俳句deしりとりの結果発表

第10回 俳句deしりとり〈序〉|「むけ」②

俳句deしりとり
俳句deしりとり〈序〉結果発表!

始めに

皆さんこんにちは。俳句deしりとり〈序〉のお時間です。

出題の句からしりとりの要領で俳句をつくる尻二字しりとり、①に引き続きご紹介してまいりましょう!
“良き”

第10回の出題

兼題俳句

意気込みは分かった先ずはレタス剥け  赤坂 奈緒

兼題俳句の最後の二音「むけ」の音で始まる俳句を作りましょう。

 

※「むけ」という音から始まれば、平仮名・片仮名・漢字など、表記は問いません。

むけた背で隠すなみだや女郎花

西村友蔵

ひらがなですが、こちらは「向ける」の意味でしょう。ザ・演歌! て感じですねえ。「♪ 隠す涙や~」なんて力強く唸ってそう。思いのほか季語のチョイスが大人しめだから、そこまで激しくないのかな?
“良き”

向けぬ眼で探る引き際居間寒し

うーみん

こちらはドラマチックな人情の機微というよりは、もう少し生々しく生活が感じられるタイプの句。引き際を見失って、泥沼化した家庭内のいさかいでしょうかねえ……。腹立たしいし、気に入らないから相手の方を見はしないんだけど、それも居心地が悪いもんだから、雰囲気で相手の様子を探ったりするの。心理的にも物理的にも辛い居間の寒さ。
“参った”

向けられし銃口あをく水鉄砲

村瀬っち

「向けられし」とあるから、過去を思い返しての一句でしょうか。水鉄砲とはいえ、銃口を向けられると一瞬ぎょっとするもの。視線と意識が集中する状況で捉えた「銃口」の映像は、美しくすらあります。安っぽいプラスチック製の水色の水鉄砲を思います。内側の水も「あをく」揺れながら光を弾いているのでしょう。臨場感ある遊びの表情。
“ポイント”

向け変える豆苗小春日の窓へ

泉楽人

にゅ~んと伸びていく豆苗を想像すると可愛い。植物ってすごいよねえ、本当に太陽の光の方に向いて伸びていくんだから。かなり偏った方に伸びちゃったから、ちょっと向きを変えておこうか、というのも室内植物あるある。「小春日の窓」が一層陽の光をありがたく感じさせてくれます。
“とてもいい“

向けておく通学路へと雪だるま

百瀬はな

こちらも行動の底にある目線が可愛い一句。せっかく作った「雪だるま」だし、通学路に向けておけば、通りがかるこども達も見て喜ぶんじゃないかしら。あくまで「向けておく」だけで、わざわざその結果までは見届けようとしないのが、大人の落ち着き。
“ポイント”

無欠席無遅刻だけが取り柄、夏

嶋村らぴ

「むけ」の二音から「無欠席」を連想した人はたくさんたくさんおりました。《嶋村らぴ》さんもこんなお子様だったのかしら。「、夏」がめっちゃ元気そう。半袖短パンで駆け回ってそうですね。
“良き”

無欠席潰えし朝の吸入器

天宮ほたて

こちらは状況が切ない。わざわざ「潰えし」って言うくらいだから、達成が間近だったのかなあ。小学校の六年目とか、中高の三年目とか。明確な季語こそないけれど、どことなく冷たい朝の空気を思わせますね。寒気のなかでしゅーしゅーと湧き上がる「吸入器」の蒸気が切ない。
“ポイント”

無欠席ラジオ体そう表を虫

お天気娘

夏休みのラジオ体操に持っていく出席カード的なもの、ありましたよね。シール貼ったりスタンプ押したりするやつ。ひとつの欠けもなく達成された「体そう表」の映像を見せつつ、ラストの三音で、動きのある動画へと変化させる展開が上手い! 夏休みも後半になると、暦の上では秋ですからねえ。まだ浅き秋なれど「虫」は、秋の季語らしく一句を締めてくれております。
“とてもいい“

無欠席無遅刻無報酬無月

いかちゃん

「無欠席」「無遅刻」と、「無」を重ねる楽しみに走った人は結構いました。さらに重ねて三つ目まで! という方もそこそこいたのですが、四つ目まで重ねるのはなかなか難しい。しかもちゃんと詩にしようとなれば至難の業です。「無報酬」が現実の厳しさを、「無月」が心理の暗澹たる虚無を伝えて……こう……堪える……。(感情移入しちゃった人)
“良き”

無計画無謀無駄骨山頭火忌

渥美こぶこ

「無○○」を三度繰り返したのはこちら。「無計画」「無謀」「無駄骨」と、強烈な言葉を三つ重ねた先にどんな季語を持ってくるかは難問ですが、「山頭火」を出されたら納得せざるを得ませんなあ。ちなみに山頭火忌は10月11日。晩秋の風は冷たくなって参りましょうて。
“ポイント”

無計画時代の下駄よ卒業歌

青に桃々

こちらにも「無計画」。下駄をカラコロ鳴らしながら暮らしていたような無頼の時代なんでしょうかねえ。「卒業歌」の流れる頃には決まって思い出すあの頃の日々。あくまで「無計画時代」と振り返れる程度には、現在しっかりしていらっしゃるなら結果オーライ!
“ポイント”

無計画小春日和の街歩き

胡桃

無計画小春日和の散歩道

松本厚史

無計画な旅こそ楽しチャッキラコ

里山子

無計画秋の旅路もぬか漬けも

猫日和

無計画な旅の終りのおでんかな

ノセミコ

なぜか「無計画」という単語からは、歩いたり旅したりといった状況が連想されてきやすいようです。《胡桃》さんと《松本厚史》さんは、「無計画小春日和の」まで十二音がお揃い。二人仲良くお散歩に出掛けてもらいたい。《里山子》さん、《猫日和》さん、《ノセミコ》さんは、それぞれに無計画な旅へ出ております。「チャッキラコ」って、なんじゃらほいと調べたら、神奈川県に伝わる小歌踊なんだそうです。三浦市三崎の海南神社で1月15日の祭りに踊られるのだとか。《里山子》さんの旅は神奈川にいってらっしゃるのね。さて、他のお二人はどこへ旅に向かったやら。
“良き”

ムケッカといふブラジルの冬灯

麦のパパ

旅の行方はブラジルまでも。「ムケッカ」というのも地名でしょうか? 随分遠くまで来たものだ、的な寂しい「冬灯」かなあ。……と思いきや、どうも違うみたい。「ムケッカ」はブラジル料理の一種で、魚介とココナッツミルクを煮て作るご家庭の定番料理なのだとか。料理だとわかると「冬灯」は途端にほっと温かな空気を想像させる季語になりますね。
〈③へ続く〉
“良き”