俳句deしりとりの結果発表

第8回 俳句deしりとり〈序〉|「いき」④

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、③に引き続きご紹介してまいりましょう!
“良き”

第8回の出題

兼題俳句

金釘に水の濁れる震災忌  内藤羊皐

兼題俳句の最後の二音「いき」の音で始まる俳句を作りましょう。

 

※「いき」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

壱岐の夜を覆ふおしあなてふ魔物

あみま

壱岐への航路おしあなに荒れに荒れに

彩汀

壱岐からの風はまつすぐ烏賊襖

にゃん

固有名詞での「いき」もありました。長崎県の離島・壱岐島。マニアックな季語「おしあな」を使ってきた人が二人もいるのは、南海放送ラジオ『夏井いつきの一句一遊』のせいでしょうね。ラジオの兼題が「おしあな」だったタイミングでの投句締切だったのでしょう。長崎地方で言われる言葉だけに、「壱岐」の地名はしっかり効いてます。《にゃん》さんの「烏賊襖」は大量に獲れた烏賊を隙間なく干している状態。少し古いデータではありますが、2016年のデータによると、長崎県の烏賊漁獲量は全都道府県中第3位だったそうです。おおー、光景に信憑性があるじゃないか! ちゃんと調べた上だったらすごいぞ!偶然だったらある意味もっとすごいぞ!
“ポイント”

生き餌刺す黒鉄透けて秋高し

迫久鯨

継ぎの亀の子の首透けており

立田鯊夢

生き物の肌の透ける感覚ってなんともいえない背徳感めいた美しさがありますよね。《迫久鯨》さんは釣りに手慣れてらっしゃる風格。生き餌をつける、針がぷつっと身を裂く感覚が脳内で生々しく再生されます。身の内側に埋まった、うっすら見える「黒鉄」。秋の高い空の下での釣果はいかほどでしょうねえ。
《立田鯊夢》さんは観察と描写がお見事。息継ぎに亀の子が顔を出した瞬間を切り取り、その首の質感へ焦点を絞って描きます。伸ばした首だからこそ「透けており」の描写が活きますね。夏の空気の匂いを嗅ぐように突き出される亀の首であります。
“良き”

絶えたもぐらのまぶた鰯雲

渡辺鬼

生憎もぐらが死んでいる姿を見かけた経験はないのですが、非常に興味深いですね。視力の弱い動物のまぶたはどれくらいの厚みなのだろう……むしろ薄いのかな? 本来土中にいるはずの「もぐら」の地上での死と、空高くに浮かぶ「鰯雲」。意外な対比の取り合わせを楽しませていただきました。
“難しい”

白しカウベルの音の澄む牧場

稲垣加代子

白く立つ玄関といふ荒野

ぽっぽ

季語にも「いき」から始まるものがありましたね。「息白し」は日常に目にする場面も多い季語ですし、今回の出題とは親和性が高かったのではないかと。早朝の冷たい空気のなかにカウベルの音がからころと響いていく空間の広がり、いいなあ。北国の牧場であれば、ひょっとしたら頭上は気持ち良い雪晴れだったりするかもしれない。句に描かれていない奥行きまで想像したくなってきます。一方、《ぽっぽ》さんの白息は閉鎖的な空間。玄関という狭く限られた空間だからこそ、吐き出された白息の一塊が目立ちます。独特な詩の感覚を持った「玄関という荒野」を、どう解釈するのが一番この句の魅力を引き出せるかなあ。乱雑に靴が脱ぎ散らかされた「玄関」への絶望? 家を出て仕事や学校、社会へ立ち向かっていかなければいけない覚悟? いずれにせよ、動詞「立つ」が「荒野」と呼応するように魅力を引き出してくれております。
“ポイント”
しっとりずっしりと佳い句が多かったのですが、そんな中であえて第10回の出題として選んだ句はこちら。

第10回の出題

意気込みは分かった先ずはレタス剥け

赤坂 奈緒

状況をあれこれ想像するほどに面白くて離れられなくなってしまいました。やる気だけはある新人バイトか、あるいは旦那か。口より先に手を動かせ! レタスが瑞々しいうちに!!

ということで、最後の二音は「むけ」でございます。

しりとりで遊びながら俳句の筋肉鍛えていきましょう!
みなさんの明日の句作が楽しいものでありますように! ごきげんよう!

“とてもいい“