら――
“ポイント”

いきしちに唱える吾子や若葉風

水きんくⅡ

いきしちに言葉遊びや秋雀

団塊のユキコ

他にもありました、「行き質に」あらため「いきしちに」! あいうえおの陰に隠れて目立たない「いきしちに」ですが、小学校の一年生とかだと唱える練習があった気もしますね。練習中の明るい「若葉風」に対し、渋い「秋雀」は「言葉遊び」できるくらい慣れが伺えます。大人の言葉遊びかなあ。
“良き”

行きつけの店が閉店疫禍の秋

出羽泉まっくす

行きつけの店の閉店秋の風

石川潤子

行きつけに閉店の紙山眠る

柿司

「いき」から始まる言葉で「行きつけ」に辿り着いた人々。今のコロナ禍の時世を反映してか「閉店」の句の多いこと! 三人並んで見ると、言葉の抑制具合に差が見えて興味深いですね。《出羽泉まっくす》さんが「疫禍の秋」と字余りど直球で言葉を詰め込んだのに対し、《石川潤子》さんは「秋の風」と抑制の効いた無念さ。2022年現在に生きる我々が読めば「ああ、コロナウィルスのせいだろうな……」と想像で十分に補える範囲ですね。《柿司》さんは「閉店」を単なる事実としてだけでなく「紙」に書かれた文字として映像化しているのが上手い。手慣れてますなあ。
“良き”

行きつけのお店は休み秋の宵

不二自然

お店が閉店してないバージョンの「行きつけ」。開いてるものだとばかり思っていたのに……て宙ぶらりんになること、ありますよね。急遽のお休みだと、なにかあったかと心配する気持ちも湧いてきます。「秋の宵」が途方に暮れて立つシルエットを思わせて哀愁漂う。
“ポイント”

行きつけのバーの入口菊人形

いわかみ かほ

なんでこんなものが!? とギョッとするんじゃなかろうか。何の気なしに行きつけのバーに飲みに行って、人の背丈ほどもある「菊人形」に突然迎えられたら……なかなか怖い。入口の外にあるのか、入った中にあるのかでも恐怖度は変化しそうですね。地下につくられた大人な雰囲気のバーとか。薄暗い入口をくぐって、いきなり菊人形に出くわしたらそりゃもう驚きますよ、これ。
“良き”

行きつけの大樹に語る秋の蝉

松本厚史

行きつけというフレーズには人間くさい、良い意味での俗っぽさがあります。その行きつけに対し、「大樹」は詩のある意外な取り合わせ。中七に切れがあると読みたいなあ。人間が大樹に向けて語りかけているシーンを想像しました。子どもの頃からこの大樹に語りかけ続けて大人になった、自分のことを全部知っている大樹……みたいな物語。こういう世界観好き。
“参った”

イキ」の記号インクにじませてる汗

伊呂八 久宇

縁の無い人にとってはまるでわからないかもしれない「イキ」。文書の校正作業などで使われる用語ですね。「元のままで」を意味する言葉です。にじむ汗が夏の暑気やら校正の熱気やらを感じさせて、たじたじ。
“ポイント”

筋の単衣の裾を朝の風

山姥和

校正作業の「イキ」は仕事柄知ってたけど、こちらは初耳の単語。「粋筋」ってなんじゃらほい。辞書によると「①粋な方面。花柳界。②男女の情事。色恋沙汰。」の意味があるとのこと。ほほー。「単衣の裾を朝の風」から察すると②の意味でしょうかねえ。夏の軽やかな単衣へ滑り込む風、雰囲気ありますなあ。
 
〈②へ続く〉
“良き”